音楽ナタリー Power Push - ЯeaL
SNS世代の本音ぶちまける「仮面ミーハー女子」
「マジで2ビート練習して」「このテンポ速すぎんねん!」
──「仮面ミーハー女子」はかなり緻密なアレンジですよね。展開も激しいし、演奏していて一度でも流れを見失うと戻れないような気が……。
Yurika よくおわかりで(笑)。
Ryoko ホント、そうなんです(笑)。
Yurika 難しいけど、弾いててすごく面白いんですよ、この曲。
Aika ドラムもそうですね。サビで速い2ビートになるのも初めての挑戦だったので。
Ryoko 2ビート自体が初めてなんです。今まで聴いてきた速い2ビートの曲って、メロディがしっかり入ってこないことが多い気がして。それがイヤで今までは8ビートや四つ打ちを多用してたんですが、「仮面ミーハー女子」に関しては四つ打ちから2ビートになる流れにメロがうまくハマったんですよ。「これや!」って思ったから、リズム隊の2人に「マジで2ビート練習して」って言ったんです(笑)。
Aika で、「いやいや、このテンポ速すぎんねん!」っていう(笑)。
Fumiha ベースはそんなに難しくないんですけどね。ただ、サビで2ビートになるのはちょっとやりづらかったけど。
Ryoko Twitterで「『仮面ミーハー女子』のベース、コピーしようと思ったけど難しい」って言ってる人いたけどね。
Fumiha テンポが速いからできないだけだと思う。
Ryoko 速さに慣れたら大丈夫ってことかな?
Aika いやあ、どうかなあ。
Ryoko そこは「練習すればできる!」って言っとこうよ(笑)。私がほかのバンドの曲をコピーしてたときって、自分ができる曲よりも好きな曲をやりたかったんですよ。ONE OK ROCKさんとかブルエンさんとかTOTALFATさんとか。
Fumiha 私、軽音楽部だったけど、できる曲より好きな曲に挑戦する子はいなかったよ。
Yurika 「難しくてやれない」ってなったら、普通はあきらめる人が多いよね。
Fumiha うん。部室にバンド初心者用のスコアがあって、そこに載ってる曲をやる子らが多かったかな。
Ryoko そこにЯeaLの曲も入れてもらおう!
Aika 難しくて無理やな(笑)。
Ryoko そうか……(笑)。でも、バンドをやってる子たちにはぜひチャレンジしてほしい曲ですね。
みんなが言えないようなことを言ってるつもり
──「仮面ミーハー女子」は歌詞もすごいインパクトがありますね。さわやかな夏の恋愛ソングかと思いきや、かなりエグいことを歌っていて。
Ryoko そうですね。リード曲としてこれを出せるのがすごくうれしくて。デビューシングルの「秒速エモーション」は恋愛ソングだったんですけど、カップリングに入ってた「Outsider」は世の中に毒を吐いているような曲で。それもЯeaLらしさだし、恋愛の曲を続けて出すのは違うなと思ったんです。すごくキャッチーで駆け抜けていくようなサウンドに、身近なSNSのことを混ぜた歌詞を乗せたら面白いんじゃないかなって。そこから「仮面ミーハー女子」という言葉を生み出して、歌詞を書いた感じですね。
──ミーハーな女子を装いつつ、本心ではまったく違うことを考えているという。
Fumiha ミーハーな子っていますからね。あの金髪(Yurika)もそうですけど。
Ryoko 流行りに乗るからね(笑)。
Yurika あんまり流行りには乗ってないつもりだけど、期間限定商品とか買っちゃうほうなんですよ。
Aika 月9も好きだよね。
Yurika そう、ドラマはけっこう観てます! まあ「エブリデー、ハッピーでいこうや」っていう感じですね。
Ryoko 気持ち悪いなあ(笑)。まあ、Twitterの表アカウントでは話を合わせて、裏アカウントで「あいつ何言ってんの」ってつぶやいてるような曲ですね、「仮面ミーハー女子」は。
──「鍵つき 裏アカ 言いたいことぶちまけていたい」ですからね。そういう状況って、身の回りにもありますか?
