僕らを許容してもらえるカルチャーになった
──今年のポルノはいくつかの夏フェスに出演されましたね。いかがでした?
僕らのような、ある種お茶の間的なグループもロックフェスになじめるようになってきたんだなってすごく思いました。そこに排他的な感じは一切なかったから。僕らが挑戦としてフェスに切り込んでいったと言うよりは、僕らを許容してもらえるカルチャーになったんだなって印象が強いですね。お客さんも垣根なくいろんな音楽を楽しんでいることがわかったので違和感は全然なかった。ただ、その中で僕らがフェスに出る意味みたいなものはすごく考えたし、そこに関しての総括はまだできていない感じもあるんですけど。
──具体的にはどんなことを考え、それをどうステージに生かしたのでしょうか?
要は、古いヒット曲をやって喜んでもらうだけじゃ意味がないなと思ったんですよ。そこにいる人たちの記憶と今の僕らとの距離を縮めるためのライブをしなきゃダメだよなっていう。幸いなことにヒット曲があることは強みにはなりますけど、ともすれば懐メロのバンドになっちゃうだけなんで。
──今のポルノをしっかり感じ取ってもらって、ワンマンライブにも足を運んでもらえるような関係になれるのが理想ですもんね。
うん。でも今の自分らだけを見せてもね、喜んでもらえなかったらそれもまた意味がないわけで。そのへんのバランス、塩梅は昭仁といろいろ話しながらセットリストを決めました。
──前に晴一さんは「イベントよりワンマンライブのほうが好き」と話してくれたことがあるのですが、その気持ちは変わりました?
フェスに出る楽しさはわかりましたよ。うん、すごく楽しいです(笑)。ただ、試行錯誤できるという意味ではやっぱりワンマンのほうが好きなんですよね。フェスに関しても、そこに出る意味をここからまたより深く探していくことで気持ちに変化があればいいなとは思ってますけど。出れば楽しいことはわかったからね。
キラキラ映画をイメージした「君の愛読書がケルアックだった件」
──今後も夏フェスで暴れてくれることに期待してます。では新作のお話を伺いましょう。まずは「BUTTERFLY EFFECT」というタイトルに込めた思いを聞かせてください。
今回でアルバムは11枚目で、これまでにまあそれなりの数の曲を作ってきましたけど、例えばApple MusicとかGoogle Playにはすでに数千万曲っていうストックがあって、有名な名曲も無名な名曲もたくさんあるわけじゃないですか。そこに今、さらに僕らの14曲を増やすことにどういう意味があるんだろうって思うことがあったんですよ。単純に、世の中にある曲の数に圧倒されて、打ちのめされたっていう話なんですけど(笑)。
──なるほど。
でも音楽が海だとしたら、どの時代にも新しい音が鳴っていないとそれは保たれないわけだから、例えちっちゃな雨の1粒にも、僕らが作った14滴の雫にもきっと意味があるんだろうなという考えに至ったんです。で、最初は「DROPS」とかそういうイメージのタイトルを考えてたんだけど、いろいろ話していく中で転じて、「BUTTERFLY EFFECT」という言葉になりました。ここで蝶々が羽ばたけば、それが伝わって地球の裏側では嵐が起きるみたいな。
──曲という雫がもたらすであろう影響はシーンに対してのものであると同時に、きっとポルノグラフィティ自身に対してのものでもありますよね。
あー、そうですね。そこを具体的にイメージはしてなかったけど、もちろんそういう意味もあると思います。僕らは自分たちのやっていることの意味をしっかり感じたいし、感じようとしてやっているところがありますからね。だからこそ、できた楽曲たちが未来の自分たちに何らかの影響をもたらすことは当然あるわけなので。
──収録曲は今回、ストックから選ばれたものが多いそうですね。
そうなんですよ。シングルを出すタイミングでは、表題曲のためにたくさんの曲を作ることも多くて。そういうことの積み重ねをしてきた結果、箸にも棒にもかからないような楽曲も含め(笑)、80くらいのストックがあったんです。そこから、単純にいい曲とか面白い曲とかっていう基準で選りすぐっていきました。今回、僕の書いた曲に関してはほとんどストックですね。もちろんアレンジや歌詞は改めて見直して今の音にするようにはしてますけど。
──一番古くからあった曲というと?
