ナタリー PowerPush - ラスマス・フェイバー×中島愛
相思相愛の秘密は“ワビサビ”の心? ラスマス×まめぐ対談
ハウスミュージックのクリエイター&DJとして、はたまた日本のアニメソングを華麗なジャズで演奏する「プラチナ・ジャズ」のバンドマスターとして、日本でも絶大な支持を集めるスウェーデン出身のプロデューサー、ラスマス・フェイバー。昨年末には彼の約4年半ぶりとなるオリジナルアルバム「WE LAUGH WE DANCE WE CRY」が日本でもリリースされた。
このアルバムには日本から唯一、ゲストボーカリストとして中島愛が参加している。テレビアニメ「輪廻のラクランジェ」のオープニング曲「TRY UNITE!」と「マーブル」、そして挿入曲「Flower in Green」と、これまでにも好相性のコラボを展開してきた2人。ナタリーではラスマスの来日に合わせ、2人の対談を実現させた。
取材・文 / 臼杵成晃 撮影 / 佐藤類
ずっとメグミの歌声に惚れ込んでいたので感激
──ラスマス・フェイバー・プレゼンツ・プラチナ・ジャズがジャズアレンジでカバーした「星間飛行」(オリジナル:ランカ・リー=中島愛)は日本で大きな話題を集めました。ラスマスさんは元々中島さんのファンだったとお聞きしましたが、実際に会ってみた印象はどうでしたか?
ラスマス・フェイバー ずっとメグミの歌声に惚れ込んでいたので、とても感動したのを覚えているよ。「憧れの人に会えた!」という感じで。
──中島さんは初対面のときのことを覚えてますか?
中島愛 私が歌う「アイモ~鳥のひと」がすごく好きだと言ってくれたんですよ。すごくうれしかったのでよく覚えています。
──「星間飛行」が収録されたアルバム「RASMUS FABER PRESENTS PLATINA JAZZ -ANIME STANDARDS Vol.1-」が発表されたのが2009年11月で、2012年の2月には中島さんのシングル曲「TRY UNITE!」でお2人のコラボが実現しました。実際に中島さんに会ったことで印象が変わったり、曲作りをする上でヒントになるようなことはありましたか?
ラスマス 誰かとコラボレーションするとき、その人のパーソナルな部分に近付けば近付くほど良い作品につながると思うんだ。その人のことが理解できればできるほど、曲が書きやすくなるというか。だから「TRY UNITE!」の次に作った「マーブル」(2012年7月発売)では、より良いコラボができたと個人的には思ってるよ。
──中島さんは一緒に曲を作っていく中で「ラスマスさんってこんな人だったんだ」と気付いたことはありますか?
中島 印象と違う、ということはほとんどなかったですね。ただ、すごく冷静でスマートな印象だったけど、とてもエモーショナルで、こんなに情熱的な人だったんだ!というのはスタジオで初めて気付いたのですが、それは意外というよりも新鮮でしたね。
ラスマス ナルホドー(日本語で)。
中島 うふふ(笑)。
Billboard Live TOKYOでの共演を振り返って
──2012年6月にはプラチナ・ジャズによるBillboard Live TOKYO公演があって、このステージでは中島さんとのコラボレーションも実現しました。このライブの模様はナタリーでもレポートとして掲載されています(関連記事:ナタリー - 中島愛、ラスマス率いるジャズバンドと共演「夢のよう」)。
ラスマス アリガトウゴザイマス(日本語で)。
中島 ビルボードという神聖な場所で、プレイヤーとしてのラスマスさんや作品に参加されている歌手の方と触れ合えたのは本当にうれしかったです。もう言葉にならないぐらい。2012年のライブの中でも特に宝物ですね。
ラスマス ちょっとクレイジーな外国人のバンドメンバーに囲まれた中で歌うのはどんな気分だった?(笑)
中島 あははは(笑)。即興でこう、感じるままに音を奏でたり歌ったりというのは、ソロとして活動しているとなかなかないんです。その場その場の空気で自由に音楽を楽しむ人たちに囲まれた空間は、すごく刺激的でしたね。
ラスマス メグミは素晴らしい歌を披露してくれたよね。僕だけじゃなく、バンドメンバーのみんなも絶賛してたよ。
中島 信じられない!
