音楽ナタリー Power Push - RYOJI(POTSHOT)×猪狩秀平(HEY-SMITH)
2世代スカパンクフロントマンが語る“DO IT AGAIN”
日本のスカパンクシーンを牽引しながらも2005年に解散したPOTSHOTが、今年結成20周年を記念し年内限りで活動を再開。「ARABAKI ROCK FEST.15」「JOIN ALIVE 2015」といったフェスティバルやライブイベントに出演している。さらに“最後の若気の至り”として新作CD「DO IT AGAIN WITH POTSHOT」を制作し、10月7日にリリースする。
音楽ナタリーでは本作の発売を記念して、RYOJI(Vo)とHEY-SMITHの猪狩秀平(G, Vo)の対談を実施した。HEY-SMITHも昨年9月より今年夏まで活動休止状態にあったため、スカパンクバンド同士というだけでなく、バンドを再び動かしているという点でも共通点のある2人が、互いのバンドの結成の経緯や、現在の悩みなどを話してくれた。
取材・文 / 小林千絵 撮影 / 上山陽介
出会いはAudioleaf
──今回はRYOJIさんの指名で猪狩さんとの対談を企画しました。
猪狩秀平 ありがとうございます。
RYOJI まさか受けてくれるとは。
猪狩 いやそりゃ受けるでしょ(笑)。
──お2人はずいぶん前から面識があるんですよね。
猪狩 最初はTHE LAST CHORDSのときですもんね。
RYOJI 2008年くらいかな。俺はTHE LAST CHORDSっていうバンドで、ツアーの対バン相手を探してて。そのとき作ったシングルがスカの曲だったんで、ひさしぶりにスカのバンドと対バンしてみようと思ったんだけど、その頃はもう大阪にTHE GELUGUGUとDOBERMANくらいしかスカのバンドの知り合いがいなくて。で、Audioleafで見つけたのがHEY-SMITH。
猪狩 俺、Audioleafにメッセージが来たとき絶対ニセモノやと思って。ツアースケジュールをホームページで確認しました(笑)。
RYOJI ははは(笑)。次に俺がKEMURIの津田(紀昭 / B)さんとREDEMPTION 97っていうスカパンクのバンドを立ち上げたときにやった東京・新宿ACB HALLでのライブでまたHEY-SMITHに出てもらって。
──じゃあHEY-SMITHはRYOJIさんのいろんなバンドと対バンしてきてるんですね。
猪狩 そうですね。今月「Bowline」でPOTSHOTとやったらもう全制覇です。
RYOJI コンプリートですか!
猪狩 はい。図らずもPOTSHOT 1997ともやってますし。
RYOJI POTSHOTのトリビュートアルバム(「SiNG ALONG WiTH POTSHOT」)のレコ発だ。メンバーの野田剛史(B)が急病で来れなくなって、結局本物のPOTSHOTメンバーの市川さんに出てもらったんだよね。
“簡単”なPOTSHOTをコピーしていた猪狩少年
──猪狩さんはPOTSHOTを聴いてました?
猪狩 聴いてましたよ。中学2~3年ぐらいかな。中3のときにはもうライブ行ってましたもん。
RYOJI え、ホントに? どこでこういう音楽に出会ったの?
猪狩 最初は、小学生のときにMステ(「ミュージックステーション」)でX JAPANがダカダカドコッ!ってやってるのを観て「ひゃー!」ってなって。で、中1~2ぐらいでGreen Dayに出会うんです。「なんて爽快なの! なんて簡単なの! これは最高や」と。そこからRancidとかNoFXとかを聴くようになって、NoFXのライブを観に行ったらハイスタ(Hi-STANDARD)が出てたんです。で、「ハイスタやばい!」ってなって、そこから日本のインディーズにどっぷり、みたいな。
RYOJI なるほどね。
猪狩 それからはいろんなバンドをコピーしまくってました。POTSHOTもコピーしたし。
RYOJI 簡単だったからよかったでしょ。
猪狩 そうっすね(笑)。
RYOJI でもそれはね、目指してたんです。みんながやれるようなシンプルなものにしようと思って。
猪狩 やっぱりそうなんですね。俺も今、そういうのを目指してて。1カ月ぐらいギターを練習したら弾けるような内容のものに絶対しようと思ってて。
RYOJI お、じゃあ俺も1カ月でがんばっちゃおうかな。
猪狩 いやいや即座に弾けるでしょ(笑)。
ホーン隊を探す苦労
──猪狩さんのコピーバンドはホーン隊も入ってたんですか?
猪狩 いましたいました。
RYOJI あ、そうなんだ。ホーン隊ってすぐ見つかった? それともやらせたの?