「夜間飛行」のメロが一番古いんじゃないかな。たぶん4、5年前からあった。いつか出したいなと思いつつもなかなかタイミングが合わなくて、僕としては満を持してな感じですね。「そろそろもう入れてくれ!」っていう(笑)。あと「君の愛読書がケルアックだった件」も1、2年前にはもうありました。
──この曲は歌詞も曲も実に晴一さんらしいなあと思いました。
そうですね、はい(笑)。最近、キラキラ映画って多いじゃないですか。この曲はメロだけ聴くとそういう映画に合いそうだなと思ったから、自分の中で架空のキラキラ映画を作り、そのテーマ曲として書きました。細かいストーリーまでは考えてないけど、主人公の女の子がケルアックを読んでるっていうイメージで。
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ミサイルが飛んだ前日に書いた「170828-29」の意味
- ポルノグラフィティ「BUTTERFLY EFFECT」
- 2017年10月25日発売 / SME Records
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初回限定盤
[CD2枚組+DVD]
4000円 / SECL-2238~40 -
通常盤
[CD]
3200円 / SECL-2241
- CD収録曲
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- THE DAY
[作詞・作曲:新藤晴一 / 編曲:江口亮、Porno Graffitti] - Working men blues
[作詞:新藤晴一 / 作曲:岡野昭仁 / 編曲:江口亮、Porno Graffitti] - 君の愛読書がケルアックだった件
[作詞・作曲:新藤晴一 / 編曲:立崎優介、田中ユウスケ、Porno Graffitti] - I believe
[作詞・作曲:岡野昭仁 / 編曲:立崎優介、田中ユウスケ、Porno Graffitti] - LiAR
[作詞・作曲:新藤晴一 / 編曲:tasuku、Porno Graffitti] - Fade away
[作詞・作曲:岡野昭仁 / 編曲:江口亮、Porno Graffitti] - クリスマスのHide&Seek
[作詞・作曲:岡野昭仁 / 編曲:江口 亮、Porno Graffitti] - MICROWAVE
[作詞・作曲:新藤晴一 / 編曲:トオミヨウ、Porno Graffitti] - 夜間飛行
[作詞・作曲:新藤晴一 / 編曲:宗本康兵、Porno Graffitti] - 真っ白な灰になるまで、燃やし尽くせ
[作詞・作曲:岡野昭仁 / 編曲:江口亮、Porno Graffitti] - 170828-29
[作詞・作曲:新藤晴一 / 編曲:tasuku、Porno Graffitti] - Montage
[作詞:岡野昭仁 / 作曲:新藤晴一 / 編曲:篤志、Porno Graffitti] - スパイス
[作詞・作曲:岡野昭仁 / 編曲:tasuku、Porno Graffitti] - キング&クイーン
[作詞・作曲:岡野昭仁 / 編曲:立崎優介、近藤隆史、田中ユウスケ、Porno Graffitti]
- THE DAY
- 初回限定盤CD収録曲
-
SPECIAL LIVE IN TAIWAN 2017.3.26 @Legacy Taipei
- -OPENING SE-
- THE DAY
- 今宵、月が見えずとも
- ヒトリノ夜
- LiAR
- サウダージ
- アポロ
- ヴォイス
- サボテン
- 黄昏ロマンス
- 愛が呼ぶほうへ
- ANGRY BIRD
- 渦
- ハネウマライダー
- Mugen
- オー!リバル
- メリッサ
- 初回限定盤DVD収録内容
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- "SPECIAL LIVE IN TAIWAN" DOCUMENTARY
- LiAR Video Clip
- 真っ白な灰になるまで、燃やし尽くせ Video Clip
- Montage Video Clip
15thライヴサーキット “BUTTERFLY EFFECT”
- 2017年11月17日(金)埼玉県 三郷市文化会館 大ホール