ラスマス 元々ハウスアレンジの「TRY UNITE!」をジャズコンボのフォーマットでやるのは非常に大きなチャレンジだったね。「アイモ」は、プラチナ・ジャズでレコーディングしていたけど、あの曲はどことなくメロディにスウェーデンのフォークソング的な響きがあるんだよ。日本とスウェーデンで共通した音楽性を感じる曲をメグミと一緒にプレイできたのは素晴らしい体験だった。「星間飛行」はひたすら楽しかったね。レコーディングでやったスウィングジャズに、ライブ用にラテンフレーバーを足して楽しいアレンジにしていたこともあって。
中島 そうですね。すごく緊張してたのに、あんなにハジケられるなんて。
- ラスマス・フェイバー ニューアルバム「WE LAUGH WE DANCE WE CRY」/ 2012年12月19日発売 / Victor Entertainment
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- 初回限定盤 [CD+DVD] / 2800円 / VIZP-114
- 通常盤 [CD] / 2310円 / VICP-65101
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CD収録曲
- ウィ・ラフ・ウィ・ダンス・ウィ・クライ
- グッド・タイムス・カム・バック
- ウィ・ゴー・オー
- インディアン・サマー
- ノー・サプライゼス
- アイル・ウェイト・フォー・ユー
- 雨(フィーチャリング・中島 愛)
- ドント・カム・エニー・クローサー
- リア・レイン
- ウィ・オウン・ザ・ナイト
- ハント・ユー・ダウン
- ザ・サウンド・オブ・ユー
- サヴァイヴァー
- ハリケーン
- ビー・カインド
- テイク・ミー・ドリーミング
初回盤DVD収録内容
- アー・ユー・レディー
- ネヴァー・フェルト・ソー・フライ
- カム・ウィズ・ミー
- ユア・ビート・サウンズ・ライク
- エヴァー・アフター
- オーイエ
- ゲット・オーヴァー・ヒア
- ザ・レイン
- ゲット・オーヴァー・ジャム
- ニューシングル「そんなこと裏のまた裏話でしょ?」/ 2012年1月23日発売 / フライングドッグ
- 初回限定盤 [CD+DVD] 1890円 / VTZL-53
- 通常盤 [CD] 1365円 / VTCL-35144
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CD収録曲
- そんなこと裏のまた裏話でしょ?[作詞:西直紀 / 作曲:hirao(SpiralS) / 編曲:mukai(SpiralS)]
- Mamegu A Go! Go![作詞・作曲・編曲:北川勝利 / ホーン編曲:西脇辰弥]
- 素直[作詞・作曲:Castella / 編曲:窪田ミナ]
ほかカラオケ3曲
DVD(初回限定盤のみ)
- 「そんなこと裏のまた裏話でしょ?」Music Video&メイキング収録
特典
- アナザージャケットカード(複数種類のうち1枚封入)
ラスマス・フェイバー
スウェーデン生まれのプロデューサー / コンポーザー / ソングライター / アレンジャー / プログラマー / マルチキーボーディスト / DJ。スウェーデン・グラミー賞も受賞している著名ジャズミュージシャンを父に持ち、幼少時からピアノを始める。10代の頃には地元ストックホルムにてジャズピアニストとしての活動を開始。ピアニスト兼アレンジャーとしてポップス、ジャズ系アーティストのプロデュースを手がけるようになり、のちに友人のレコーディングへの参加をきっかけにハウスミュージックへの興味を持つ。持ち前のメロディセンスを活かしたハウスミュージックを作り上げ、デビューシングル「Never Felt So Fly」がいきなりの大ヒットを記録。2004年にはシングルを収めた日本編集企画盤「So Far」がリリースされ、日本でも大ブレイクを果たした。2009年には自身のルーツであるジャズと、共感してやまない日本のアニメを融合させた「ラスマス・フェイバー・プレゼンツ・プラチナ・ジャズ」企画をスタートさせ、その映像がニコニコ動画を通じて大きな話題に。その後、中島愛「TRY UNITE!」など日本アニメへの楽曲提供を経て、2012年12月19日には約4年半ぶりとなるオリジナルアルバム「WE LAUGH WE DANCE WE CRY」をリリース。
中島愛(なかじまめぐみ)
1989年6月5日、茨城県生まれ。2007年に行われたアニメ「マクロスF(フロンティア)」の歌姫オーディション「Victor Vocal&Voice Audition」でヒロインのランカ・リー役に抜擢され、2008年6月に「ランカ・リー=中島 愛」名義によるシングル「星間飛行」で歌手デビューを果たす。2009年1月には初の個人名義によるシングル「天使になりたい」を発表。声優として「マクロスF」「けんぷファー」「バスカッシュ!」「こばと。」「セイクリッドセブン」「輪廻のラグランジェ」などのアニメ作品に参加しながら、ソロアーティストとして国内のみならず海外でも積極的にライブ活動を行っており、2012年11月には東京・中野サンプラザにてデビュー5周年記念ワンマンライブ「5th Anniversary Live ~MeguMagic~」を大成功に収めた。2013年1月23日にはニューシングル「そんなこと裏のまた裏話でしょ?」をリリース。タイトル曲はテレビアニメ「琴浦さん」オープニングテーマに起用された。