友達のように寄り添う音楽を目指した

──プリシラさんは主題歌の提供とともに、映画の歌集アルバム「あなたのことが大すき。」を制作しています。これらの曲はどのように作られたのでしょうか？

プリシラ　私も、おそらく村松さんのメモと同じディレクターズメモみたいなものを監督からもらったんです。あと絵コンテのようなものも送られてきました。私は曲を作るとき、ビジュアルがすごく助けになってくれたし、そこからインスピレーションを受けることも多かったです。それと監督が送ってくれたメモの英語がすごくよくて、アルバム2曲目の「Deep Inside My Heart」では監督のメモの言葉をそのまま使ってるんです。なので、作詞のクレジットには監督の名前も入っています。

──歌集アルバムを作るときに意識したことは何かありますか？

プリシラ　まず杏奈とマーニーとしめっち屋敷。この3つは映画の主人公だと思っているので、それぞれの曲を書きたいなっていう気持ちがあって、「Marnie」っていう曲や「This Old House」って曲を書いています。監督からもらったメモの中に「この映画が杏奈とかマーニーと同じような年齢の子供たちにとって、友達のように寄り添ってくれる映画にしたい」と書いてあって、私はその文章にすごく心を打たれたんです。どんなに寂しいと思っていても、誰かがあなたのことを見てくれてる、愛してくれてる人がどこかに必ずいるよっていうようなメッセージを伝えられるようなアルバムにしたいと思って曲を書きました。

──村松さんがリリースするサウンドトラックにはイメージアルバムが同梱されています。これはどういう位置付けの楽曲なんでしょうか？

村松　僕のサントラは2枚組で1枚はイメージアルバム、もう1枚はサウンドトラックになっています。イメージアルバムに収録された曲たちは、最初に自分で思ったとおりの「思い出のマーニー」というものを、時間とかを気にせず作ったものなんです。

──村松さんのイメージアルバムにも「マーニー」という曲が収録されています。お2人ともほぼ同じ映画の素材をもとにさまざまな曲を作ったわけですが、お互いの作品はいかがでしたか？

プリシラ　昨日の映画の試写で初めて村松さんの作った音楽を聞いて。今日は1日中、村松さんのCDを聴いていたんです。村松さんの曲はまるで“冷たい水”のような、とっても心穏やかになるそんな曲たちです。長く聴きたいと思います。

村松　僕はプリシラの今までのアルバムもいろいろ聴いていて。前から一緒にお仕事したいなって思っていたんですよ。でも今回はいつものプリシラのアルバムといい意味で全然違っていて。本当にこの「思い出のマーニー」の世界観が出ていてビックリしました。僕が本当に大好きなのは「This Old House」で。アレンジもいいし、プリシラのかわいらしさが出てて、いつものプリシラとは違う魅力に触れることができるんです。

プリシラ　ありがとうございます。

村松　本当に素晴らしいです。

いつものプリシラとは違う魅力

──プリシラさんの歌集アルバム「あなたのことが大すき。」の最後の曲「I Am Not Alone」は村松さんが作った曲にプリシラさんが歌を乗せたものです。そもそもこの曲はどういう経緯で一緒にやることになったのでしょうか？

村松　これはもともと「杏奈」っていう僕の曲があって、プリシラが歌詞を付けて歌ってくれたらいいよねって西村さんと話をしていたんです。だから西村さんがロサンゼルスでプリシラに持ち掛けたんじゃないかな。

プリシラ　ロサンゼルスにあるホテルのカフェで西村さんと会ったときに、ヘッドフォンでこの曲を聴かせてくれたんです。聴いた瞬間にその世界に引き込まれたというか、明るい光の中に入っていくような、自分が思い描くジブリ映画の音楽だって思いました。そこに詞を書いて、歌まで歌えるなんて光栄です。

村松　プリシラの歌が入ったこの曲を聞いて、僕が想像していたよりもずっと彼女の世界に近づいたなと思いました。プリシラが歌ってくれたことにより、曲が化学反応を起こしてすごい素敵になったというか。普通に楽曲提供みたいに曲を渡して、ここまで変わるってことはあんまりないんですよ。

プリシラ　お話をいただいて歌詞と歌を作っているときはちょっと怖さもあって、本当にこれでいいのかなって思うこともありました。

村松　本当に今回はプリシラが歌詞を書いて歌ったことによって、いい意味で全然違った曲になった。それがすごいなって思ったんです。