クアイフが11月29日にニューシングル「愛を教えてくれた君へ」でEPICレコードジャパンよりメジャーデビューする。
本作の表題曲はフジテレビ系「ノイタミナ」枠で放送中のテレビアニメ「いぬやしき」のエンディングテーマ。音楽ナタリー初登場となる今回のインタビューでは、メンバー3人のこれまでの歩みや“死”という日常を歌ったメジャーデビュー曲「愛を教えてくれた君へ」に込めた思い、楽曲とアニメとの共通点について話を聞いた。
取材・文 / 石橋果奈 撮影 / 西槇太一
革ジャン&金髪だった森の音大生時代
──音楽ナタリー初登場のインタビューなので、まずはクアイフ結成以前のお話を聞かせてください。そもそも、森さんがボーカリストになりたいと思ったきっかけは?
森彩乃(Vo, Key) 4歳からピアノをやっていたんですけど、歌もずっと好きで。小中高とカラオケに行きまくる、普通のカラオケ大好き女子って感じでした(笑)。それで高校を卒業する頃にバンドと言うか……ロックミュージシャンに憧れて。それが清春さんなんです。
──森さんのビジュアル的にも、クアイフの音楽性的にも清春さんが好きだったとは意外ですね。
森 そう。すごい意外って言われるんですけど、小学生のときに黒夢が全盛期で、テレビでたまたま観たんです。そこからどっぷりハマっちゃって「私も自分で曲を作ってステージで歌いたい」と思いました。実際に曲作りを始めたのは高校生のときなんですけど、そのときにギターも始めて。その後音楽大学に入って、バンドを組んでギターボーカルをやってました。
──音大はクラシックピアノ科だったそうですが、バンドではギターボーカルを選んだんですね。
森 そのときはバンドでピアノをやるっていう発想がまったくなかったです。むしろ「バンドだったらギターでしょ」「ギターかき鳴らして歌いたい」と思って。清春さんのファッションにも影響を受けて、革ジャンに金髪で音大に通ってました(笑)。親や周りからは当たり前のようにピアノ一本でいくと思われてたから「急にどうしたの?」って言われたりもして……かなり浮いた存在の大学生だったと思います(笑)。
──その後バンドは解散して、一度ソロアーティストになったそうで。ソロ時代からはピアノを弾いていますよね。
森 はい。ロックミュージシャンに憧れてギターを始めたけど、全然上達しなくて(笑)。ギターに関してはまったくの素人だったから、ソロになってギター1本で勝負するのはちょっとキツいなと思ったときに「あ、私ピアノが弾ける!」って(笑)。そこでずっと続けてきたピアノとステージで歌うことが初めてリンクしたんです。ピアノをやっててよかったと心から思いました。
「バンドなんてもう組むもんか!」と思ってた
──そのソロアーティスト時代に内田さんと出会うんですよね。
森 はい。ソロになったときに、ギターボーカルをやってたバンドのサポートドラマーがそのまま叩いてくれることになったんです。で、その子に「誰かいいベースいないかなあ」って相談したら内田を紹介してくれました。
内田旭彦(B, Cho, Prog) そこにサポートギタリストを加えて、“森彩乃のバックバンド”って感じで何回かライブをしました。
──内田さんはソロ時代の森さんにどんな印象を抱いていましたか?
内田 名古屋でよく名前を聞くシンガーっていうイメージでした。森と出会った頃、僕はドラムの三輪と男性ボーカルのギターロックバンドを組んでいたんですが、「もっと僕っぽいベースが弾けるんじゃないか」って、別の方向性やベースを弾ける場所を探していたんです。そのときに森の音源を聴かせてもらったら、声がすごくいいなと。
森 それで内田たちをバックにソロ活動を始めたら、内田と三輪がやってたバンドが解散することになって。内田から「バンド組もう」って誘われちゃったんです。
──誘われちゃった?(笑)
森 私はギターボーカル時代のバンドがうまくいかなかったんですよ。だからその頃は「バンドなんてもう組むもんか!」「絶対に1人で成功してやる」っていう、めちゃくちゃ強い意志があって(笑)。そんなときに誘われたから「ヤバい誘われちゃった!」って感じだったんです。「いやあ、バンド組む気ないんだけどな……」って、テンション低めで返答したよね?
内田 うんうん。
森 だけどやってみないとわからないし……と思って、まずは解散前の内田と三輪のバンドのライブを観に行ったんです。内田は「今一緒にやってる三輪がいいドラマーだから」って、バンドメンバーにしようとしてたんですけど、実際ライブを観たらめちゃくちゃ激しいドラムで(笑)。
三輪幸宏(Dr) 僕、もともとラウドロックが好きなので(笑)。
森 歌モノギターロックのバンドなのにすごい暴れてて、「えっ!このドラマーとやるの私!?」って衝撃を受けた(笑)。でも実際に一緒にスタジオ入ってみたらすごく面白くて、前に自分がやってたバンドとは全然違ったと言うか……「曲を一緒に作るのはこんなに面白いことなんだ」って思いました。それで「バンドを組むならこれが最後だ」って決意して、内田と三輪と一緒にクアイフをスタートさせました。
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三輪の人生を背負った内田
- クアイフ「愛を教えてくれた君へ」
- 2017年11月29日発売 / EPICレコードジャパン
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期間生産限定盤 [CD+DVD]
1500円 / ESCL-4948~9 -
通常盤 [CD]
1200円 / ESCL-4947
- 期間生産限定盤CD収録曲
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- 愛を教えてくれた君へ
- セツナロマンチック
- 愛を教えてくれた君へ(TV Size Version)
- 愛を教えてくれた君へ(Instrumental)
- セツナロマンチック(Instrumental)
- 通常盤収録曲
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- 愛を教えてくれた君へ
- セツナロマンチック
- 愛を教えてくれた君へ(Instrumental)
- セツナロマンチック(Instrumental)
- 期間生産限定盤DVD収録内容
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- TVアニメ「いぬやしき」エンディングノンクレジット映像収録
ライブ情報
- クアイフ Live Tour “愛を教えてくれた君へ”
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- 2018年2月18日(日)大阪府 梅田CLUB QUATTRO
- 2018年2月24日(土)東京都 LIQUIDROOM
- 2018年2月25日(日)愛知県 DIAMOND HALL
- クアイフ
- “絶対的、鍵盤系ドラマチックポップバンド”をキャッチコピーとする3人組バンド。2012年3月、音楽大学のクラシックピアノ科出身で数々のコンクール受賞歴のある森彩乃(Vo, Key)と、内田旭彦(B, Cho, Prog)、三輪幸宏(Dr)というメンバーで結成された。2014年3月に1stフルアルバム「クアイフ」、2015年6月に1stミニアルバム「organism」を発売。「organism」は「第8回CDショップ大賞2016」の東海ブロック賞を受賞した。2016年からは拠点である愛知県名古屋市のプロサッカークラブ・名古屋グランパスのオフィシャルサポートソングを担当。同年4月には2ndミニアルバム「Life is Wonderful」をリリースした。2017年11月にフジテレビ系「ノイタミナ」枠のテレビアニメ「いぬやしき」のエンディングテーマを表題曲としたシングル「愛を教えてくれた君へ」でEPICレコードジャパンよりメジャーデビュー。