Rainy。「Rainy。UNIVERSE」インタビュー|2008年生まれ、若き歌姫のバイオグラフィ

Rainy。の1stアルバム「Rainy。UNIVERSE」が6月28日にリリースされた。

彼女の15歳の誕生日にリリースされた本作には、アニメ「名探偵コナン ゼロの日常」のエンディング主題歌「Find the truth」や、昨年埼玉・さいたまスーパーアリーナにて開催された「マイナビ TGC 2022 A/W」を含むTGC 2022 公式応援ソング「All or Nothing」などの既発曲はもちろん、GARNET CROWのAZUKI七が作詞を担当した「名探偵コナン」の新エンディングテーマ「...and Rescue Me」といった新録曲を収録。全11曲(Bonus Trackを含む)を通してRainy。のカラフルな歌声を堪能できる。

2022年4月にデビューしたばかりのRainy。音楽ナタリー初登場となる本稿では、13歳でデビューを果たした彼女のバイオグラフィを紐解きつつ、アルバムの聴きどころやRainy。として描くアーティストとしての未来像を語ってもらった。

取材・文 / 真貝聡

「27歳かと思った」というコメント

──Netflixで「名探偵コナン ゼロの日常」を観ていたら、エンディングで「Find the truth」が流れてきて、強さと深みのある歌声だなと思ったんです。そしたら、当時13歳のアーティストのデビュー曲であるとあとから知ってビックリしました。

やっぱり、デビュー時は年齢に対しての反響が大きかったですね。中には「27歳かと思ってた!」というコメントもあって、さすがにそれは「いやいやいや!」と思いましたけど(笑)。とにかく、たくさんの方に知っていただくきっかけになってうれしかったです。

──中学生とは思えない成熟した歌声をお持ちですが、レギュラーのラジオ番組(FM FUKUOKA「Rainy。のChoco Chat CAFE」)を聴くと年相応の初々しさも感じました。

ありがとうございます(笑)。いよいよ放送が50回を超えまして。前は言葉を習得したばかりの赤ん坊みたいに、ただ単語をしゃべっていただけだったのが、最近は順序を立ててしゃべれるようになりました。いろんな方に「しゃべるのがうまくなったね」と言ってもらえるので、歌だけでなくトーク力も成長できているのかなと思ってます。

Rainy。

──そんなRainy。さんは幼少期、どのように育てられたのでしょう?

“伸び伸びと”といいますか、「好きなことは一生懸命に取り組もう!」みたいなスタンスで、いろんな場所に連れて行ってもらったり、いろんなことに挑戦させてもらったりしました。何より音楽への愛が深いところは家族共通で、それが自分のルーツになっていると思います。

──影響を受けたアーティストは誰ですか?

母が好きなこともあって、初めて好きになったアーティストはアヴリル・ラヴィーンさんでした。あとは、ライブ映像を観て「私がやりたいことはコレだ!」と直感的に思ったのがレディー・ガガさん。この2人の存在は私の中で大きいですね。

──洋楽を聴く機会が多かったんですね。

最初はそうなんですけど、人前で歌うようになってからはMISIAさんや一青窈さんなど、邦楽にも触れるようになりました。わりとジャンルレスに手を出してきたので、好きな音楽の幅は広い気がします。

──初めてステージに立ったのは5歳のときだったそうですね。

当時は友達からの誘いをきっかけにダンススクールに通っていたんですが、スクールの先生とみんなでよく一緒にカラオケへ行っていたんです。その際、「いつかステージで歌ってみたいな」と言っていた私に「よかったらこの日歌ってみない?」と声をかけてくれて。で、先生が呼んでくれたイベントで「アナと雪の女王」の「レット・イット・ゴー」を歌ったのが私の初ステージです。

──初めてステージで歌ってみて、どんな感情になりましたか。

私が歌い終わったあとに拍手をしてくれるお客さんが、ショッピングモールの2F、3Fにもいて。自分から見えるすべての景色がキラキラしていて、「私は生涯ステージに立ち続けたい」という気持ちがそのときに芽生えました。そこから歌手の夢を持つようになり、しばらくしてレコード会社のオーディションを受け始めました。

──それは何歳頃ですか?

