愛知県を拠点に活動するロックバンド・ポタリが、2月6日にニューアルバム「ポタリの3」をリリースした。
前身バンドから数えれば10年を超えるキャリアを持つポタリ。数回のメンバーチェンジを余儀なくされながらも常に前向きに活動し、元気なロックサウンドを鳴らし続けている。そんな彼女たちがより自由に、より力強く音楽へと向き合って完成させたのが全12曲を収録した本作となる。
音楽ナタリー初登場となる今回のインタビューでは、そのバイオグラフィから個性豊かなメンバーのパーソナリティ、そして最新作の制作エピソードまでをじっくりと聞いていく。
取材・文 / もりひでゆき 撮影 / 草場雄介
立ち止まった瞬間が一度もないポタリの経歴
──ポタリの活動歴はけっこう長いですよね。
鈴木奈津美(Vo) そうですね。もともと私が中学生の頃に結成した“ぽたぽたRIBON”って名前のバンドが前身で、ポタリに改名したのが2010年です。
──ぽたぽたRIBON時代から在籍しているのは、奈津美さんと中西さん。
奈津美 中学卒業のタイミングで脱退するメンバーがいたので、「一緒にガールズバンドをやりましょう!」とチェーンメールを回したらエミが引っかかってくれて。それで加入してもらうことになりました。
中西詠美(G) 見事に引っかかりました。で、高校在学中にナツ以外のメンバーみんなでバンド名を変えさせました(笑)。
奈津美 みんな、ぽたぽたRIBONという名前をずっとダサいと思っていたらしく(笑)。「変えたい」って言われてたんですよね。でも周囲の人たちからは略して“ポタリ”と呼ばれていたので、改名に関しては納得してますし、受け入れられています(笑)。
──ポタリとして精力的な活動をしていくわけですが、その中で2度のメンバーチェンジがありましたね。
内田愛子(B) はい。ナスカワが先に入り、そのあとに私が入りました。
茄子川(Dr) ポタリに改名したタイミングのワンマンを私は観に行っていたんですけど、単純にすごい子たちだと思ったんですよね。まだ高校生なのに地元でたくさんのお客さんを集めて、オリジナル曲ですごく盛り上がっていたから。で、私は当時のベースの子と仲がよかったので、ドラムが抜けたときに誘ってもらったんです。一応オーディション的なものもあったんですけど、まあ受かるだろうって感じで(笑)。
詠美 うちらとしては「むしろ入ってよ!」みたいな雰囲気だったからね。
奈津美 うん。「地元一緒なんだから入ってよ!」って。
茄子川 そんな感じで自然と入れました(笑)。で、そのあとに当時のベースが抜けることになったので、私が通っていた音楽の専門学校にいたアイコに入ってもらったんですよね。「すごくうまいベースの子がいるよ」ってことで。
──アイコさんはポタリに加入することに迷いはなかったですか?
愛子 私は当時、ガールズバンドにまったく興味がなくて聴くこともなかったから、どちらかというとやりたくなかったんです(笑)。だからしばらくはサポートとして参加していて。
奈津美 サポートの期間が長かったよね(笑)。
愛子 ただ、その期間に私はほかにもいろんなバンドに参加していたんですけど、その中でもポタリには一番将来性を感じていて。一番本気でやっていたのがポタリだったんですよね。なのでポタリに賭けることにしたんです。
──当初から将来的なビジョンをしっかり持って活動していたと。
奈津美 うん。その頃から「日本武道館で2DAYSワンマンをやりたいね」なんて話をしていましたからね。そういう夢はずっと大事に抱いているし、メンバーが脱退したときも、とにかく前しか見ていなかった。不安もあまりなく、ずっと突き進んでここまで来られている気がします。立ち止まった瞬間が一度もないですから。
音楽を一緒に作ることで深まっていく4人の絆
──ポタリの音楽性に関して、どんなことを大事にしていますか?
