音楽ナタリー PowerPush - QOOLAND

幕末から現代まで 日常歌った最新作

剣心も住み着いた東京

──アルバムのラストナンバー「志士雄」はタイトルから察するに「るろうに剣心」にまつわる曲ですか?

平井拓郎(Vo, G)

平井 そうですね、やっぱり剣心も東京に来たんで、僕らと一緒だなと思ってアルバムに入れました。

──タイトルは「志士雄」ですけど、主人公は剣心?

平井 そう、実は剣心のことなんです。完全に恨みが消えないと十字傷が消えないってくだりも入ってますし。タイトルに関しては曲で「志士雄」って3連発で叫ぶところが面白くって、こうなったっていうだけで。

──幕末・明治を舞台にした楽曲が入っているのも面白いですね。「桜田門外から少し経ち……」なんて歌い出しも含めて。

平井 時代が変わっても、剣心は東京に来るまでは定住してなくてふらふらしてたわけです。剣心は東京に来る5日前、横浜にいるんです。横浜も魅力的なことがあったけど、それでも東京に来て、住み着くようになるんですよ。僕らもずっと東京にいますし、剣心を留めるほどの魔力が東京にはあるんじゃないかなと思って、自分たちの心情と重ねつつ、この曲を書いたんです。

一緒に居続けることで生まれたバンドの統一感

──今作でもギターのタッピングフレーズがたくさん入っていますけど、今回はそれを飛び道具的に使うだけではなくて、より自然に聴ける印象を受けました。

平井 楽曲の持つパワーが上がった気はするんですよね。それがなんなのかはわからないんですけど。でもこれまでの過ごし方が僕は大きいんじゃないかって思ってます。

──過ごした時間で何を得たんでしょう?

平井 メンバーそれぞれQOOLAND1本で活動してますし、このバンドだけでライブを去年115本で、今年も現時点で60本くらいになるのかな。今年はさらに「街と大都市」含めて4タイトルを出すっていうスケジュールをこなしながら、曲書いて、レコーディングして……って正直ずっと一緒にいるんですね。

川崎純(G)

川崎 だから勝手に統一されていくというか、今のバンドのまとまりが生かされてよくなっていってるんじゃないかなって。

平井 去年はリリースものが「それでも弾こうテレキャスター」(2013年5月発売の1stフルアルバム)だけだったけど、今年はペースが早い。ある意味音楽主義というか、曲に導かれるままにやってます。でもまだまだペーペーなんで曲はもっとたくさん書かないといけないし、質も量も伴わないといいソングライターにはなれないなって思ってます。例えばThe Beatlesはオフィシャルのレコーディング曲が213曲あって、だいたい8年の活動期間に彼らは1年平均26.6曲を書いてたわけですよ。「Abbey Road」は半分キレてるんじゃないかと思うくらいに作るのを途中で止めてるような曲もありますけど、そういう部分もありのままに出していけるソングライターに惹かれるんで、自分もそうありたいなと。

半年以上続くレコ発ツアー、12月に完結

──ライブスケジュールがギッチギチでつらいってことはないですか?

 移動が多くて体はしんどいと思うことありますけど、ライブやりたいし、ライブしない日のほうがしんどいんですよ。曲作りに時間が取れるってことはもちろんあるんですけどね。

タカギ皓平(Dr)

タカギ 1週間くらいライブしてないと、なんかそわそわしちゃって体がうずくんですよ。

平井 常に走り続けてないと転んでしまうからね。このスケジュールがなかったら生まれてこない歌詞もたくさんあると思うし、実際ライブをせずにぬくぬくやってたら曲が書けなくなってくると思うんですよね。“部活打ち込んでる奴のほうが勉強できる理論”ですよ。帰宅部のほうが時間あるはずなのにさ(笑)。

──なるほど。現在ツアー中ですけど、気が付けば「毎日弾こうテレキャスターagain」「片道4,100円」「街と大都市」3タイトルのレコ発になってますね。

平井 最初に「毎日弾こうテレキャスター again」ツアーを4月末からスタートさせて、どうやって終わらせようなんて考えてたら「片道4,100円」が7月に出て、ツアーがくっついちゃって。そしたらまたアルバムが出るから終われなくて……もういいや、くっつけちゃおうって。

──4月にツアーを開始した時点では、まだ着地点を決めてなかったんですか?

川崎 何も考えてなかった結果、全部のレコ発がつながっちゃったんで12月6日に代官山UNITでワンマンやって、そこで区切りをつけようってことになりました。

──なるほど。東京ではひさびさのワンマンになりますね。

川崎 前のワンマンから約8カ月ぶりですね。その間に曲も増えましたし、長い時間ライブをできる機会もなかなかないので、ぜひ遊びに来てほしいです。

平井 人がいっぱい入るといいなと切に願ってますんで、人がたくさん来たことを皆さんに楽しんでもらえるようにしたいです。

QOOLAND
ミニアルバム「街と大都市」/ 2014年10月1日発売 / 1728円 / BLUE ALBUM / QFCS-1009
ミニアルバム「街と大都市」
収録曲
  1. 反吐と悪口
  2. 区民
  3. 片道4,100円
  4. 街灯の街
  5. フレンドシップさようなら
  6. ブギーサウンド
  7. 志士雄
QOOLAND(クーランド)

2011年9月結成。平井拓郎(Vo, G)、菅ひであき(B, Cho)、タカギ皓平(Dr)、川崎純(G)からなる4人組ロックバンド。平井と川崎によるタッピング奏法を駆使したギターサウンドや、マンガ、アニメなどのフィクション作品、日常生活をモチーフにした歌詞を特徴とする。2013年5月に初の全国流通盤となるフルアルバム「それでも弾こうテレキャスター」を自主レーベル・下高井戸レコードからリリース。同年アマチュアバンドコンテスト「RO69JACK 2013」で優勝し、8月に「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2013」への出演を果たす。精力的なライブ活動を続け、2013年は115本のライブを敢行した。2014年2月に6曲入りCD「教室、千切る.ep」を発売し、3月に大阪と東京で初のワンマンライブを実施。4月にミニアルバム「毎日弾こうテレキャスターagain」を発表した。8月に1004枚限定シングル「片道4,100円」を、10月に最新ミニアルバム「街と大都市」をリリースし、12月に行う東京・UNITでのワンマンライブをもって、4月末より行ってきたレコ発ツアーのファイナルを迎える。