猪狩 やらせたやつもいるし、吹奏楽部でもとから吹けたやつもいたり。今のメンバーの満(Sax)とはもともと友達だったんですけど、TSUTAYAでCDを試聴してるときにばったり会って。で、誰を聴いてたかは忘れたんですけど「俺こんなんやりたいねんけどさあ」って言ったら、あいつもスカ好きだったんで「じゃあイシバシ楽器行こうぜ」みたいな。次の日にはもうサックス買ってました。
RYOJI いいね。うちらのときは、スカとかスカパンクっていうのがまだ日本にほとんど浸透してなかったから、ホーンの人を探すのがすごく大変で。だからもう知り合いの知り合いのブラスバンド出身とか、ジャズ研の人とかを紹介してもらって。でもその人もスカとかを知らなかったり、ロックのビートで吹くのをやったことがないから「速い曲は吹けません」とか、そんな時代。で、やってるうちに、スカとかスカパンクをやりたくてホーンを始めた人が出てきてくれた感じだったから。
猪狩 俺らがすぐにスカバンドを組もうって話になったのは、POTSHOTとかKEMURIとかがいたからですよ。POTSHOTやKEMURIは、今でいうEXILEみたいな存在で。
RYOJI あの頃はインディーのパンクバンドでもテレビとか出させてもらえてたからね。
次のページ » POTSHOTの始まりは「メロコアの次はスカコアだ!」のポップ
- POTSHOT ミニアルバム「DO IT AGAIN WITH POTSHOT」2015年10月7日発売 / 1512円 / TV-FREAK RECORDS / UK.PROJECT / TV-120
- 「DO IT AGAIN WITH POTSHOT」 / Amazon.co.jp
収録曲
- Fight Together
- Start From Today
- Every Dawn(2015 version)
- I Can(2015 version)
- I Wanna Be With You(SUMMER 2015)
- HAPPY HOUSE(オリジナル:SHEENA & THE ROKKETS)
POTSHOT 20th Anniversary Tour Final
- 2015年11月22日(日)京都府 磔磔
- 2015年11月23日(月・祝)愛知県 APOLLO BASE
- 2015年11月28日(土)東京都 LIQUIDROOM
TOWER RECORDS presents Bowline 2015 curated by HEY-SMITH & TOWER RECORDS
- 2015年10月12日(月・祝)大阪府 Zepp Namba
OPEN 12:30 / START 13:30 - <出演者>
HEY-SMITH / グッドモーニングアメリカ / DUB 4 REASON / PUFFY / POTSHOT / LIFE IS GROOVE / Crossfaith
W STUDIO RED opening ceremonies “SAY GO!!”vol.2
- 2015年10月16日(金)愛媛県 Wstudio RED
- <出演者>
POTSHOT / 10-FEET
POTSHOT(ポットショット)
RYOJI(Vo)、CHUCKY(Trombone)、SATOSHI(G)、KOBAYASHI(Dr)、MITCHY(Tp)、ICHIKAWA(B)からなる“多分日本で3番目に結成された”スカパンクバンド。1997年に1stアルバム「POT'S&SHOT'S」を日米でリリースすると、一気にシーンの最前線に上り詰める。2000年リリースの4thアルバム「POTSHOT a GOGO」ではオリコン週間ランキングで最高7位を記録するほどの人気を集めていたが、2005年に解散を発表した。その後2007年12月の「KEMURI EXTRA SHOW with DO THE SKA!!」、2013年8月の「UKFC on the Road 2013」、同年8月の「RUSH BALL 15th」、2014年3月「NO MATTER LIVE Special」でそれぞれ再結成を果たす。バンドの結成20周年となる2015年に、年内限定で活動を再開。同年10月に新作CD「DO IT AGAIN WITH POTSHOT」をリリースし、11月に“2度目の解散ライブ”となるワンマンライブを行う。
HEY-SMITH(ヘイスミス)
猪狩秀平(G, Vo)を中心に結成されたパンクバンド。2006年に大阪を拠点にライブ活動を開始し、2009年に1stミニアルバム「Proud and Loud」でCDデビュー。2010年の1stフルアルバム「14 -Fourteen-」を経て2011年にリリースした2ndフルアルバム「Free Your Mind」はオリコン週間インディーズランキングで1位を記録する。2012年には「FUJI ROCK FESTIVAL '12」「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2012 in EZO」といったフェスに参加したほか、coldrain、SiMとのパッケージツアー「TRIPLE AXE TOUR 2012」を開催した。2013年5月、2年ぶりのフルアルバム「Now Album」を発表し47都道府県を回るレコ発ツアーを大成功に収める。2010年より自主企画イベント「OSAKA HAZIKETEMAZARE FESTIVAL」を主催しており、2014年9月には大阪・泉大津フェニックスにて初の野外開催を成功させた。2015年1月に同イベントの模様を収録したDVD「Live at OSAKA HAZIKETEMAZARE FESTIVAL 2014」をリリース。メンバーチェンジを経て、現在は猪狩秀平、YUJI(B, Vo)、満(Sax)、Task-n(Dr)にサポートメンバーを加えた編成で活動を行っている。