ナタリー PowerPush - POP DISASTER
maximum10移籍第1弾の勝負作 3rdアルバム「POP DISASTER」
maximum10
POP DISASTERから3rdフルアルバムが届けられた。今作はセルフタイトルが冠せられたことからもわかるように、中心人物のTakayuki(Vo)が「全部出し切った自信作」と語る力作だ。レーベルをmaximum10に移籍し、アメリカ・ボルチモアでレコーディングを敢行。バンドにとっていくつもの新しい挑戦が詰まった作品に仕上がった。
インタビューにはメンバー全員が参加し、バンドを始めた経緯から音楽的ルーツ、アルバム制作エピソードまでを説明している。そのバンド名から「ポップパンク」とくくられることの多いPOP DISASTERだが、単純なカテゴライズでは判断できない、5人の持つ奥深さと愛らしいキャラクターをこのテキストから感じてほしい。
取材・文 / 荒金良介
NEW FOUND GLORYが半年でCD出したから、俺らも半年で出そう
──基本的なところから伺いますけど、バンド名はGREEN DAYとblink-182が2002年に行ったスプリットツアーのタイトル「Pop Disaster Tour」から付けたんですよね?
Takayuki(Vo) そうですね。僕らの音楽は間違いなくその2バンドに影響を受けているし、一番好きなバンドです。ビッグな2バンドが一緒にツアーすると知ったときに、めっちゃテンション上がって、そのタイトルをバンド名にしようと。バンドは僕、Ebi、Maikoがオリジナルメンバーで、JunkoとHossyはあとから入ったんですよ。
──バンド名に「POP」を付けるのは、勇気がいったんじゃ?
Takayuki ああー、そうですね。でも別に……。
Ebi(G) その2バンドにも影響を受けたけど、一番影響を受けたのはNEW FOUND GLORYじゃないん?
Takayuki ややこしいわ! 今はルーツの話やろ(笑)。元々ポップパンクも好きやったし、ツアータイトルにも「POP」とあったから、その言葉を付けることに抵抗はなかったですね。
──なるほど。結成は2003年ですよね、当時どんな音楽をやろうと思ってました?
Takayuki NEW FOUND GLORYがめっちゃ好きで、夜中に集まってコピーしてました。その流れでオリジナルを作ってみようと。最初はただ遊んでいるだけでしたね。僕、当時はボーカルじゃなかったんですよ。
Ebi ボーカルがベースにチェンジして、Takayukiがボーカルになったんです。
Takayuki オリジナル曲をやり始めて1年ぐらいでCDを出せるようになったんですよ。
Ebi NEW FOUND GLORYが結成から半年でCD出したから、俺らも半年で出そうとか言ってましたね(笑)。
──ちなみに、これまでメンバーチェンジも激しいですよね。バンドのテンションが下がることはなかったですか?
Takayuki そうですね。ベースが一番変わったのかな?
Maiko(Dr) Junkoさんが3代目ですかね。
Ebi 初めてベースが抜けたときは、ちょっと活動停止しました。
Takayuki このやり方でいいのかな? この先どうしようかなって……バンドを続けるか、続けないかまで考えましたからね。
違うテイストの曲をやろうとしても、やっぱりPOP DISASTERになる
──今回、アルバム「POP DISASTER」と同日に、過去の2枚のフルアルバムをまとめた作品「Make A Promise / Take Action」がリリースされましたよね。
Takayuki 今回のアルバムのタイミングで、新しいお客さんがいっぱい増えると僕は勝手に思っているんですよ。というか、そうなればいいなと思って(笑)。だからこの作品はそういう人たちに向けて出すことになったと思うんですけど……ぶっちゃけて言うと、僕ら側から過去の作品も一緒に出したいと言ったわけではなく、レーベル側から「出したいんだけど?」と訊かれたので、「いいですよ」と返事しただけなんです。振り返ると、「Make A Promise」は完全に初期衝動でできてますね。バンドを組んだときって、衝動的に曲ができるじゃないですか。結構勢いもあるし、邪念がなくというか、当時やりたかったことが全部できたと思ってます。曲の内容も気に入ってますね。その後の「Take Action」はバンドとして、ミュージシャンとして幅を広げたいと思って「こういう曲が足りひんやろ? こういう曲があったほうがいいんちゃう?」とか考えて作りました。
Maiko 自分で言うのもなんやけど、「Make~」はいい曲多いなあ(笑)。自分たちのCDって、あんまり聴かないんですけど、久しぶりに聴いたら、ええなあと思って。
Takayuki 僕らも新しいことをやりたいと思っているけど、ベーシックな部分はそれほど変わらないですからね。単純なコード進行にポップなメロディを乗せるという。Hossyはどう?
