フェスは意外と普通に楽しめばいいんだな
──ポルノグラフィティは今夏、フェスへ積極的に参加されていましたよね。
はい。ずっと出たい出たいって言ってたんだけど、今まではなかなかタイミングが合わなかったりもして。今年は3本出ることができたので、フェス解禁みたいなイメージはありますね。中でも「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」は僕らのような主にテレビメディアを中心に活動してきたバンドでも受け入れてくれる間口の広さがあったのがすごくやりやすかった。気負わず、いつもの僕らがやっていることをやればいいかなっていう気持ちで臨むことができました。
──ポルノの王道を感じさせるヒット曲満載なセットリストでしたよね。
自分たちのツアーでやっていることの縮小版と言うかね、おいしいとこ取りしたものをやりつつ、でもそこに僕らが“へそ”と勝手に呼んでいるような楽曲や世界観……要は僕らのわかりやすいパブリックイメージがあるとしたら、その裏側にあるような曲をあえてやってみたりもして。そこをどう受け入れてもらえるのか、ある種チャレンジではあったんだけど、全体的にはウエルカムなムードで楽しんでもらえた印象はありましたね。
──フェスに出てみて発見したことはありますか?
そんなに奇をてらわずに、意外と普通に楽しめばいいんだなってことがわかりました(笑)。今までは、ロックフェスというものに対してすごく構えてしまってた時期もあったんですよ。そういう場所に出ているロックバンドとは相まみえない存在なんだろうなって勝手にコンプレックスを持っていたと言うか。そこで認めてもらうことを意識して楽曲を作っていたこともあったくらいだから。でもそういう意識はここ7、8年で薄れてきていたから、ちょうどいいタイミングでフェスに出ることができたような気もしていて。僕らもちゃんと相見えることができるんだなって安堵感もありましたね。
──フェスではほかの出演バンドとの交流もあったそうですね。
そうそう。ステージ裏でね、LAMP IN TERRENやcoldrain、ROTTENGRAFFTYとかが「昔よく聴いてました」みたいな感じで声をかけてくれたりもして。それがすっごく意外だったんですよ。さっきも言ったように僕らとほかのバンドは違う世界で活動してるから、現場に行ったら疎外感みたいなものがあるんだろうなって勝手に思ってたし、僕はもともと外に向けてドアを積極的に開いていくタイプではないから、バックステージではひっそり待機してようって思ってたし(笑)。でも実際は気さくに話しかけてもらえたし、そのことによって、僕らがわずかでも影響を与えてたバンドが今のフェスで活躍していることがわかったというかね。そんな子たちと一緒のステージに立てるってことはホントに感慨深いし、楽しいことだよなって、改めて思ったところもありました。
書いているテーマは大きく言うと2つくらいしかない
──自分たちが生み出した音楽が若い世代に影響を与えていることは、まさに今回のアルバムタイトルになっている「BUTTERFLY EFFECT」(バタフライ効果)でもありますよね。1匹の蝶の羽ばたきが思いがけぬ場所で大きな風を巻き起こすという意味の言葉で。
そうですね。僕らの活動にそういった意味があることに気付けたからこそ、自分らの思うがままにやっていいんだなって改めて思えました。それはライブにしても楽曲制作にしても。違う自分らを出すために、無理に狙っていかなくてもいいんだなって。
──アルバムにはさまざまなタイプの楽曲が収録されていて、そこからはもちろん新たな表情もうかがえますが、全体的にはすごくナチュラルに“ポルノらしさ”をまっとうしている印象があります。今回の楽曲たちはいつ頃書かれたものなんでしょう?
今回はね、ストック曲から選ばれたものがかなり多いんですよ。今までに書き溜めていたものが、もう自分では選びきれないくらいホントにたくさんあって。なのでスタッフの意見も聞きながら選んでいきました。別にね、最新の曲だけを入れることに重きを置いているわけじゃないし、3年前に作ったものであろうがいい曲だったら入れればいいじゃんっていう、いい意味での気楽さもあったので。僕が書いた曲で言うと、「Fade away」と「スパイス」、「I believe」は今回のタイミングで書きましたけど、それ以外はけっこう前の曲です。
──ご自身で書かれた曲を眺めてみて、今回はどんな傾向があると思います?