Ryoko ありますね。高校のときも「どうせ卒業したら疎遠になるんだし、ここは穏便にしておこう」ということもあったし。先輩のツイートに「いいね!」とか「お気に入り」しないとマズいとか。それは社会人でも同じだと思うんですよ。例えば上司がFacebookやってたら、「いいね!」しないと気まずいとか。
──それはありそうですね。
Ryoko あとはリア充アピールですよね。どこかでおいしいもの食べたとか「そんなん、いらんねん!」と思いながらも「いいね!」するとか(笑)。
Aika LINEで既読にしたら、返事せなあかんとか。
Fumiha その流れから抜けるのは無理ですからね。
Ryoko そう、めんどくさいと思いつつも、これだけSNSが普及してしまったら、もうやめられないので。社会人でもママ友同士でも同じだと思うんですけど、SNSでなかなか本音は言えないし、生きていく上では合わせることも必要じゃないですか。「仮面ミーハー女子」の歌詞は学生の目線で書いてますけど、幅広い世代に共感してもらえるんじゃないかなって。
──この曲を聴いてスッキリしてほしいと?
Ryoko いえ、どう捉えてもらってもいいんです。ムカついてもいいし、スッキリしてもいいし。ただみんなが言えないようなことを言ってるつもりなんですよ、この曲では。「ホントは寂しい」とか「表面上ではなくて、ちゃんとつながりたい」ということも歌ってるし、「ごちゃごちゃウルサイ」も「でも、変われない」という気持ちも歌っていて。聴いた人には、何かしら共感してもらえると思うんですよね。
ЯeaLの曲がはけ口になったら
──ちなみにメンバーの皆さんはバンドを本格的にやることで、友達同士のしがらみから抜けられたりはしなかったんですか?
Ryoko いやー、そんなことはないですね。
Fumiha 普通に高校生活を送っていたので。
Aika うん、ホントに普通。
Ryoko ЯeaLは4人とも普通なんです。すごく音楽的な才能があるとか、小さい頃から作曲してるとかではなく、私たちみたいな一般ピープルがシーンでがんばっていくことが、みんなの希望になると思うので。普通だからこそ、目の前のありふれたことを歌にできるんだとも思うし。
Yurika うん。
Ryoko 私もかなり毒を吐くタイプなんですけど(笑)、それでも普段はなかなか言えないんです。でも、バンドの中ではちゃんと言いたいことを言おうと思っていて。私自身も本音を歌ってくれるバンドに救われてきたし……。学校にいたら本音を言うことはできないかもしれないけど、心の中では本音を隠さないでほしいんですよね。そういう人にとって、ЯeaLの曲がはけ口になったらうれしいですね。
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収録曲
- 仮面ミーハー女子
- 星が見えないこの街で
- レモンスカッシュ
- 仮面ミーハー女子 ~Instrumental~
2ndシングル「仮面ミーハー女子」リリース記念インストア&アウトストアイベント
- 2016年8月6日(土)大阪府 ディスクピア日本橋店
- [第1部] OPEN 13:30 / START 14:00
[第2部] OPEN 16:30 / START 17:00 - 2016年8月7日(日)大阪府 タワーレコード難波店
- [第1部] OPEN 15:45 / START 16:00
[第2部] OPEN 16:45 / START 17:00 - 2016年8月14日(日)東京都 Shibuya eggman
- OPEN 11:30 / START 12:00
ライブ情報
- Escapism vol.4
2016年8月31日(水)東京都 Shibuya Milkyway - OPEN 18:00 / START 18:30
<出演者>ЯeaL / 赤と嘘 / Unfitcooder / WTCヤンチャ倶楽部 / and more
ЯeaL(リアル)
Ryoko(Vo, G)、Yurika(G, Cho)、Fumiha(B, Cho)、Aika(Dr, Cho)からなるガールズバンド。2012年12月、当時中学3年生だった4人によって結成され、関西圏を中心にライブ活動を開始する。2013年には「eo Music Try」の決勝大会に進出し、2014年7月には大阪・阿倍野ROCKTOWNで行われた初のワンマンライブのチケットを完売させ、12月には初の全国流通盤「Change Your ЯeaL」を発表するなど注目の存在に。また2015年8月にはオーディション「出れんの!?サマソニ!?」を勝ち上がり「SUMMER SONIC 2015」に出演。4人の高校卒業月となる2016年3月、シングル「秒速エモーション」でメジャーデビューを果たす。8月に2ndシングル「仮面ミーハー女子」を発表。