小学4年生くらいですね。今の事務所のオーディションは、5年生のときに受けました。映画「グレイテスト・ショーマン」の「This Is Me」と映画「アラジン」の「Speechless」を歌ったら、「ウチで一緒にやりましょう!」と声をかけてもらいました。

──所属が決まり、念願だったアーティストへの道が開けたわけですね。

……なんですけど、喜びと同時に「これから、どうしたらいいのかな?」という不安もあったんです。でも、今後は私だけじゃなくてスタッフさんのお力も借りつつ、大きな功績を残すグローバルなアーティストになるんだ、とすぐに決意が固まりました。

Rainy。という歌の雨を降らせたい

──Rainy。というアーティスト名の由来は?

私は6月生まれなのもあって、雨が好きなんです。雨って世界中のどこにでも降るじゃないですか。普通の雨だけじゃなくて、霧雨とか五月雨とか、ひと言で雨と言っても400種類くらいあって、それが世界中どこでも降る。私もさまざまなジャンルの歌を歌って、世界中の人たちにRainy。という歌の雨を降らせたい。そして私の音楽を知ってほしい、と思ってこの名前にしました。最後に「。」が付くのは、日本人の母とオーストラリア人の父の間に生まれて両方にルーツを持つ私だからこそですね。英語のRainyに日本語の丸を付けました。

──Rainy。さんは13歳のときに「Find the truth」でデビューされました。「名探偵コナン」公式スピンオフ作品のエンディング主題歌を任されると知ったときの心境はどうでした?

びっくりして言葉が出なかったです! 本当に大好きな作品だったので、あまりにうれしくて3日間ぐらいは家で飛び跳ねてました(笑)。ずっとニヤニヤしてましたし、見合うアーティストにならなきゃっていう使命感と責任感も生まれました。今振り返ってもびっくりですね。本当に小さい頃から観ていたアニメですし、私、習い事がない土曜日には毎週「コナン」を観るのがルーティンだったんです。3歳ぐらいの頃から観ていた作品のエンディングテーマを、まさか10年後の私が歌ってるなんて信じられないよ!って。決まったときは「聞こえてるー? 昔の私ー!」と叫びました(笑)。

──ハハハ。「Find the truth」のミュージックビデオはトータル150万回を超える再生数を記録しましたね。

福岡在住なので思わず「どげんする!?」って感じです。自分のことじゃないみたいで、それだけうれしさも感じますし、たくさんの人に私のことを知ってもらって、さらに成長したい、という励みにもなります。

──デビューから現在に至るまでに4作の配信シングルをリリースされてきましたが、Rainy。さんの音楽に共通していることはなんでしょう?

1stシングル「Find the truth」は切ないバラード、2ndシングル「All or Nothing」はさわやかな楽曲、3rdシングル「絆炎」はファンタジー色が強くて、4thシングル「Teenager」は素のRainy。が垣間見えるアップテンポなナンバー。楽曲のカラーはバラバラなんですけど、イメージ的にはRainy。という真っ白なキャンバスがあって、そこに「Teenager」の絵とか「All or Nothing」の絵を描いているようなイメージです。

──真っ白なキャンバスに、どんどん絵が描き足されているような。

そうですね。“Rainy。色に染まった楽曲”というより、“Rainy。が描いた楽曲たち”が増えていくニュアンスですね。絵をいろんな角度から見てもらうかのように、私の歌をいろんなシチュエーションで聴いていただけたらうれしいなと思ってます。

──そんなRainy。さんがリリースしてきたすべてのシングル曲も収録された、1stアルバム「Rainy。UNIVERSE」が完成しました。しかも15歳の誕生日にリリースということで。

このアルバムを出すと決まったときは「私の第一歩が始まるな」と思いました。もちろん、これまで発表してきた曲はどれも大きな一歩ではありましたけど、さらに大きな一歩を踏み出す、本当の意味での区切りの作品だと思っていて。明るいRainy。だけじゃなくて、透明感のあるRainy。とか、いろんなRainy。を感じられる1枚だと思います。

次のページ »
「これ正解やん!」