僕はやっぱりギターサウンド、バンドサウンドが基本的に好きなんだろうなっていうのは感じますね。「クリスマスのHide&Seek」はちょっと毛色が違いますけど、それ以外はだいたいそんな印象。思うがままに作るとどうしてもそういうサウンド感になると言うかね。「Working men blues」なんかは江口(亮)くんがアレンジをしてくれているけど、僕が作ったデモの雰囲気をかなり残してくれたところがあって。アレンジャーが残したくなるくらい、個人的な嗜好が出てたってことなんだと思うんですよね。
──ご自身が紡いだ歌詞に関しては何か感じることはありますか?
結局ね、僕の書いているテーマは大きく言うと2つくらいしかないんですよ。「困難に立ち向かって前に進もう」ってことと、「今大事にしたいものをしっかり大事にしよう」ってこと。その振り幅の狭さに悩んで、もっといろんなことを全方位的に書けるようにならなきゃなって考えてた時期もあったんです。でも最近は、今の時点で書きたいことがそれしかないんだったら、そこをどう掘り下げて、言葉を探して突き詰めて書けるかを意識したほうがいいんじゃないかなってすごく思うようになって。だってね、できないものはできないわけだから(笑)。今回は自分なりにしっかり書き切れたような気はしてますけどね。
──ポルノは2人共歌詞を書かれるので、それぞれの個性がバリエーションになる強みもありますからね。
そうなんですよ。これまでは、世間のポルノのイメージと乖離しないように、新藤と同じ切り口で歌詞を書かなきゃいけないっていう思いを勝手に背負ってたところもあったけど、それってお門違いな話なんですよね。自分のできること、自分にしかできない表現をしっかりやっていくことにこそアーティストとしての意味があるんだなってことに今更気付けましたね。
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歌に関しての手綱をしっかりつかめた感覚
- ポルノグラフィティ「BUTTERFLY EFFECT」
- 2017年10月25日発売 / SME Records
-
初回限定盤
[CD2枚組+DVD]
4000円 / SECL-2238~40 -
通常盤
[CD]
3200円 / SECL-2241
- CD収録曲
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- THE DAY
[作詞・作曲:新藤晴一 / 編曲:江口亮、Porno Graffitti] - Working men blues
[作詞:新藤晴一 / 作曲:岡野昭仁 / 編曲:江口亮、Porno Graffitti] - 君の愛読書がケルアックだった件
[作詞・作曲:新藤晴一 / 編曲:立崎優介、田中ユウスケ、Porno Graffitti] - I believe
[作詞・作曲:岡野昭仁 / 編曲:立崎優介、田中ユウスケ、Porno Graffitti] - LiAR
[作詞・作曲:新藤晴一 / 編曲:tasuku、Porno Graffitti] - Fade away
[作詞・作曲:岡野昭仁 / 編曲:江口亮、Porno Graffitti] - クリスマスのHide&Seek
[作詞・作曲:岡野昭仁 / 編曲:江口 亮、Porno Graffitti] - MICROWAVE
[作詞・作曲:新藤晴一 / 編曲:トオミヨウ、Porno Graffitti] - 夜間飛行
[作詞・作曲:新藤晴一 / 編曲:宗本康兵、Porno Graffitti] - 真っ白な灰になるまで、燃やし尽くせ
[作詞・作曲:岡野昭仁 / 編曲:江口亮、Porno Graffitti] - 170828-29
[作詞・作曲:新藤晴一 / 編曲:tasuku、Porno Graffitti] - Montage
[作詞:岡野昭仁 / 作曲:新藤晴一 / 編曲:篤志、Porno Graffitti] - スパイス
[作詞・作曲:岡野昭仁 / 編曲:tasuku、Porno Graffitti] - キング&クイーン
[作詞・作曲:岡野昭仁 / 編曲:立崎優介、近藤隆史、田中ユウスケ、Porno Graffitti]
- THE DAY
- 初回限定盤CD収録曲
-
SPECIAL LIVE IN TAIWAN 2017.3.26 @Legacy Taipei
- -OPENING SE-
- THE DAY
- 今宵、月が見えずとも
- ヒトリノ夜
- LiAR
- サウダージ
- アポロ
- ヴォイス
- サボテン
- 黄昏ロマンス
- 愛が呼ぶほうへ
- ANGRY BIRD
- 渦
- ハネウマライダー
- Mugen
- オー!リバル
- メリッサ
- 初回限定盤DVD収録内容
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- "SPECIAL LIVE IN TAIWAN" DOCUMENTARY