- 2017年11月20日(月)神奈川県 カルッツかわさき(川崎市スポーツ・文化総合センター)ホール
- 2017年11月23日(木・祝)北海道 釧路市民文化会館 大ホール
- 2017年11月25日(土)北海道 ニトリ文化ホール
- 2017年11月26日(日)北海道 ニトリ文化ホール
- 2017年12月5日(火)香川県 レクザムホール
- 2017年12月7日(木)鳥取県 米子コンベンションセンター BiG SHiP
- 2017年12月9日(土)山口県 周南市文化会館
- 2017年12月11日(月)広島県 広島文化学園HBGホール
- 2017年12月12日(火)広島県 広島文化学園HBGホール
- 2017年12月16日(土)福島県 郡山市民文化センター 大ホール
- 2018年1月11日(木)岩手県 盛岡市民文化ホール 大ホール
- 2018年1月13日(土)宮城県 仙台サンプラザホール
- 2018年1月14日(日)宮城県 仙台サンプラザホール
- 2018年1月17日(水)福岡県 福岡サンパレス ホテル&ホール
- 2018年1月18日(木)福岡県 福岡サンパレス ホテル&ホール
- 2018年1月20日(土)鹿児島県 鹿児島市民文化ホール 第1ホール
- 2018年1月22日(月)熊本県 市民会館シアーズホーム夢ホール(熊本市民会館)
- 2018年1月31日(水)東京都 NHKホール
- 2018年2月1日(木)東京都 NHKホール
- 2018年2月5日(月)東京都 オリンパスホール八王子
- 2018年2月7日(水)神奈川県 パシフィコ横浜 国立大ホール
- 2018年2月9日(金)山梨県 コラニー文化ホール(山梨県立県民文化ホール)
- 2018年2月13日(火)大阪府 フェスティバルホール
- 2018年2月14日(水)大阪府 フェスティバルホール
- 2018年2月16日(金)奈良県 なら100年会館
- 2018年2月21日(水)千葉県 市川市文化会館 大ホール
- 2018年2月24日(土)三重県 シンフォニアテクノロジー響ホール伊勢
- 2018年2月26日(月)愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール
- 2018年2月27日(火)愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール
- 2018年3月2日(金)高知県 高知県立県民文化ホール オレンジホール
- 2018年3月4日(日)徳島県 鳴門市文化会館
- 2018年3月7日(水)静岡県 富士市文化会館ロゼシアター 大ホール
- 2018年3月9日(金)静岡県 アクトシティ浜松 大ホール
- 2018年3月12日(月)埼玉県 大宮ソニックシティ 大ホール
- 2018年3月14日(水)新潟県 上越文化会館
- 2018年3月16日(金)石川県 金沢歌劇座
- 2018年3月18日(日)福井県 フェニックス・プラザ
- 2018年3月20日(火)兵庫県 神戸国際会館 こくさいホール
- ポルノグラフィティ
- 岡野昭仁(Vo)と新藤晴一(G)からなるロックバンド。1999年9月にシングル「アポロ」でメジャーデビューし、2000年7月のシングル「ミュージック・アワー」がポカリスエットCMソングに採用され大ヒットを記録する。続く「サウダージ」は初のミリオンセールスとなり、一躍トップアーティストの仲間入りを果たす。その後も「アゲハ蝶」「幸せについて本気出して考えてみた」「メリッサ」「ハネウマライダー」「オー!リバル」などヒット曲を連発させる。2013年11月に全シングル曲を収録した3枚組のベストアルバム「PORNOGRAFFITTI 15th Anniversary "ALL TIME SINGLES"」をリリースした。2014年9月には15年間の集大成となるスタジアムライブ「神戸・横浜ロマンスポルノ'14 ~惑ワ不ノ森~」を開催し、さらに2016年にも横浜スタジアムライブを行い2日間で6万人を動員するなど精力的にライブやリリースを重ねる中、2017年には初の台湾ワンマンライブを開催。夏には「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」を始めとするフェスや野外ライブイベントに参加。同年10月に通算11枚目のオリジナルアルバム「BUTTERFLY EFFECT」をリリースした。