Rockstar Games「レッド・デッド・リデンプション2」特集|もはや哲学!熱血ゲーマー・増子直純が体験した「RDR 2」の深淵な世界

増子直純(怒髪天)インタビュー|「これは次世代のエンターテインメント。みんなそろそろ認識を変えたほうがいい」怒髪天・増子直純が体験した「レッド・デッド・リデンプション2」

増子直純

過剰なまでに作り込まれた無法者たちのアメリカ

──「RDR 2」を実際プレイした感想を聞かせてください。

ヤベーよ。マジでそれしか言えねえ。めちゃおいしいものをちょっとだけ試食しちゃった気分って言うか。とにかく早く家でやりてえ。

──具体的にどこがすごかったですか?

「レッド・デッド・リデンプション2」プレイ画面

もうね、グラフィックがすごいのは当たり前なんだよ。技術は常に進歩しているわけで、退化することはありえない。でもね、今回のは驚いたね。フィールドマップの作り込みはもう異常だよ。本来、そこまでしなくても十分面白いゲームなのにさ。町の地面は泥でぐっちゃぐちゃだし、荒野は草の葉1枚まで細かく表現されてたし、雪山では馬が雪を跳ね上げるところや足跡まで再現されてた。天気はリアルタイムで変化するし、空はただ見てても飽きないほど深い。あと、そこらへんにいる人たちが、みんなものすごく臭そう。こういう西部劇の世界観では、臭う感じってすごくデカいと思うんだよ。垢で汚れた布や使い込んだ革の質感みたいなさ。

──ゲームののっぺりしたCGで、汚れまで表現するのはかなり難しいはずですしね。「そこにこだわるんだ」というRockstar Gamesの美学というか、センスを感じました。

そうそう。あと今回はゲームの中でやれることがいっぱいあるなって感じたわ。あんなちょっとのプレイだけでも。野草集めたり、狩りしたり。薬屋の奥に行ったら「『裏稼業』がアンロックされた」とかなってたし。薬屋で裏稼業ってことは……(笑)。

──増子さん、Rockstar Gamesスタッフのガイドを無視して、いきなり町の人を撃ってましたよね。

増子直純

だって殺したらどうなるのか、そこが一番気になるところでしょ(笑)。画面の右上に「指名手配」って出るのがカッコよかったね。「GTA」シリーズもそうだけど、殺して、逃げて、ほとぼり冷まして、ってのが醍醐味じゃない? 俺、ニンテンドーDSで出た「チャイナタウンウォーズ」(2009年に発売された「GTA」シリーズ作品「グランド・セフト・オート・チャイナタウンウォーズ」)でもファミコンみたいな画面で逃げまくってたもん。この手のゲームはそれが最高に楽しいんだよね。実際やってみて思ったけど、今回も逃げる楽しさはすごかったよ。

──操作性はどうでしたか?

より直感的になってたね。操作性はゲームの入り口として、やっぱりすごく大事だよ。

──UIなど、ゲームの軸となるシステムは「GTA V」とそんなに変わってない印象を受けました。

持ち物や武器を選択するホイールのアイコンとかはほぼ同じだもんね。シリーズものでもUIが変わると、結局いちからやり直すのと変わらないからさ。新規だけじゃなくて、前作までのユーザーを大事にしてくれてる感じもうれしいよね。しかも前よりも使いやすかった。やれることが多いと操作自体も複雑になりがちなんだよね。なのに、前よりも直感的になってるってとこがすごい。いろんな部分がちゃんと整理されて、その上でブラッシュアップされてる。アニメーションへの移行も完全にシームレスだったし、すごくプレイしやすかった。あとUIの細かいところがカッコよくなってたじゃない? ああいうのもたまらん!

衝撃的すぎる新システムの数々

──馬の扱いが前作「RDR」とは大きく異なるポイントでしたね。

「レッド・デッド・リデンプション2」プレイ画面

これまではただの乗り物という概念だったけど、今回は生き物感がすごいから愛着が湧きそうだね。プレイヤーと馬の親密さが上がると操作性がよくなったり、やってくれることが増えるって言ってたね。「GTA」でも車をペイントしてカスタムしたりはできたけど、今回は根本的に違う。生き物だからね。ちゃんと金玉ついてたし、いきなりウンコしたね。ブリブリブリって。普通だったらゲームにそんなの必要ないからね(笑)。ああいうところまで、きちんと表現されてるのがいいんだよ。早く馬のたてがみにブラシかけてあげたいわ。

──狩りのシーンもパワーアップしてましたね。

皮を剥ぐシーン、さらにすごくなってたね。あれは野蛮だよ。ああいうのをリアルに作り込むところがいい。やってみて本当に思ったのは、本場の人が本気で作った西部劇のゲームだなと。我々の知らない当時の生活様式やルールのディティールまで描かれてる。小物とかも「これ、こうやって使うんだ」みたいなさ。

──コスチュームも前作以上に凝ってました。

「レッド・デッド・リデンプション2」プレイ画面

そうそう。発展途上の洋服を機能的にも細かく再現してたよね。なんと言うか全体的に無骨なんだよ。俺はそこにロマンを感じた。強盗のときに顔を隠すバンダナとかもあったじゃない? ああいうのがいちいちカッコいい。しかも今回は、雪山に行くときはちゃんと厚着してないとライフゲージが早く減ったりと細かく設定されている。マップは「GTA V」より広いみたいだから、早く馬でマップを駆け巡りたいよ。

──衝撃的だったのは“名誉”のシステムです。善行で名誉が上がり、悪行で下がるというのはこれまでもありました。しかし「RDR 2」では名誉が高ければいいというわけではない。正しい状態がないというのは、相当斬新な要素ですよね。

あれはビビった。しかも人相も変わる作り込みっぷり。やりこみ要素がすごい。あと主人公の髪の毛やヒゲがリアルタイムで伸びるっていうのも新しいよね。ゲームにおいて顔や髪は変化しない、というのが一般的な認識だから。

──あと今回は戦闘シーンの新要素として、仲間に攻撃の指示ができるようになりました。

あれ斬新だったよね。仲間に裏切り者とか、弱いやつがいたら怖いよ。あとキャラクターによって向き不向きがあるからさ。誰にどの場面でどう指示するか、みたいなこともバトルの要素になってきそうだよね。だって最初にやった爆破ミッションで、仲間がまんまと失敗してたじゃん(笑)。

──増子さんは元自衛隊員なので実銃を撃ったことがあると思いますが、今回の銃を撃った感覚はどうでしたか?

「レッド・デッド・リデンプション2」プレイ画面

いい意味で軽いのよ。時代的に重い反動の銃が存在しないからさ。その辺が実にリアルだった。銃って一発目を撃ったら、反動で必ず照準がズレるものなのよ。そういうところもちゃんと表現されてるの。最近のゲームはすごく親切になっちゃって、敵の居場所をガイドで教えてくれちゃったりするじゃない? そういうのもある程度は必要だと思うけど、「RDR 2」は自分の目で確認して撃つ楽しさがあった。あの辺もうまいと思ったね。バランスがいいんだ。

──「RDR」シリーズの醍醐味である「デッドアイ」機能(一時的にスローモーションになって早撃ちできる)も健在でした。

あれは本当にカッコいい。世界中の中二病が痺れる能力だよ。リアルな世界観の中にああいうファンタジーが入ってるとやっぱり楽しい。映画的というか。