音楽ナタリー Power Push - POT × EVERLONG × NECOKICKS
東名阪の新鋭バンドが見据える未来とは
POTがミニアルバム「MISH MASH」を、EVERLONGが1stシングル「シグナルE.P」を1月13日にリリースする。
音楽ナタリーではこの2作の発売を記念した特集を展開。大阪を拠点に活動するPOT、名古屋が拠点のEVERLONGという2組の魅力を紹介するべく、東京を拠点に活動する同世代バンドのNECOKICKSとの鼎談を実施した。POTから織田(Vo, G)、EVERLONGからMitsuhiro(Vo, B)、NECOKICKSからTAKUMI(Vo, G)を招集し、それぞれの音楽の作り方や今の若手バンドシーンなどについて話してもらった。
取材・文 / ヤコウリュウジ 撮影 / 後藤倫人
マジメすぎるEVERLONG、パーティ系のPOT、センスのいいNECOKICKS
──皆さん、音楽ナタリー初登場ということでバンドの概要を簡単に説明していただきたいんですが、せっかく親交の深い3バンドですし、自分以外のバンドを紹介していただく流れにさせていただこうかなと。では、まずEVERLONGから。
織田(POT) EVERLONGはバンド全体の印象として、なんかかわいいんですよ。音楽に対しても人に対してもマジメやし。それこそマジメすぎて損してるところもあるんじゃないかなってぐらい。その印象が強いな。
TAKUMI(NECOKICKS) その感じわかります。POTとEVERLONGが所属してるTRUST RECORDSって攻めてくるっていうか、前のめりなバンドが多い印象があって。その中でもEVERLONGはちょっと後ろで様子を伺ってるイメージ。ウチらも似たところがあるから仲よくなれたんだと思いますけど。
Mitsuhiro(EVERLONG) すごくわかる(笑)。初めて3組でスリーマンをやった「FREEDOM NAGOYA」の後夜祭でもPOTを介してNECOKICKSとの距離が詰まったしね。
──では、そのPOTについてはどう紹介します?
TAKUMI POTはパーティ系ですね。それはライブの雰囲気だけじゃなくて、バンドがお客さんや関係者など、みんなを巻き込んでいく力があるんですよ。そういう雰囲気作りがとても上手だなって思ってます。
Mitsuhiro 初めて対バンしたとき、POTのメンバーが「TRUSTのバンドだよね? 仲よくしてよ」って言ってきてくれて。人見知りなオレらとしてはうれしかったですね。
織田 僕らとしてはまだTRUST所属じゃなかったから、ゴマすりのつもりやったけど(笑)。
Mitsuhiro ははは(笑)。だからか第一印象としてはいいお兄ちゃんたちだなって。
TAKUMI 確かに、POTは同世代なのにお兄ちゃん感がある!
Mitsuhiro で、実際にライブを観てみたら、僕らと同じようなアプローチ……日本語詞の曲があって、速い2ビートの曲もやってて。一緒にツアーとかを回ったら楽しいだろうなって。
──そして、この3バンドの中ではより歌を際立たせてるNECOKICKSについてはいかがですか?
Mitsuhiro 自分にはない日本語やメロディの使い方をしてて。そういうセンスがうらやましいなって思いましたね。
TAKUMI 初めて対バンしたのって、EVERLONGの「プラントワーム」のレコ発ツアーファイナルでしたよね。
Mitsuhiro そうそう。僕らはそれまで英語詞メインのメロディックパンク系のバンドとばっかり一緒にやってたんだけど、その頃から、NECOKICKSみたいな日本語の歌モノをメインにしたバンドとやるようになるようになって。だから、新しいEVERLONGになるために、後押しをしてくれたバンドの1つがNECOKICKSだと思ってるよ。
TAKUMI それはうれしいなー。
英語詞から日本語詞へ
──3バンドとも、結成当初から考えると音楽的に変貌を遂げてますよね。
Mitsuhiro 僕らの場合、最初はメロディックパンク色が強かったと思います。
TAKUMI そこはウチらも一緒で。英語詞や2ビートもやってましたから。
織田 僕らも同じです。メロディックパンクからスタートして、だんだんと日本語詞に変わっていって。新作では日本語詞しかやってないっていう。
Mitsuhiro 僕らは大学で結成したんだけど、先輩でオリジナルバンドをやってる人がいて。その人たちが英語詞のメロディックパンクバンドだったんだよね。だから、その真似じゃないけど、「ああいうふうにやってみようぜ」っていうのが大きかったかな。で、英語詞でやり始めたんだけど、歌詞を書くときに、日本語から英語に訳す作業が学力的につらくて(笑)。
一同 はははは(笑)。
TAKUMI でもそれはある!
織田 ウチらも日本語を英語に訳す作業が向いてなくて、嫌になったもん。それで「だったら、できることをやろう!」って日本語詞になっていった。
Mitsuhiro 英語に訳す作業があることによって、歌詞に込めた思いがそのまま伝えられないなって思うこともあるし。
TAKUMI 日本語、いいっすよね。
織田 やな。もちろん、日本語詞なりの難しさっていうのもあるけど。
TAKUMI POTは日本語をメロディに乗せるのがうまいと思う。
織田 でもまだ引き出しがそんなに多くないから、作ってると「また同じ感じのフレーズや……」っていうこともあるよ。
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収録曲
- Hustle on the Beach
- Take it easy
- Reversal World
- [Juvenile]
- Let it die ~Aim~
- COUNTDOWN
- Jolly summer
- Someday
収録曲
- あなた
- ヨナギ
- 明日から本気出す!
- シグナルとシグナレス
POT(ポット)
よしくん(Vo, G)、よっぴー(Vo, B)、織田(Vo, G)、まこと(Dr)からなる、大阪出身の4人組バンド。2014年7月に1stフルアルバム「ARCO IRIS」を名古屋のインディーズレーベル・TRUST RECORDSから発表し、初めてのリリースツアーを回った。しかし同ツアーの“ファイナルシリーズ”を前によしくんが急病のため、活動休止を余儀なくされる。その後2015年11月まで、サポートメンバーを迎え、ライブを続行。よしくんのライブ活動休止中である2015年6月にはシングル「JODEL」を1000枚限定でリリース。2日で完売させた。2016年1月にミニアルバム「MISH MASH」を発売する。
EVERLONG(エバーロング)
Mitsuhiro(Vo, B)、KIMU(Dr, Cho)、Yu-ta(Vo, G)からなるスリーピースバンド。愛知県名古屋市で結成され、現在は名古屋のインディーズレーベル・TRUST RECORDSに所属している。2014年1月に1stフルアルバム「プラントワーム」を発表。文学的な歌詞と、どこか懐かしいメロディが人気を呼び、その名を全国に知らしめた。2ndアルバム「コインランドリーには」を経て、2016年1月に1stシングル「シグナルE.P」をリリース。
NECOKICKS(ネコキックス)
長野県出身のTAKUMI(Vo, G)、KO-Ki(Dr)、YU-TA(B, Cho)、HARA-KUN(G, Cho)からなるロックバンド。2011年5月に東京で結成された。2014年8月に発売されたグッドモーニングアメリカ企画のコンピレーションアルバム「あっ、良い音楽ここにあります。その四」に「1秒先の未来」が収録され、知名度を一気に上げる。2015年4月に1stフルアルバム「ネコキ名人スーパーベスト」を、同年9月にミニアルバム「世界セイフク.EP」をリリースした。