詠美 音楽性やジャンルはあまり考えず、とにかくライブで楽しくなれる曲、自分たちが好きと思える曲を楽しんで作ってきている感じです。
奈津美 うんうん。それはずっと変わらずだよね。1回聴いて覚えてもらえるようなキャッチーさとか、お客さんと一緒に声を出せること、みんなで手を上げられることをすごく重視していて。常にライブでの景色を想像して曲作りをするところは一貫してると思いますね。
──ポタリの曲には、メンバーたちが楽しんで音楽に向き合っているであろう姿勢が色濃く感じられますよね。だからこそリスナーも楽しくなる。そういったバンドの姿勢の裏にはメンバー間の絶大な信頼関係があるように思うんです。ナツさんのブログを拝見しても、“仲間”というキーワードがよく出てきますし。
奈津美 ああ確かにそうですね。バンドだからみんなで音楽を作るという意識はもちろん大きい。でも、それ以前に仲間と一緒にいることが楽しいという感覚があって。その部分をまず大事にしていたいんですよね。私も年末に自分のブログを読み返してたんですけど、その気持ちはまったく変わってないなって思った。それがいいのか悪いのかはわかんないんだけど(笑)。
──すごく素敵なことだと思います。今のポタリは同級生バンドではないから、そこにある信頼は活動の中で丁寧に築き上げてきたものでしょうし。
奈津美 うん。ツアーで全国を回るときは自分たちで車を運転して行くんですけど、その車中もすごく楽しくって。そういう大切な時間を積み重ね、音楽を一緒に作っていく時間を積み重ねていくことでメンバー同士の関係がどんどん濃くなってるとすごく感じます。各メンバーに対しての尊敬も大きいんじゃないかな。同じ学校でクラスが一緒だったらたぶん仲良くなっていない4人だと思うんですよ。それくらいみんな自分にないものを持ってる。だからこその尊敬と信頼なんだと思いますね。
ポタリを彩る4人の個性
──尊敬し合えているというメンバーのパーソナリティをもう少し掘り下げさせてください。各メンバーが楽器のパート以外で担っているバンド内の役割はどんなものだと思います?
愛子 基本的な指揮を執ってくれるのはエミですね、間違いなく。ポタリのリーダーなので。
奈津美 決断力があるよね。
詠美 もともとそういうタイプではないんですけど、4人が集まったときには誰かがどうにかしてバンドをまとめなきゃいけないので(笑)。なので自分なりに引っ張ってきたところはあるような気がします。バンドに対しては人一倍情熱を持っていると思うので。
愛子 ナスカワはにぎやかしだね(笑)。
茄子川 そこは空気作りが上手って言っとこうよ! カッコよく。
愛子 すぐに人と仲良くなって、連絡も積極的に取ってくれるんですよ。自宅でごはん会をよく開催してくれて、メンバー間で話す機会を自然に作ってくれることもあるし。そういうところではすごく助かってますね。
詠美 一時期アヒージョにハマりすぎてアヒージョ会しまくってたよね。
茄子川 ごはん会を開催するのは何か食べたいけど1人じゃ寂しいからなんですよね(笑)。あと曲作りが難航してるとき、うちに集まって夜な夜なパソコン作業することもあります。
奈津美 お家だから、疲れたら化粧落とさずに寝ても大丈夫なのが助かるね(笑)。
茄子川 じゃあ次はアイコ。彼女は天然だと思いますよ。
愛子 それ役割じゃないじゃん!
詠美 物販を担当してくれてます。それは大事な役割。
茄子川 アイコは一番しっかりしてそうだし、しっかりしていてほしいんです。だけどしっかりしていないところがあるから何かとひと笑い起きるっていう。
愛子 なごませ役か。そんなサービスしたつもりはないんですけどね(笑)。
奈津美 アイコは何事に対してもはっきり言ってくれるんですよ。アイコなりに気を遣ってくれてるとは思うけど、基本はどストレート。大事なことをぼやかさないところは尊敬できます。
愛子 メンバー内で思いが伝わんなかったらまったく意味がないもんね。時間の無駄だなって思うから。
──では最後、ナツさんは?
