自分たちが楽しむことが一番

──そういったうれしさを経験しつつも、まだまだ満足することはないんですよね。

Mitsuhiro　はい。みんな、そうやって大事な時間とお金を費やして足を運んでくれてるわけじゃないですか。僕たちだって、その大変さは身に沁みてわかるし。もちろんライブは一生懸命やってますけど、ふと振り返ったとき、それに見合うだけの価値を提示できてるのか不安になったりもして。まずはそこで揺るぎない自信を持ちたい。

TAKUMI　バイトしてる人だったら、ライブの日は思い切ってシフト表に「出れません！」って書いてるわけで。そういうことも考えたら、もっとがんばらないとなって気持ちになりますよね。

──より自信を手にするためには何が必要だと思いますか？

Mitsuhiro　例えセットリストが同じだったとしても、毎回違う感動を届けられるようになりたい。細かいことで言うと、曲を始めるときに言う決まり文句ってあるじゃないですか。僕はその決まり文句を言う前に、必ずその瞬間に感じたことを付け加えて言うようにしてるんです。その言葉が1つあるだけで、違うライブになると思ってるから。それは心がけてますね。

TAKUMI　僕はもっと可能性を見せていくべきだと思っていて。ライブを観てくれた人が「NECOKICKS、もっといけるんじゃないかな？」と感じてくれたり、バンドが先に進む光みたいなモノが見えるようにしたい。例えばライブの動員が厳しいとき、足を運んでくれたお客さんが「あれ？ 今日は人が少ないな」って寂しさを感じるかもしれないけど、そんなときでも可能性を感じさせるライブをしたいって思うんです。僕らは“一般ピーポーがちょっとデカいことに挑戦してる”っていうのがスタンスとしてあって。いつも限界を超えるっていうのをテーマにしてるんです。だから出し切れなかったなと感じたときがいちばんつらい。

Mitsuhiro　そうなんだよね。出し切っていかないとね。

織田　2人ともちゃんと考えてるなー。僕ら、あんまり難しく考えてなくて。結局、自分たちが一番楽しかったら、お客さんも楽しいだろうなって思ってるんです。気持ちがちゃんと乗れば、それがそのまま伝わるだろうっていう。

TAKUMI　NECOKICKSはみんな考えちゃうタイプで、さっきみたいな話をよくするんですけど、結論としてはそうなんですよね。楽しむのが一番大事。POTとツアーを回ってよかったなと感じたのは、それに気付けたことだったりもして。ライブをやっていくうちに、今日のライブがよかったのか悪かったのかわからなくなったことがあったんです。でもそのときにPOTのメンバーが「お前が楽しかったらいいんだよ」って言ってくれて。シンプルに楽しむことの大事さを痛感した。

織田　オレら、バカやからあんまり考えられへんねん（笑）。

TAKUMI　ハハハハ（笑）。でもすごくうれしかったんですよ。

さらに前進する2016年

──そしてさらに前へ進んでいくバンドとして、EVERLONGとPOTは新作がリリースされますね。

Mitsuhiro　新作の出来はもう最高ですね。最初に話しましたけど、先輩バンドの真似から始まり、そこから日本語詞っていう武器を手にして、もっと自分たちの世界観を出せるはずだっていう気持ちで臨んだのがこの「シグナルE.P」なんです。誰がなんと言おうと、これがEVERLONG。完璧にEVERLONGになった作品だと思ってます。

織田　EVERLONGと一緒にライブをやったときに「シグナルE.P」をもらって、その帰り道にまこと（Dr）と機材車で聴いてたんです。で、聴き終わったとき、2人とも「いいなー」ってつぶやいたぐらい。いい作品だよね。

Mitsuhiro　うれしいなー。

TAKUMI　僕とみっちゃん（Mitsuhiro）って、会うたびに「最近はどうっすか？」って曲作りの話をするんです。で、みっちゃんは「いやー、どうかなー」とか言ってたけど、めっちゃいいのができてるし。なんかテスト前に「オレ、勉強してないんだよね」って言われてたのに高得点を取られた感じ（笑）。

織田　4曲目の「シグナルとシグナレス」の歌詞とか、「いいこと言うな」って、ちょっと泣きそうになった。

Mitsuhiro　POTの「MISH MASH」は“らしさ”が全開だよね。

TAKUMI　そうそう。それがすごいなって。

織田　今回、休んでたよしくんがようやく復活したのもあるし、今まで以上にいろんな感情がオレの中に生まれて。だから、ライブでやることを全然考えんと、思ったままに作ったのがこの作品で。結果、「ライブで歌えるのか、これ？」ってぐらいキーの高い曲も生まれました（笑）。

一同　ハハハハ（笑）。

Mitsuhiro　その話を聞くと、本気っぷりがわかるんだよね。POTらしさでもあるけどさ。

TAKUMI　聴けばライブの映像が浮かんでくるし。これは盛り上がるだろうなー。あとは織田さんがバシッと高い声を出してくれたら（笑）。

織田　ツアーまでには仕上げるし、がんばったらどうにかなるって思ってる（笑）。

Mitsuhiro　でも、そういうノリってあるよね。オレも「これ、歌えんでしょ？」って曲を作っちゃったりするし。ただ、そういう曲が生まれたときは、まだバンドが成長してるってことでもあるのかなと。実際ツアーでやっていくと、ちゃんと歌えるようになるから。

織田　あるな、それ。最初はちょっと不安もあるけど、ファイナルにはしっかり歌えるようになってるっていう。

──作品に関するところだと、NECOKICKSは昨年、作品を2枚リリースしましたね。

TAKUMI　昨年4月にそれまでの曲を新録してまとめたベスト盤「ネコキ名人スーパーベスト」を、昨年9月に新作として「世界セイフク.EP」を出したんですけど、早くまた新しい作品を作りたいなって思いますよ。めっちゃいいのを作って、2人にも聴かせたいです。

──2016年はどんな1年になりそうですか？

Mitsuhiro　いい1年になるよう、積極的にいろんなことに挑戦していきたいです。

織田　ホントに楽しみが多いですね。メンバーが復活してから初めてのツアーもあるし、すごくワクワクしてますよ。

TAKUMI　正直、2016年は相当に仕掛けていきたいと考えてて。人見知りな部分もあるけど、活動の幅も広げて前のめりにしていこうかなって。昨年、POTとはめちゃめちゃ一緒にやって、そこから影響を受けたところでもあるんですけど、どんどん周りを巻き込んでいけるようになりたいし。自分たちだけでやってるんじゃなくて、みんなで一緒に何かを起こしていきたいなと考えてます。