- LiAR Video Clip
- 真っ白な灰になるまで、燃やし尽くせ Video Clip
- Montage Video Clip
15thライヴサーキット “BUTTERFLY EFFECT”
- 2017年11月17日(金)埼玉県 三郷市文化会館 大ホール
- 2017年11月20日(月)神奈川県 カルッツかわさき(川崎市スポーツ・文化総合センター)ホール
- 2017年11月23日(木・祝)北海道 釧路市民文化会館 大ホール
- 2017年11月25日(土)北海道 ニトリ文化ホール
- 2017年11月26日(日)北海道 ニトリ文化ホール
- 2017年12月5日(火)香川県 レクザムホール
- 2017年12月7日(木)鳥取県 米子コンベンションセンター BiG SHiP
- 2017年12月9日(土)山口県 周南市文化会館
- 2017年12月11日(月)広島県 広島文化学園HBGホール
- 2017年12月12日(火)広島県 広島文化学園HBGホール
- 2017年12月16日(土)福島県 郡山市民文化センター 大ホール
- 2018年1月11日(木)岩手県 盛岡市民文化ホール 大ホール
- 2018年1月13日(土)宮城県 仙台サンプラザホール
- 2018年1月14日(日)宮城県 仙台サンプラザホール
- 2018年1月17日(水)福岡県 福岡サンパレス ホテル&ホール
- 2018年1月18日(木)福岡県 福岡サンパレス ホテル&ホール
- 2018年1月20日(土)鹿児島県 鹿児島市民文化ホール 第1ホール
- 2018年1月22日(月)熊本県 市民会館シアーズホーム夢ホール(熊本市民会館)
- 2018年1月31日(水)東京都 NHKホール
- 2018年2月1日(木)東京都 NHKホール
- 2018年2月5日(月)東京都 オリンパスホール八王子
- 2018年2月7日(水)神奈川県 パシフィコ横浜 国立大ホール
- 2018年2月9日(金)山梨県 コラニー文化ホール(山梨県立県民文化ホール)
- 2018年2月13日(火)大阪府 フェスティバルホール
- 2018年2月14日(水)大阪府 フェスティバルホール
- 2018年2月16日(金)奈良県 なら100年会館
- 2018年2月21日(水)千葉県 市川市文化会館 大ホール
- 2018年2月24日(土)三重県 シンフォニアテクノロジー響ホール伊勢
- 2018年2月26日(月)愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール
- 2018年2月27日(火)愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール
- 2018年3月2日(金)高知県 高知県立県民文化ホール オレンジホール
- 2018年3月4日(日)徳島県 鳴門市文化会館
- 2018年3月7日(水)静岡県 富士市文化会館ロゼシアター 大ホール
- 2018年3月9日(金)静岡県 アクトシティ浜松 大ホール
- 2018年3月12日(月)埼玉県 大宮ソニックシティ 大ホール
- 2018年3月14日(水)新潟県 上越文化会館
- 2018年3月16日(金)石川県 金沢歌劇座
- 2018年3月18日(日)福井県 フェニックス・プラザ
- 2018年3月20日(火)兵庫県 神戸国際会館 こくさいホール
- ポルノグラフィティ
- 岡野昭仁(Vo)と新藤晴一(G)からなるロックバンド。1999年9月にシングル「アポロ」でメジャーデビューし、2000年7月のシングル「ミュージック・アワー」がポカリスエットCMソングに採用され大ヒットを記録する。続く「サウダージ」は初のミリオンセールスとなり、一躍トップアーティストの仲間入りを果たす。その後も「アゲハ蝶」「幸せについて本気出して考えてみた」「メリッサ」「ハネウマライダー」「オー!リバル」などヒット曲を連発させる。2013年11月に全シングル曲を収録した3枚組のベストアルバム「PORNOGRAFFITTI 15th Anniversary "ALL TIME SINGLES"」をリリースした。2014年9月には15年間の集大成となるスタジアムライブ「神戸・横浜ロマンスポルノ'14 ~惑ワ不ノ森~」を開催し、さらに2016年にも横浜スタジアムライブを行い2日間で6万人を動員するなど精力的にライブやリリースを重ねる中、2017年には初の台湾ワンマンライブを開催。夏には「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」を始めとするフェスや野外ライブイベントに参加。同年10月に通算11枚目のオリジナルアルバム「BUTTERFLY EFFECT」をリリースした。