Hossy(G) 「Make~」のほうがテンポの速い曲が多いので、最近のライブでも映える気がしますね。全部に思い入れがあるので、どっちがどっちとは言えないですけど。
Ebi 僕は「Take~」のほうが好きですね。「Make~」ゴリ押しになってますけど(笑)、また違うアルバムやと思ってます。
Maiko 「Take~」は大人な感じはしますね。ライブで聴くよりも、家でしっとり聴きたくなるというか、幅の広いアルバムだなと。
Takayuki けど、僕としては「Take~」はライブを意識して作ったところがあったんですよ。それまで「ウォー、ウォー」みたいな単純なコーラスは好きじゃないから入れてなかったんですけど、ライブでお客さんにも歌ってほしいなと思ったから、「ウォー、ウォー」って言えるコーラスがあってもいいかなって。1曲目の「Start Again」はそれこそライブをメインで考えた曲やし、PVを作った「Disconnect」もサビにコーラスが入ってますからね。その曲はライブでも定番化しているから、良かったなと。
──「Make A Promise」はNEW FOUND GLORYのメジャー1stアルバムのように青い衝動がハジけた仕上がりで、「Take Action」は大人の階段を上がってる感がきっちり出てますよね。
Takayuki 「Take~」を作る前には、今までと違うことをやりたいと言ってた気がしますね。それで実際、違うテイストの曲をやろうと思ったけど……やっぱり俺らがやると「POP DISASTERのサウンド」になるなと思って。自分はポップパンク大好きやなって、再確認したんですよ。それからまたポップパンクっぽい曲を作りましたからね。
CD収録曲
- I'm Gonna Say Goodbye
- Static
- Borrowed Time
- Signs Of Growing Up
- Ordinary Day
- Remind Me To Breathe
- Waiting
- Goonies'R'Good Enough(original by Cyndi Lauper)
- Move On
- Start Again
- Trusty Chords
- Over And Over Again
- Disconnect
- Make It Last
- Break My Fall
- Found The Cure
ディスク1 収録曲
- Mystery
- Are We Growing Up?
- Waiting
- In The Distance
- Bring Me Down
- You're Not Alone
- My Mistake
- The Sign
- It's Not As Your Hope
- Forget Your Problem
- I Promise
- Ordinary Day(StarboardTECH Remix) -Bonus Track-
ディスク2 収録曲
- Start Again
- So Many Ways
- Cut To The Chase
- Disconnect
- No Regret
- Contradiction
- R.O.D
- Magic
- Break The Silence
- Around The World
- Hesitate
- In This Situation
- Broken By Myself -Bonus Track-
- Ordinary Day(StarboardTECH Remix) -Bonus Track-
POP DISASTER(ぽっぷでぃざすたー)
Takayuki(Vo)、Ebi(G)、Maiko(Dr)、Hossy(G)、Junko(B)による5人組バンド。ポップパンクをルーツとし、パワフルでライブ映えする楽曲を多く持つ。2003年結成。同時に精力的なライブ活動を開始し、2005年4月には1stミニアルバム「ALL BEGINNINGS」をCAFFEINE BOMB RECORDSよりリリース。これまでに2枚のフルアルバムと3枚のミニアルバムを発表している。2011年、maximum10にレーベルを移籍し、約2年ぶり3枚目のフルアルバム「POP DISASTER」をリリースした。