ナタリー PowerPush - RAM WIRE
「毎日深酒」「むしろ私を励ましてよ!」ユーズ(Vo)が語る壮絶デビュー秘話
「歌詞を読んで前向きになれた」「救われた気持ちになった」。RAM WIREの曲にはそんな評判が絶えず、ファンであることを公言している有名人も数多い。映画の主題歌となった1stシングル「歩み」や、お笑い芸人・鉄拳のパラパラマンガをビデオクリップにした「名もない毎日」などで知られる彼女たちの曲が、多くの人の胸を捉える理由はどこにあるのか。
ナタリーでは今回、ボーカル・ユーズの単独インタビューを行い、彼女とRAM WIREの歴史を振り返った。何度も挫折しながら、ようやくつかんだメジャーデビューまでの道のり。ニューシングル「何度も」には、長く険しい道を切り開いたRAM WIREならではの誕生秘話も隠されていた。
取材・文 / 田島太陽 インタビュー撮影 / 高田梓
カッコつけたかっただけなんです、まだ若かったし
──今日は新曲リリースのタイミングではありますが、あえてデビューに至るまでのお話を伺おうと思っています。メジャーデビューまでにはいろいろな紆余曲折があったそうで。
東京に来て10年以上はフラフラしてましたからね、いろいろありました。長かったなあ……。
──そもそも音楽を始めたきっかけはなんだったんですか?
19歳の頃に付き合っていた男性がテクノ系のDJだったので、頻繁にクラブに行くようになり、自分でリズムマシーンを買ってみたんです。
──彼氏きっかけですか!
実はそうなんです(笑)。子供の頃から普通の女の子だったし、音楽一家だったわけでもないし。遊び半分でリズムマシーンを買って、触っているうちに自分の曲を作ろうかなって思っただけ。
──独学で始められたんですね。
勉強したわけでもなくて、本当に適当でしたよ。カッコつけたかっただけなんです、まだ若かったし(笑)。
──当時は自分で歌おうとは思ってなかった?
まったく思わなかった。曲を作ったことで「誰かに歌ってほしいな」とは思ったんですが、ぜんぜん見つからなくて。試しに自分で歌って友達に聴いてもらったら「いいじゃん!」って言われて、調子に乗っちゃった。クラブのイベントにも出させてもらえるようになって、歌うのが楽しいとも思い始めて。
──当時は学生ですか?
いや、フリーターです。高校を出て専門学校に行ったんですけど、なんか面倒になっちゃって、居酒屋でバイトしてましたね。その後、地元の北海道から20歳で上京しました。
ダメだったらもう次はないと思ってたから、心が折れちゃった
──本格的にミュージシャンを目指し始めたのはそれからですか?
そうですね、MONCHと出会ったことが大きかったです。彼は本気でメジャーデビューを目標にしていたから。まず2人で1曲作ってみたら評判がよかったから、何十社ものレコード会社にデモを送ったんです。反応もチラホラいただいて、「こりゃデビューだな」って簡単に思ってた。会いたいって言ってくださった方もいたので、足を運んで目の前で演奏したんですけど、私たちはまだ2曲しか持ち歌がなかったんです。だから「うん、ほかの曲は?」って言われて、驚いちゃった。「え、2曲じゃだめなの? これしかないんですけど?」的な(笑)。それで連絡もなくなって、道が途絶えちゃいました。デモを送っても反応がなくなって、オーディションもぜんぜんダメで。
──チョロいと思ってたのに!
完全に子供だった! ただの世間知らずです。でもその後、2005年の「COME TO MAJOR」という大きなオーディションで、2000組くらいから応募があった中で最終の10組に残ったんです。
──すごいじゃないですか!
それは1年くらいの期間をかけて、ウェブ投票で10組の中から1位を決めるオーディションだったんです。だからいろんなクラブに行っては宣伝して、家族や親戚にも「投票して!」ってお願いしました。でも結果発表イベントでのライブが、10組のトップバッターだったんです。私たちが優勝だったら、一番手にはならないじゃないですか。それで落選だってわかっちゃったから、ライブ前にもうヤケ酒でしたよ。
──えー!(笑)
とにかくショックだったんです。カッコ悪いのを承知でみんなに投票を頼んで、できることは全部やったのにダメだったし、もう25歳も過ぎていたから、これは引き際なんだなって。
──完全にくじけちゃったんですね。
そのオーディションに賭けていて、ダメだったらもう次はないと思ってたから、心が折れちゃったんです。
収録曲
- 何度も
- Chapter#1 Bravery
- 1stアルバム「タイトル未定」2013年5月1日発売 / Sony Music Associated Records / 初回限定盤[CD+DVD] 3780円 / 通常盤[CD] 3059円
- 1stアルバム「タイトル未定」
CD収録曲
- Beautiful World
- 歩み
- 名もない毎日
- 大丈夫、僕ら
- 何度も
- ALIVE
- PRESENT
- わたしあうもの
ほか全12~14曲収録予定
初回限定盤DVD収録内容
- Beautiful World
- 秘密
- 歩み
- 名もない毎日
- 大丈夫、僕ら
- 何度も
RAM HOME Vol.4
2013年6月15日(土)東京都 代官山UNIT
OPEN 17:30 / START 18:00
チケット一般発売中
RAM WIRE(らむわいやー)
ユーズ(Vo)、MONCH(Vo)、RYLL(Trackmaker, DJ)の3人からなるユニット。2001年、千葉のクラブを拠点にユーズとMONCHの2人で活動を開始し、2005年よりRYLLが加入する。その後はライブや自主制作盤のリリースなどを中心として活動を展開。2008年にはRAM WIREと並行してトラック制作を続けていたRYLLの楽曲が、Spontania feat. JUJUのシングル「君のすべてに」としてリリースされる。これがきっかけとなりRAM WIREも大きな注目を集め、2010年にミニアルバム「Beautiful World」でメジャーデビューを果たす。2011年9月リリースのシングル「歩み」は映画「僕たちは世界を変えることができない。But, we wanna build a school in Cambodia.」の主題歌に起用されてスマッシュヒットを記録した。2012年6月、ミニアルバム「名もない毎日」を発表。タイトル曲のビデオクリップはお笑い芸人・鉄拳によるパラパラマンガで構成され、話題を呼んだ。2013年2月には3rdシングル「何度も」をリリースしている。