ナタリー PowerPush - Prague

気鋭の本格スリーピースがひねくれた王道志向を語る

9月9日にシングル「Slow Down」でメジャーデビューを果たした3人組、Prague(プラハ)。早くもリリースされる2ndシングル「Light Infection」は、バンドのたくましく野性的な魅力をストレートに示す1枚だ。

荒々しいギターリフとうねるバンドグルーヴ、衝動をそのままぶちまけるような歌詞が印象的な新曲は、テレビ東京系アニメ「銀魂」のオープニングテーマにも抜擢。2009年のブライテストホープと言える彼らに、バンドの成り立ちとその野心的なスタンスを語ってもらった。

取材・文/柴那典 インタビュー撮影/中西求

この3人は人間的にも演奏的にもバランスが整ってる

──今年9月にメジャーデビューをして、いきなり大きな注目を集めましたよね。それまでと状況はがらりと変わったんじゃないかと思いますけれども、今は1年をどんな風に振り返ってますか?

鈴木雄太 自分達の伸びしろが見えてきた時期でしたね。新鮮な経験も多かったし、自分達がやらなきゃいけないことはもっとあるって思いました。

──今回の取材ではPragueというバンドの成り立ちから聞いていきたいんですけれども。そもそも鈴木さんと伊東さんが高校時代から3年間一緒だったんですよね。

インタビュー写真

鈴木 でも高校時代は2人っきりで話すタイミングもあったっけ? ってくらいで。このバンドを結成してからお互いの深いところまで見るようになりましたね。

──そこからバンドを結成したというのは、どういう経緯があったんでしょう?

鈴木 高校を卒業してから2人でスタジオに入っていて。そうしたら知り合いから、自分の通ってる大学にベース弾いてる奴がいると紹介されて。それで入ってきたのが金野でした。

──スリーピースでやるということにはどういう可能性を感じたんでしょう?

金野倫仁 最初はたまたま3人だったということくらいですね。でも、ライブの数をこなして結束が高まっていくにつれて、もう1人入れる必要がないという意識が自然に出てきたんです。「これが足りないから増やそう」というのはないですね。この3人は人間的にも演奏的にもバランスがすごくきれいに整ってると思うんで。何かが足されてしまったらそのバランスが崩れてしまうんじゃないかというのは今でも思います。

ブラックミュージックの素養を持つギターロック

──Pragueというバンドは、集まったときからこういう音楽をやろうというビジョンがあって進んできたんでしょうか? それとも「とりあえず音を出してみよう」というところから今の形になってきたんでしょうか?

全員 とりあえず、ですね。

伊東賢佑 何かをやろうという意志というよりは、自然の流れでやってきたんですよね。そのまま衝動で曲も作ってたので。

──Pragueのサウンドって、ファンクやブラックミュージックっぽい要素を持った横ノリのグルーヴをあくまでギターロックの切れ味の中で出している印象があるんですけれど。そういう音楽性はどういうところから得ていったんでしょう?

金野 それぞれ違うと思うんですけれど、自分は高校のときに好きだった音楽ですね。ルーツも知らずに聴いてたものが、後々知ったらだいたい70年代の音楽だったんです。THE DOOBIE BROTHERSが一番好きで、昔のフュージョンバンドやジャズっぽいものも聴いてたんで。あのとき聴いてたものが今でも生きてるんだなって思います。

鈴木 自分は親の影響が大きいですね。小さい頃に聴かされていたのがEARTH, WIND & FIREとかブラック系だったりしたので。でも、高校の頃にはBLANKEY JET CITYとかTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTがすごく好きで格好いいと思っていて。自分からはそういうギターロックが出てくるんです。でもリズム隊の2人は目立ちたがり屋なんで、それが横ノリのグルーヴになっていて。その要素が足されていった感じですね。

伊東 うちの親もディスコ世代だったので、80年代のブラックミュージックを聴かされていて。最近になってその時代の音楽を聴くとすごく懐かしさを感じたりしますね。でも高校の頃はNIRVANAとかが好きで、ロックな部分を求めていたんで、その影響は今のサウンドにも出ていて。コテコテなブラックミュージックの方向に行こうとは全く思っていないし、やっぱりロックがやりたいんです。極端にそっちにいかないよう無意識で加減してやっている部分はあると思いますね。

ニューシングル『Light Infection』 / 2009年12月9日発売 / Ki/oon Records

  • 初回限定盤[CD+DVD] 1300円(税込) / KSCL-1516~1517 / Amazon.co.jpへ
  • 通常盤[CD] 1020円(税込) / KSCL-1518 / Amazon.co.jpへ
CD収録曲
  1. Light Infection
  2. 枕風
初回盤DVD収録曲
  • Light Infection (Music Clip)
Prague(ぷらは)

鈴木雄太(Vo,G)、伊東賢佑(Dr)、金野倫仁(B)による関東出身のスリーピースバンド。同じ高校で3年間同じクラス、軽音楽部、プライベートも一緒にいた腐れ縁の鈴木雄太と伊東賢佑の2人が、同じ音楽専門学校に進み、2006年に金野倫仁と出会って結成。自主制作盤を2枚出したところでレコード会社の目にとまる。2009年9月9日シングル「Slow Down」でキューンレコードよりメジャーデビュー。