QoN|伝えたいのか、目立ちたいのか 「RIJF」出演5人組の負け先行のバンド歴

昨年11月から今年4月にかけてBS-TBSで放送されたバンドオーディション番組「イクゼ、バンド天国!!」で、敗者復活戦を経てグランドチャンピオン大会に出演したり、3月にミニアルバム「MOMENT」を発売したり(参照:全員20歳の“イクテンKING”、QoNが初の全国流通盤リリース)と積極的に活動し、8月に茨城・国営ひたち海浜公園で行われる野外ロックフェスティバル「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017」への切符をつかんだロックバンドQoN。極地的には知られた存在になりつつあるが、一般的にはまだまだ無名と言える彼らはいかなるバンドなのか。メンバー5人の話から紐解いていく。

取材 / 加藤一陽、中川麻梨花 文 / 加藤一陽 撮影 / moco.(kilioffice)

9mmのコピーバンドをやっていた

──皆さん年齢は20、21歳とのことで。まずは結成の話から聞かせていただけますか。

渡邊洋平(Dr) 高校に入学してすぐだから、僕らが15歳のときですね。5、6年前。瀬谷高校っていう、横浜の森の中にある高校の軽音部で。

辰已優作(B) そこで(山口)嵐(G)と(渡邊)洋平(Dr)と僕の3人でバンドを組みました。当時は嵐がリーダーで。僕はバヤシ(上林研太 / G)と(犬童)一憲(Vo)が同じクラスだったんですけど、最初はバンドにはいませんでした。

山口嵐(G) “Arouse Eyes”っていうバンド名でしたね。

渡邊辰巳 “目を覚ます”(笑)。

山口 そういう名前で(笑)、9mm Parabellum Bulletのコピーをしていました。僕が9mm好きで。あとはONE OK ROCKとかのコピーもやっていました。

辰巳 ASIAN KUNG-FU GENERATIONとかもね。

──スリーピース時代は、ボーカルはどうしていたんですか?

山口 弦楽器の2人が歌って。僕は滝(善充 / 9mm Parabellum Bullet)さんのリードを弾きながら歌ったりしていましたね。

渡邊 で、そのうち学校の外でも本格的にバンドをやりたいってなって。

左から山口嵐(G)、犬童一憲(Vo)、渡邊洋平(Dr)。

山口 外でやっていくならちゃんと自分たちのやりたい編成で、オリジナルの曲で勝負したくて。ギターボーカルではなく、ボーカルを入れるイメージで。

犬童一憲(Vo) ちょうどその頃、優作と嵐とカラオケに行ったんです。そこでワンオクとかを歌ったら「一緒にやってみない?」って誘われました。それでスタジオに行ったら楽しくて。バンドに入ることを決めました。

──上林さんは?

上林研太(G) 嵐に「やらないか?」って誘われて。ギターは兄がちょっとやっていたので触れたことはあったんですけど、本格的にやったことはなかったです。

──ほぼ未経験で9mmやワンオクをバリバリカバーするバンドに入って、大変じゃなかったですか?

上林 本当に嫌でしたね(笑)。しかも最初の1カ月くらいで、体育のラグビーで左手の小指を折りまして。それが初めてのライブハウスでのライブの1カ月前あたりだったんです。小指を使わずにライブをやりました。

渡邊 そのときはワンオクのカバーをやって。動員は100人超えていたね。対バンライブではないんですけど、F.A.D YOKOHAMAでやったダンスイベントの“バンド枠”みたいな感じで出演させてもらったんです。たくさんのお客さんがいたわけですけど、そんな中で演奏して「まだまだやりたいな」って思った。

犬童 うん。最初からお客さんの人数が多かったから楽しくなっちゃって。

渡邊 そっからライブハウスでやり始めたんです。

辰巳 でも次のライブのお客さんは3人くらいでした。

上林 対バン相手のお客さんしかいなかった。

渡邊 出演者の中でもダントツで若かったしね。で、そのとき対バン相手の方に「コピーなんかやってないで曲作りなよ」って言われたんです。

初めてのオリジナル曲でZepp Nagoyaに

──それでオリジナル曲を作り始めたんですね。

渡邊 はい。あと、ちょうどそれと前後して、あるオーディション企画に参加したんです。勝ち抜くとZepp Nagoyaでライブができるっていうヤツ。どうやって活動をしていいのかわからなかったから、とりあえず力試しって感じで受けることにしました。その審査のためにオリジナル曲を1曲送らなくちゃならなくて、急いで作り……それが初めてのオリジナル曲です。リハスタのマイクで無理やり録って、それを審査に送って。もう音、クッソ悪い。

──レコーディングも初めてでしょうからね。

渡邊 でも通ってしまって。そのあとにライブ審査があって……っていうのを何回か繰り返して、Zepp Nagoyaのステージに立つことができました。高2の冬。

山口 当日までにオリジナル曲を増やして、2曲やりました。曲ができるまでは時間がかかりましたね。初めてのオリジナルだったんで。

左から辰已優作(B)、上林研太(G)。

辰巳 その頃は今とは全然違う感じの曲を作っていたんです。「おはスタ」とかで使われそうな感じ。

上林 かわいい感じの。

──それは誰の趣味で?

犬童 趣味と言うよりも、曲の作り方がわからなくてそうなったんです。ようやくできた曲がそういう感じになったと言うか。

──じゃあ、その「おはスタ」で流れそうな曲をクッソ悪い録音で録って、それでZepp Nagoyaまで行けちゃったんですね。

上林 たまたまですけどね。

犬童 でもそれ、バンドだけのイベントじゃなかったんですよ。ダンスとかスピーチとかいろんな部門があるヤツで。その中のバンド部門で勝ち上がっていったんです。

山口 しかも戦ったバンドの数は3バンドだったんで。

辰巳 えー、でもそこまでは全国から応募があったわけじゃん。

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略されるのに憧れて

QoN「MOMENT」
2017年3月22日発売 / ドリーミュージックアーティストマネージメント
QoN「MOMENT」

[CD]
1700円 / QON-0001

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収録曲
  1. Precious
  2. Brand New Days
  3. Timeless
  4. Lilac
  5. Message
QoN(クオン)
QoN
神奈川県横浜市を拠点に活動するロックバンド。同じ高校に通っていた渡邊洋平(Dr)、上林研太(G)、犬童一憲(Vo)、山口嵐(G)、辰已優作(B)の5人で在学中に前身バンドを結成し、2016年に本格的に活動をスタートさせた。2016年に1stミニアルバム「SIGN」、1stシングル「MESSAGE」を共にライブ会場限定でリリースしたのち、2017年3月に初の全国流通盤「MOMENT」を発表した。8月に野外ロックフェスティバル「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017」への出演が決定している。