愛子 ポタリのアイコンと言えるんじゃないでしょうか。ナツのキャラクター=ポタリのキャラクターだとみんな思ってるし。
──楽曲に満ちているポジティブな雰囲気をナツさんが担っているような印象もありますよね。
奈津美 それは確かにそうかも。自分で言うのも変ですけど超楽観的で、どんなことでもなるべく悲しく考えない。なるべく楽しく前向きにって思うから。
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全員参加で広がった曲作りの可能性
- ポタリ「ポタリの3」
- 2019年2月6日発売 / TREASURISE RECORDS
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[CD] 2500円
TRISE-0031
- 収録曲
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- 途切れた呼吸
- bestie
- それでも
- あじさい
- 限りなく赤
- 君のままで
- MONSTER(Album ver.)
- ランダムウォーク
- 永遠
- サタデーナイト
- LIFE
- 遠い君
ツアー情報
- ポタリ「ポタリing TOUR 2019 ~あなたのbestie“参”上!~」
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2019年2月15日(金)
神奈川県 横浜BAYSIS
<出演者> ポタリ / littleneem -
2019年2月17日(日)
富山県 Soul Power
<出演者> ポタリ / マチカドラマ / シルエ / the cells / HORIZIC / ある生き物の記録 -
2019年2月23日(土)
福島県 LIVE STAGE PEAK ACTION
<出演者> ポタリ / TENDER TEMPER / THE GREENBACK / Holograph / Chronograph / チロル / ポピ(オープニングアクト) -
2019年2月24日(日)
宮城県 FLYING SON
<出演者> ポタリ / QoN / A11yourDays / ヨワノツキ / aurelia / BruteRocks -
2019年2月25日(月)
新潟県 GOLDEN PIGS BLACK STAGE
<出演者> ポタリ / QoN / A11yourDays / useless human being / Sound Sleep / Monstera -
2019年3月3日(日)
静岡県 Shizuoka UMBER
<出演者> ポタリ / リアクション ザ ブッタ / unblock / Bray me -
2019年3月5日(火)
広島県 広島セカンド・クラッチ
<出演者> ポタリ / ゆるふわリムーブ / The ラストボーイズ / Alia / RAIL(E)RUSH -
2019年3月6日(水)
福岡県 Queblick
<出演者> ポタリ / 彼女 IN THE DISPLAY / ZOO THE ANNUAL PASSPORT / ミズニウキクサ / みきなつみ -
2019年3月7日(木)
山口県 LIVE rise SHUNAN
<出演者> ポタリ / EARNIE FROGs / THREE OUT / こえだ / ZOO THE ANNUAL PASSPORT
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2019年2月15日(金)
神奈川県 横浜BAYSIS
- ポタリ東名阪ワンマンツアー2019
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- 2019年3月16日(土)東京都 TSUTAYA O-Crest
- 2019年3月23日(土)大阪府 LIVE HOUSE Pangea
- 2019年3月30日(土)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
- ポタリ
- 愛知県を拠点とするガールズロックバンド。2007年に結成され、数回のメンバーチェンジを経て、2012年以降は鈴木奈津美(Vo)、中西詠美(G)、内田愛子(B)、茄子川(Dr)の4人で活動している。明るくキャッチーなメロディと、女子の共感を生むリアルで日常的な歌詞、元気でフレンドリーなメンバーのキャラクターが持ち味。2012年にサンデーフォークプロモーションによる東海地区限定オーディション「TANK! the AUDITION」で優勝したほか、2016年にはJ:COM主催の「MUSIC GOLD RUSHコンテスト」でグランプリを獲得するなど、着実に知名度を上げていく。2019年2月に3rdフルアルバム「ポタリの3」をリリース。同月より対バンツアー「ポタリing TOUR 2019 ~あなたのbestie“参”上!」を行い、3月には東名阪ワンマンツアーを開催する。