ライブでもこれまでと違った世界観を作れそう
──アレンジはtasukuさんとポルノの共同クレジットとなっています。曲としてのタイプはまったく違いますけど、アレンジのアプローチに関しては前作「カメレオン・レンズ」との共通点を感じたところもあったんですよね。
岡野 うん、その通りですね。ギターとストリングスが生で、リズム隊が打ち込みっていう。風を感じさせるストリングスの存在感であったり、ギターのオブリガートやメロディをより生かすためには、リズムは打ち込みのほうがいいだろうなっていう判断ですね。「808(ローランドのリズムマシン・TR-808)のタムの音がちょっとかわいすぎるから違うのに変えて」とか、かなり細かい部分までこだわってやりました。tasukuくんは困ってましたけど。あまりにいろいろ試しすぎて、「どれが完成形かわかりません!」みたいな(笑)。
新藤 全体的な音数が少ないから、打ち込みであってもリズムが立つし、各楽器の倍音みたいなものも気持ちよく響いてくる。そこらへんは「カメレオン・レンズ」との共通点としてあります。で、今回は俺のテレキャスがいい音してるなっていうのもある(笑)。あんまり弾いてないけどね。
岡野 今回、ダビングしてないよね?
新藤 サビだけはしたかもしれんけど、ほとんど1本。個人的に音の立ち上がりを速くするピッキングをずっと練習していたので、それが今回のレコーディングではうまくできたかなと。「このニュアンスは絶対生かしてください!」ってミックスのときにお願いしましたから(笑)。
──昭仁さん、ボーカルに関しては今回どんな気持ちで臨みましたか?
岡野 曲の最後に「ブレスのできない歌は誰も唄えやしない」って歌詞がありますけど、実際まあまあブレスしてないなと思いながらレコーディングしてましたね(笑)。また自分で難しい曲作っちゃったな、みたいな。まあでも歌に関しては頭で考えるのではなく、いつも通りに歌った感じですね。メロディを何度も作り直している中で仮歌も歌いまくっていたので、しっかりメロディがカラダに入った状態でレコーディングに臨むことができました。時間もかからず、すんなり終わりましたよ。
──この曲はライブでもいい雰囲気になりそうですよね。特に夏の野外なんかで聴いたら気持ちよさそう。
岡野 シングルではこういうタイプの曲ってあまりなかったから、ライブでもまたこれまでと違った世界観を作れそうな気はしますよね。この曲の物語を集約させる意味も込めて最後にはみんなで歌えるコーラスパートも用意しましたから。
──ハッピーなシンガロングが巻き起こりそうですね。
岡野 そうなるんじゃないですかね、きっと。そうなるといいですよね(笑)。
新しい視点は積極的に試していきたい
──カップリングの曲についても伺えればと思います。まずは昭仁さんが作詞・作曲を手がけた「海月」は、美しくダークな世界観をまとったEDMですね。
岡野 もともとは「カメレオン・レンズ」のカップリングに入れる予定で作り始めたんですけど、諸事情で今回収録することになりました。僕が持っていたデモのかけらみたいなものをもとに、tasukuくんにまずトラックメイキングしてもらったんですよ。で、上がってきたトラックに対してメロディを書き足して、それに対してコードやキーが変わって……みたいなやり取りを何度もしながら全体を膨らませていった感じでしたね。そういう作り方をしたのは、僕としては初めてかもしれないです。
──「海月(くらげ)」をモチーフにした歌詞がサウンドの世界観とマッチしていますね。
岡野 サウンドの音色やら何やらから発想した歌詞です。海に漂っているような音がトラックに入っていたので、そこから海月が出てきて。最終的にはちょっと哲学的なところまで行っちゃってますけどね。生き物って素晴らしい! 地球って素晴らしい!みたいな(笑)。
──ギターはかなりエフェクトがかかってますよね。
新藤 打ち込みの曲だったからフレーズをぶつ切りにして録ったんですよ。だからすぐ終わりましたね。
岡野 ループの手法で作ろうってことになったからね。
──ワンフレーズだけ弾いて、あとはデータを貼り付けてループさせている?
岡野 貼ったの、あれ? 同じフレーズが繰り返されてはいるけど。
新藤 いや、tasukuくんはそれやらせてくれんのよ。繰り返してるところも全部生で弾けって言うんよ。せっかくだからって(笑)。
──あははは(笑)。間奏のギターは?
新藤 ディレイをかけたギターの上でキャンキャン言わせてるところ? あれはもう、曲自体のイメージがRadioheadだから(笑)。そういうことができたらいいなと。これもまた曲に対してのある種の異物感ではありますね。
岡野 この曲でもまた新しいことができたなとは思いますね。ツアーも一緒に回っているtasukuくんは僕らにとっても近しい存在だから、いろんな発想や刺激を与えてくれるんですよ。ポルノとして、そういう新しい視点は積極的に試していきたいんですよね。そうすべき時期でもあると思うから。
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思うがままに出た「イヤー」
- ポルノグラフィティ「ブレス」
- 2018年7月25日発売 / SME Records
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初回限定盤 [CD+DVD]
2000円 / SECL-2307~8 -
通常盤 [CD]
1300円 / SECL-2309 -
期間生産限定盤 [CD+DVD]
1600円 / SECL-2310~1
- 初回限定盤、通常盤CD収録曲
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- ブレス
- 海月
- ライラ
- 期間生産限定盤CD収録曲
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- ブレス
- 海月
- ライラ
- ブレス instrumental
- 初回限定盤DVD収録内容
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- 「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017」ライブ映像
- 期間生産限定盤DVD収録内容
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- 「劇場版ポケットモンスター みんなの物語」 short movie with 「ブレス」
- ライブ情報
ポルノグラフィティ「しまなみロマンスポルノ'18~Deep Breath~」 -
- 2018年9月8日(土) 広島県 広島県立 びんご運動公園
- 2018年9月9日(日) 広島県 広島県立 びんご運動公園
- ポルノグラフィティ
- 岡野昭仁(Vo)と新藤晴一(G)からなるロックバンド。1999年9月にシングル「アポロ」でメジャーデビューし、2000年7月のシングル「ミュージック・アワー」がポカリスエットCMソングに採用され大ヒットを記録する。続く「サウダージ」は初のミリオンセールスとなり、一躍トップアーティストの仲間入りを果たす。その後も「アゲハ蝶」「メリッサ」「ハネウマライダー」などヒット曲を連発する。2014年9月には結成15周年の集大成となるスタジアムライブ「神戸・横浜ロマンスポルノ'14 ~惑ワ不ノ森~」を開催し、さらに2016年にも横浜スタジアムライブを行い2日間で6万人を動員するなど精力的にライブやリリースを重ねる中、2017年には初の台湾ワンマンライブを開催。夏には「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」を始めとするフェスや野外ライブイベントに参加した。同年10月に通算11枚目のオリジナルアルバム「BUTTERFLY EFFECT」をリリースし、11月より「15thライヴサーキット“BUTTERFLY EFFECT”」を開催。2018年3月にシングル「カメレオン・レンズ」を、7月に「劇場版ポケットモンスター みんなの物語」の主題歌「ブレス」を含む同名シングルを発表した。9月には地元の広島・広島県立びんご運動公園にて野外ライブ「しまなみロマンスポルノ'18~Deep Breath~」を行う。