ナタリー PowerPush - Q;indivi+
男性ボーカリスト7人が集結! 新しい音楽の冒険が始まる
田中ユウスケ率いるクリエイターユニット・Q;indiviが、新プロジェクト「Q;indivi+」(キューインディヴィプラス)を始動。1stアルバム「ACACIA;」をリリースした。
Rin Oikawaの透明感あふれる歌声を活かした企画盤コンピ「Celebration」シリーズが累計10万枚を超える大ヒットを記録し、幅広い層からの支持を得ているQ;indiviだが、今回はなんと男性ボーカリストを大胆にフィーチャー。「Men's Tears(=男の涙)」をテーマに、blanc.、チバユウスケ(The Birthday)、ヒダカトオル(BEAT CRUSADERS)、キヨサク(MONGOL800)、中田裕二(椿屋四重奏)、SU(RIP SLYME)、TAKA-Beeという計7名の男性ボーカリストを迎え、これまでのQ;indivi像を一新する革新的な作品を作り上げた。
ナタリーではこの問題作の秘密に迫るべく、田中ユウスケにインタビューを実施。圧倒的存在感を示すこの新プロジェクトの成り立ちについて語ってもらった。
取材・文/大山卓也
前のプロジェクトで達成感を感じて、新しい表現に向かいたくなった
──「Q;indivi+」名義でのニューアルバム「ACACIA;」聴かせてもらいました。これはQ;indiviを母体とした新プロジェクトということになるんでしょうか?
そうですね。
──このプロジェクトを始めようと思った動機は?
Q;indiviではこれまでコンピレーションを連続してリリースしてたんですけど、そこがひと段落したので、やっぱり新しい表現というか、次のステージみたいなものを模索していきたくて。
──ちょっと意地悪な質問になってしまうかもしれないんですけど、ここ数作のQ;indivi Starring Rin Oikawaでのプロジェクトっていうのは大成功していたと思うんです。
ありがとうございます。
──すごく広く受け入れられて、評価も高くて、セールス的にも成功して。そんな状況の中、これを新たにやる必要ってあったんですかね? あれをそのまま何作も続けていればみんなが喜んでくれるわけで。
突っ込んできますねー(笑)。今回は、そのシリーズのときとは違う、新しいテーマで制作に臨みました。
──あえてこの新プロジェクトをやる必然性っていうのは?
前のプロジェクトは、全員である種の目標に対する達成感もありつつ、また新しいステージに進むべく、まずはどこかで句読点を打ってもいいのかなという思いはあって。
──はい。
あれは自分達の中で仮説を立てて作ってるんですよ。まずは雑貨的なアプローチをとって、パッケージとしての付加価値をきちんとつける。そういうものを想定して作るんです。で、その雑貨的な制作の手法は僕の中でまだまだではありますが一度検証ができたので、じゃあ次、また新しい仮説を立てて、それらをさらに深化していきたいなっていう段階ですね。
──確かに企画盤コンピ「Celebration」シリーズは、ヴィレッジヴァンガードなどの雑貨店を中心に大ヒットを記録しましたね。
まあ「雑貨的」っていう言い方はあまり良くないかもしれないけど(笑)。
──いえ、いいことだと思います。多くの人が必要としているだろうものを丁寧に作って、それを欲しがっている人のところにちゃんと届いてるっていうことですし。
そうですね。聴く人の生活の中でちゃんと置き場所があるものっていうのかな。例えば泣きたいときにこの曲を聴く、ハジけたいからこの曲を聴く、踊りたいからこの曲を聴くっていうように、その人のシチュエーションを想定してモノを作ったらどうなるのかなっていうのは常に意識してました。
──職人的、プロデューサー的な視点ですよね。
ただ、同じことを続けていくだけでは、どうしても作品としてのテンションが下がっていくだけだし、それだけにとどまらず並行して新しい試みっていうのをどっかでやる必要があったと思うんです。結果的にそういう刺激が相互的にいい作用を及ぼすのではないかと。
アーティストとしてのエゴは強くないと思う
──じゃあ以前のものを否定するわけではなく、今回は純粋に新しいことを始めてみたということなんでしょうか?
はい、継続的にやっていくつもりです。句読点とはいってもまだまだやれることはあるし、さらに洗練させたいという意識もありますから。ただね、なんていうか、あのシリーズは“けなしにくい”んですよね。
──わかります。緻密で隙がなくて、すごくよくできていて。
そうなんです。で、それも大切だし、いいんだけど、今はちょっと違うこともやってみたくて。
──じゃあこのQ;indivi+という新プロジェクトでは、今までとは違うベクトルで新しい表現を進めていくことになるんでしょうか?
そうですね、とはいえ新しい表現手法が完全に自分の中でできあがってるわけではないんですけど。今はこれから発信していくものを探ってる時期なのかもしれない。探しつつその先のステージに持っていきたいなとは思っていて。
──今後は、素の“田中ユウスケ”によるアーティストエゴみたいなものも出てくるかもしれない?
(笑)いや、あんまり僕そういうのはないような気がします。自分のエゴ、あるかもしれないですけど、プロジェクトがうまくいくことが最優先というか。そんなに強くない気がしますね。
CD収録曲
- isolation (Instrumental)
- ACACIA; / Q;indivi + チバユウスケ
- a world of difference / Q;indivi + SU
- forever / Q;indivi; + blanc.
- LOVELESS / Q;indivi + 中田裕二
- ±0 / Q;indivi+TAKA-Bee
- Honesty / Q;indivi + ヒダカトオル
- sleep tight (Instrumental)
- hanabi / Q;indivi + キヨサク
- stillness in movement (Instrumental)
Q;indivi+(キューインディヴィプラス)
田中ユウスケ率いるサウンドプロデュースユニット、Q;indiviが2010年より始動させた新プロジェクト。YUKIやHALCALI、元気ロケッツなどへの楽曲提供で知られるQ;indiviのもとに、実力派の男性ボーカリスト7名が集結し、Q;indiviのサウンドに新たな息吹を吹き込んでいる。2010年6月23日、ワーナーミュージック・ジャパンより1stアルバム「ACACIA;」をリリース。