「メルト」を超えるボカロ曲にはまだ出会っていない
──ゲームをプレイしてもらう際に計238曲の収録曲をひと通り見ていただきました。思い入れの深い曲などはありましたか?
OSTER 「雨のちSweet*Drops」って曲、実はkzさんに影響されて作りました(笑)。
kz えっ、そうなの?
OSTER 私、kzさんのことすごく尊敬してるんですよ。
kz そんな話、初耳だけど(笑)。
OSTER だと思います(笑)。まだ初音ミクが発売されて間もない頃に曲をアップロードしていた人の中でも、kzさんの曲って段違いですごいクオリティだったんですよ。だから自分でもマネしてみようと思って作ったのが「雨のちSweet*Drops」なんです。ちなみにbakerさんの曲をアレンジしたとき、「アレンジ能力がすごい」ってkzさんが褒めてくれたことがあって。
kz どういう場で言ったかは覚えてないんだけど、アレンジがすごいっていうのは今でも思ってるよ。
OSTER 尊敬する人に褒めてもらうことってなかなかないから、すごくうれしかったんです。
──kzさんはゲームの収録曲の中で思い入れの深い曲はありますか?
kz やっぱり「メルト」ですね。「メルト」は完璧な曲だと思っています。僕は初めて「メルト」を聴いたときから、この曲を超えるボカロ曲にはまだ出会っていない気がしているんです。やっぱryoさんってすげえなって思っています。
OSTER 今聴いても色褪せないですね。
──先にボカロ曲を発表していたkzさんの目に「メルト」はどう映ったんですか?
kz この曲が登場したことで、あの界隈が「メルト」一色になっちゃったんですよね。ある意味世界が崩壊した感じでした。
OSTER 「私たちは小ぢんまりとした世界で曲を投稿してたんだ」ってことを思い知らされたんですよね。
kz 黒船が来たみたいな衝撃だったんですよ。「メルト」がきっかけでボカロに興味を持った人もめちゃくちゃ多かったし。ただ時間が経つにつれて「『メルト』が生まれて本当によかったな」と思うようになったんです。
──それはなぜですか?
kz 「メルト」のようなほかを圧倒してしまうような作品が登場しなかったら、ボカロの文化っていうのは本当に小さな集まりで少ない人数だけが楽しむもので終わっていたかもしれないですから。いい意味で垣根を取り払ってくれたのが「メルト」なんです。
「Project DIVA」で海外ファンの人気曲に
OSTER あと私はkzさんの「Yellow」も大好きです。
kz 今日、すごく褒めてくるね(笑)。
OSTER イントロでテンションをしっかり上げる感じと言うか曲がかかったときの“キター感”がすごいんですよ。ライブではペンライトが黄色一色に変わるし、ライブ映えする曲。
kz DJをやってることもあって、フロアでお客さんがどういうふうに反応してくれるかはいつも考えていますね。「Yellow」は海外のボカロファンにも人気の曲なんですけど、それは「Project DIVA」のおかげだと思っています。
──なぜゲームのおかげなんでしょうか?
kz もちろん曲によってはニコニコ動画とかYouTubeにアップロードしただけで人気になるものもあるんですけど、ゲームのようにパッケージングされて曲がユーザーの手に届くと、ただネット上にアップロードしただけでは届かない層にもアプローチできるんです。自分でディグらなくても曲に出会えて、しかも繰り返しプレイしてもらえる。僕は「Project DIVA」への提供曲をDJの現場でかけたりする中で、ゲームの影響力の大きさを実感しました。
OSTER kzさんの曲は現場の雰囲気に合うからうらやましいんですよ。私はちょっと小難しい曲が多いから(笑)。
kz OSTERの曲はヘッドフォンでじっくり楽しむような曲が多いよね。でもビルボードみたいな会場だったら、絶対合うと思う。
──kzさんは「メルト」以外で気になった曲はありますか?
kz bakerさんの「サウンド」ですね。確か2007年11月に投稿された曲なんですけど、当時はオシャレな曲を書ける人っていうのが少なかったんですよ。今聴いてもbakerさんの曲は大好きです。“90年代東京”って感じのサウンドがめちゃくちゃいい。
OSTER bakerさんは私も大好きです。
kz 当時はbakerさんって異質な存在だったんですよ。2007年の初音ミク発売直後の段階でしっかりロックのサウンドを作り上げてアップロードしていた人がまだいなくて。そもそも当時のニコ動はボカロを使ったネタ動画が5割くらいを占めていたし、最初はテクノポップとかシンセの延長としてボカロを使う人が多かったから。
OSTER 今はだいぶ“ロック勢”が増えていて。
kz bakerさんが曲をアップし始めて、そのあとに「メルト」が出てきて、そこからボカロ×ロックが爆発的に流行った感じでしたね。
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もともとキャラゲーに寄ってた
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