ナタリー PowerPush - レキシ
レキシが歴史に名を刻む!“日本史ポップス”の集大成
「この時代に生まれたかった」を音楽で叶える
──レキシで曲の舞台にする時代は、やっぱり大正までですか?
そうなんです。一応ギリ大正で。あとは「ラブ&ピース」が大きなテーマではあるので、そこに付随すればOKという感じで。日本史ってどうしても「戦いの歴史」がついて廻るじゃないですか。
──血で血を洗うような。
そう。そのへんも避けては通れないと思いつつ、ハッピーにしたいというのはありますね。
──ハッピーに解釈することで、いつの時代も不変的な日本人の特性や愛おしさを再発見できそうですよね。
それはありますね。日本人の多神教的な部分も含めて憎めないというか。偏らない感じが愛おしいですよね。それは現代にも通じることで。現代との照らし合わせも重要なポイントですね。
──特に男女関係なんて、いつの時代も悩んでることってきっと変わらないですよね。
絶対そうですよね! 距離感や視点の違いはあるかもしれないけど、男女間の感情は同じだと思いますね。
──いろんな時代の人たちにレキシの音楽を聴かせたいですよね。イタコを通じてとか(笑)。
あ、それいいですね! 今回の「きらきら武士 feat. Deyonná」なんかは星になった武士に恋をしてる歌でもありますから。そういう意味では「思いよ届け!」みたいな感じはありますね。よく歴史好きって「この時代に生まれたかった」とか言うじゃないですか。「あの時代の人と話してみたい」とか。それの延長ですよね。音楽で叶えちゃってるというか。
本人が誰よりも楽しむことが大事
──あと、前作からの3年9カ月で世の中の歴史ブームも加速しましたよね。
そう! ちょうどあのころから「歴女」とか「歴史居酒屋」とかが登場して。(得意げな表情を浮かべて)レキシも歴史ブームにかなり貢献していると思いますよ。
──ブームの引き金を引いたと。
レキシ的にいうと「火縄を切った」ですね!(笑)
──池田さんは、SUPER BUTTER DOG時代からブラックミュージックをいかにポップにするか、自分流に面白く昇華させるかをずっと試みていると思うんですけど。レキシもそのひとつという意識はありますか?
もちろんそれは大きなテーマではあるんですけど、僕の場合は意識しすぎるとダメなんです。ブラックミュージックでもなんでも自分の中に入れて、クチャクチャになるまで噛んで、血にしてから出さないと絶対にどこかで嘘っぽくなるから。自分が嘘っぽさを感じた時点でダメですよね。逆に言えば、嘘を感じなければいいんです。そのために本人が誰よりも楽しむことが大事で。それは思い込みでもいい。深く考えない。僕は「日本人がファンクをやる」って思う時点で違うと思うんですよね。そんなこと考えずに「これは俺の音楽だ!」って楽しめばいいんです。
──楽しまなければ自分のものにならない、と。
そう。レキシに食いついてくれるミュージシャンたちもそういう人ばかりだと思いますね。みんな本能が鋭い人たちなんです。Deyonná(椎名林檎)なんか「本能」っていう歌を歌ってますから。さすが。ガーサスです(笑)。
CD収録曲
- そうだレキシーランド行こう feat. MC末裔・MC四天王
- きらきら武士 feat. Deyonná
- ペリーダンシング feat. シャカッチ
- どげんか遷都物語 feat. 織田信ナニ?
- ほととぎす feat. 聖徳ふとこ
- かくれキリシタンゴ ~Believe~ feat. MC母上
- レキシ ト ア・ソ・ボ
- 妹子なぅ feat. マウス小僧JIROKICHI
- 狩りから稲作へ feat. 足軽先生・東インド貿易会社マン
- 歴史と遊ぼう
レキツアー
~皆で遺跡を巡りたかった~
- 2011年5月4日(水・祝)
東京都 新代田FEVER
OPEN 17:30 / START 18:00 - 2011年5月8日(日)
大阪府 梅田Shangri-La
OPEN 17:30 / START 18:00 - 2011年5月14日(土)
東京都 新代田FEVER
OPEN 17:30 / START 18:00
チケット一般発売日:2011年4月2日(土)
レキシ
1974年2月15日生まれ、福井県鯖江市出身の男性アーティスト・池田貴史のソロプロジェクト。1997年にSUPER BUTTER DOGのキーボーディストとしてデビューし、ハイクオリティなプレイとエンタテインメント性あふれるパフォーマンスで人気を博す。2004年からは中村一義が結成したバンド、100sのメンバーとしても活躍。2007年にレキシとしての1stアルバム「レキシ」をリリース。豪華ゲスト陣とともに、日本史の登場人物や史実をポップミュージックに乗せて歌うスタイルで大いに注目を集めた。2011年3月、約4年ぶりのフルアルバム「レキツ」を発表。5月には初のワンマンライブを行う。