日常をぶっ壊すのが好き
──「1997」もアルバムの軸になる楽曲だと思います。1997年は、たかはしさん、ゆきやまさんが生まれた年ですよね。
たかはし はい。ずっと「自分が生まれた年の歌を作りたい」と思っていたんですけど、「私は私の世界の実験台」というフレーズが出てきたときに「そういうことなんだ!」と自分で気付いて。「20歳過ぎると、生き方を自分で決めなくちゃいけないんだな」って実感したんです。10代の頃は親の目線を気にしていたし、そういう生き方が楽だったんですけど、一人暮らしを始めて数年経って、「自分の人生を決めるのは自分しかいない」と思うようになって。それが「私は私の世界の実験台」という歌詞になったんじゃないかな。
──1997年生まれの人たちは、ちょうど社会に出ていく時期ですからね。
たかはし そのことも考えました。周りの友達のことを見ていても、本当に好きなことをやっている人は少ないので。まだ20代前半なんだから、好きなことをやればいいと思うんですけどね。稼がなきゃいけない人もいるだろうから、状況はそれぞれ違うだろうけど。
海 私は1998年生まれで大学にも行ってるんですけど、今はちょうど周りは就活の時期で。就職するにあたって「こういう目的があって、それが好きだから」と思い込んでる人が多い気がするんです。そうやって自分で自分を縛り付けているというか。
──本当に好きなことを見つけて、その方向に進むことって、実は難しいですからね。
ゆきやま そうですよね。でも、自分が楽しいと思うことをわかってるのは自分しかいないので。
たかはし 確かに。
ゆきやま 何をチョイスすれば自分がキュンキュンできるかっていうのは意識してますね。私の場合はそれが上手ではなかったので練習が必要だったんですけど、バンドをやることにはすごく役立ちました。生き生きした感情で始めたので、これを大事にしようと。
たかはし そうだよね。私は日常をぶっ壊すのが好きで。例えば中学のとき、「学校行かなくなったらどうなるかな?」とか、「高校を辞めたらどうなるのかな?」とか考えてみたり。そういう突発的な破壊衝動がバンドをやろうという気持ちにつながったのかも。たまにライブでも「ぶっ壊す!」みたいな感じになる。
ゆきやま 破壊の日があるよね、ほのか。
たかはし (笑)。例えば電車の中で大声を出したりすれば、その場の空気を破壊できるだろうけど、絶対怒られるじゃないですか。だからライブをやってるんじゃないかなって。ライブをやってる人は、みんなそうじゃないかな。
ゆきやま ライブを観てる人も、破壊されにきてるのかも。
たかはし 自分ではなかなかできないから、ほかの誰かがステージの上でやってることを観て救われた気持ちになったりして。破壊だけじゃなくて、純粋に感動できる素晴らしいライブもやりたい。どっちもできたら最高だな。まず本気で何かをやっている人を見るだけで感動しちゃうんですよ。ライブは本気でやらざるを得ないので、そこもいいところですね。
ゆきやま 演奏してるときはフザけた顔とかできないからね(笑)。
音楽は踊るためにある
──高揚感、スピード感にあふれた「ハンシー」も印象的でした。
たかはし 私もすごく好きな曲です。これも自分自身のことを歌ってますね。言いたいことを言って楽になったというか。
──「これが最後の歌かもしれなくて」というフレーズもありますね。
たかはし はい。「何にももう間違ってない」と歌えたのも大きいですね。
ゆきやま MVも撮ったんですけど、激動の物語ではなくて、普通の日常を過ごしている女の子を外から見ているような映像が「ハンシー」とすごく合っていて。女優の小西桜子さんという方に出演してもらいました。
たかはし ああいうMVを撮ったことがなかったから新鮮でした。私はシュールな映像が好きなんですけど、それがたくさんの人に届くかと言えば、ちょっと難しいところもあって。自分たちの音楽をできるだけ多くの人に届けることが一番大事ですからね。
──今回のアルバムには「GOLD TRAIN」のような疾走感のある楽曲もあって。ライブ映えしそうな曲も多いですよね。
たかはし 「1997」を中国ツアー(Chinese Footballとの中国ツアー「Chinese Football Regallily NEW YEAR TOUR 新年巡演 "She runs withs me so emotional"」)でやったんですけど、すごく盛り上がって。
ゆきやま お客さんがすごい高さでジャンプしてたよね(笑)。
海 初めて聴く曲のはずなのに、あんなに盛り上がってもらえたのはすごいなって。去年アメリカの「SXSW」に出たときも、やっぱりすごく盛り上がって。今回、中国に行って「お客さんのノリ、日本だけが違うのかもしれないな」って思いました。
たかはし リーガルリリーの音楽の雰囲気だと、お客さんは見入ってくれる人が多いんだろうなと思っていたんだけど、海外でライブをやって「なんだ、盛り上がってもらえる音楽じゃん!」って(笑)。そもそも音楽は踊るためにあるのに、私たちがシリアスな空気を作り上げていたのかもしれないですね。静かな雰囲気のライブも飽きてきたし(笑)、お客さんもライブにもっと参加したいだろうなって。「盛り上がろう!」みたいに煽ったりはしてないけど、これからは参加型のライブをやっていきたいですね。
ゆきやま 「1997」の話につながりますけど、体を動かしたほうが世界は壊れやすいだろうし。
たかはし そうだね。
海 「踊ってください」とか「盛り上がってください」ではなくて、お客さんがそれぞれのやり方で楽しんでもらえたらなと。次のワンマンツアーでも、そういう雰囲気に導けるようなライブをやってみたいです。
ツアー情報
- リーガルリリーpresents「bedtime story」
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- 2020年3月1日(日)北海道 BESSIE HALL
- 2020年3月6日(金)石川県 vanvanV4
- 2020年3月7日(土)新潟県 GOLDEN PIGS BLACK STAGE
- 2020年3月14日(土)広島県 広島セカンド・クラッチ
- 2020年3月15日(日)福岡県 BEAT STATION
- 2020年3月19日(木)宮城県 enn 2nd
- 2020年3月27日(金)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
- 2020年3月28日(土)大阪府 梅田CLUB QUATTRO
- 2020年4月3日(金)香川県 DIME
- 2020年4月8日(水)東京都 マイナビBLITZ赤坂