ナタリー PowerPush - Prague
一発録音アルバム「ある篝火について」
修行の成果をどれだけライブで昇華できるか
──レコーディングライブをする時期が決まったのは?
鈴木 去年の夏くらいでしたね。
──そこからの制作状況は、通常のスタジオレコーディングとどう違いました?
鈴木 今回は「3人がどれだけ同じ空間の中で、同じ感覚で曲と向き合えるか」というのが最大のポイントで、そこが今までとの大きな違いでしたね。僕が思いっきり自由に歌うためには、2人にどっしりと構えてもらうのが大事で。だから特にリズム練習は入念にしました。
伊東 でも、一発勝負が前提だったけど、ストイックに修行するというのは、普段のレコーディングと違わなかったですね。毎回、自分との勝負があるんです。今回の場合は、修行の成果をどれだけライブで昇華できるか。そこは意識してアレンジを考えてましたね。
鈴木 今回はそれぞれの演奏のクセや感覚を細かいところまで共有していないといけなかった。かなり技術的な話ですけど、裏拍のとり方を再確認したり。不思議な特訓をしましたね。
伊東 やってたね。
──どういう特訓?
鈴木 ミキサーで裏拍のクリックを鳴らして、それに合わせて僕と金野の2人でひたすらフレーズを演奏するという。
伊東 ちょうど僕がインフルエンザでダウンしちゃって。そのときに2人はそういう練習をしていたんです。「やるな!」って思いました(笑)。
気持ちの起伏も音に乗ってる
──ライブ当日は緊張しました?
鈴木 しましたね。ただ、それまでずっと緊張とは向き合い続けてたんですよ。だから、むしろどれだけ緊張を楽しめるかを考えながらイベントに臨みましたね。でも当日はそれだけじゃなくて。「緊張の中の集中」というか、不思議な感覚でしたね。
──スポーツではよく「ゾーンに入った」みたいな言い方ありますよね。意識は集中してるんだけど、不思議と身体はリラックスしているときのような。
全員 ああ、なるほど。
金野 僕が感じてたのは、「楽しみ」という気持ちがマックスに達したような感覚でしたね。「早く演りたい」「いい成績を残したい」そういう気持ちが一番強くなってるときのような感じで。
──ステージに立っているときの感覚はどうでした?
鈴木 “空間”をすごく感じましたね。特に「Scrap and Hope」という曲が、キメが多くて、空白が多い曲なんですよ。そういう曲を演奏するときには、お客さんの空気感とか、3人の間合いを感じながら歌ってました。
金野 ステージに立って最初に感じたのは、顔を上げるのが怖かったということでしたね。でも全般を通してメンバー同士が助け合っていたということを感じて。すべての曲でステージ上でしか成立しないコミュニケーションが繰り広げられていた気がします。それに気づいて、自分で感極まる瞬間もありました。そこからどんどん自分を解き放って、練習で身体に染み込んだものが自然にできるようになってきた。最後のほうは恍惚として、多幸感も感じました。
伊東 僕はそれまでリハやゲネプロを念入りにやってきたのもあって、当日は極力何も考えずにやろうと決めてたんです。でも、ステージに立ったら雑念が出てきた。序盤は普段のレコーディングに近い感覚というか、自分に「負けるな、負けるな」って言い聞かせながらプレイしていたんです。でも、そこから次第に冷静と情熱の間にいるような感覚になっていろいろ考えちゃって。でも途中で前を見たら2人がいて。「ああそうだ、3人で進んでいくんだ」って思えてから、ライブ自体を楽しめるようになった。そういう心境も音に乗ってると思います。気持ちの起伏を含めて綱渡りの感じはありました。
収録曲
- 脱走のシーズン
- 愛唱歌
- おもちゃ体操
- Scrap and Hope
- 生意気なフェレット
- トランスブック
- インスタントスカイ
- 作戦C
- Fun Park
- 踊れマトリョーシカ
- 魂のシルエット
- オカルト
- オイルランプ
3rd Album「ある篝火について」Release Live 2Days at 下北沢GARAGE
対バン編
2013年4月12日(金)
東京都 下北沢GARAGE
LIVE:Prague / THE NAMPA BOYS / The cold tommy
DJ:filipo(髭)/ 大城嘉彦(APOGEE)
ワンマン編
2013年4月13日(土)
東京都 下北沢GARAGE
※ワンマンライブ
Prague(ぷらは)
鈴木雄太(Vo, G)、伊東賢佑(Dr)、金野倫仁(B)による関東出身の3ピースバンド。同じ高校で3年間同じクラス、軽音楽部、プライベートも一緒にいた腐れ縁の鈴木雄太と伊東賢佑の2人が、同じ音楽専門学校に進み、2006年に金野倫仁と出会って結成。自主制作盤を2枚出したところでレコード会社の目にとまる。2009年9月9日シングル「Slow Down」でキューンレコード(現キューンミュージック)よりメジャーデビュー。2010年7月には1stアルバム「Perspective」をリリースし、2011年5月には初のミニアルバム「花束」を発表した。同年8月リリースのシングル「バランスドール」はテレビアニメ「銀魂」のエンディングテーマに起用され大きな話題を集めた。10月には2ndアルバム「明け方のメタファー」を発売し、11月から初の全国ツアーを実施。2013年1月に東京・渋谷CLUB QUATTROでレコーディングライブ「プラハの春」を行い、その音源を3月に3rdアルバム「ある篝火について」として発表した。