ナタリー PowerPush - POLYSICS

バンド感全開の14曲 最新アルバム「Weeeeeeeeee!!!」

ポリらしい曲は「せわしないシーケンスとリフ」

──曲の種みたいなものがあっても、最終的に仕上がったときには影も形もなくなってるようなこともあるんですか。

ハヤシ ああもう、あるある。

──どういうものが「種」になるんですか。

ハヤシ 曲によるね。リフだったり音色だったりリズムだったり、例えばベースラインだったりパーカッションだったり。

──ギター持って作る曲はないんですか。

ハヤシ それもあるけど……昔はシーケンサーの前でギター弾きながら作ってた。ここでジャンプ!とかね(笑)。でも最近はギター持って作る曲がどんどん減ってきてる。

──なぜ?

ハヤシ これだけ長くやってると手癖みたいものが出てくるじゃない? それをやめたいんだよね。それでシーケンスでギターっぽくないフレーズを作って、それをギターに置き換えて曲を作っていったり。

──同じことを繰り返すのがいやだってことですね。でも手癖OKって人もいますよね。手癖は個性だからそのまま出せばいい、避けることはないじゃないかと。

ハヤシ ああ、そうね。でも手癖を避けようと思ってシーケンサーで打ち込みして、それをギターで置き換えると、めっちゃポリみたいな曲になるんだけど(笑)。それはそれで全然OKだから。手癖はなくしたいけど、ポリの曲ではありたいから。

──なるほど。では、ポリらしい曲ってどんな曲ですか。

ハヤシ 「Sparkling Water」みたいな曲。あははは(笑)。せわしないシーケンスとリフが……。

──「せわしない」と自分で言いますか(笑)。

ハヤシ 落ち着きのない(笑)。そこに歌だかなんだかわからないボイスが乗ると(笑)。で、楽しい音楽。ヘビーな音楽も好きだけど、別にヘビーな音楽をやりたいわけじゃない。

──「Spakling Water」って、ちょっとアレンジして音色とか変えれば、めちゃくちゃハードコアでヘビーな曲になる可能性があると思うけど、全然そんな感じじゃないでしょう。すごい引き締まった演奏だけど、マッチョなところが全然ない。

ハヤシ マッチョ、そんなに好きじゃないからね。えへへへ(笑)。

──似合わないもんね。

フミ そうね。どう見てもね(笑)。

──「男らしい」とか、そういう概念が(笑)。

フミ ねえ!(笑)

ハヤシ えへへへ。最初にDEVOの、ロボットみたいな動きしてるのがカッコいいと思っちゃったもんね。KRAFTWERKのもみあげのない髪型がカッコいいとかさ。

──でもインダストリアルとか好きじゃない?

ハヤシ うん。でもあれ、やってる人怖いよねえ(笑)。

ヤノがギターを弾くことで新鮮な見せ方ができる

──ええと、そのへんの話は尽きないですが(笑)、次の話題。初回限定盤には「ライブセットリスト決定会議ドキュメンタリー“燃えよギター”」というDVDが付属しますね。これはどういうところからアイデアが?

ハヤシ これは次のツアーに向けてセットリスト考えてるときに出たアイデアで。さっきヤノが「幅を広げたい」と言ってたけど、POLYSICSとして、もっといろんな新鮮な見せ方ができるんじゃないかという発想から始まったんです。

──ヤノくんがなぜかツアーに向けてギターの猛特訓をするという筋ですね。

ヤノ(Dr, Vo)

ヤノ ちゃんとギターを弾きたいんです!

ハヤシ あと、ただ音だけのアルバムを作るだけじゃなく、それをツアーにもリンクさせたいじゃないですか。ライブに来てもらいたい!という思いが強いんですね。だからそこに向けてのアイデアですよ。

──ハヤシくんからみてヤノくんのギターはどうなんですか。

ハヤシ あのね。わかんなくなるとパニックになる(笑)。処理しきれないフレーズが出てくるとすぐわーっと投げ出しちゃうんですよ。俺らの中で「ちゃぶ台返し」といってて(笑)。そこが悪いクセかな。

ヤノ あれが素直な感情なんですよ(笑)。

──ポリの曲はテンポが速いから大変でしょう。

ヤノ はい、大変です。テンポが速いので。

一同 (笑)。

──で、あのDVDの結末、というか続きはツアーで、ということですね。

ハヤシ そうです。果たしてどうなるのかお楽しみに!

──ちなみに、アルバムタイトルはどういう意味が込められているんですか。

ハヤシ これはもう、言葉の勢いですね。響きというか強さ。今回テーマがなかったぶんタイトルは悩んだんですけどね。最後に入ってる曲のタイトルなんですけど、この曲のタイトルがそう決まったとき、これがアルバムタイトルだなと。

──eは数指定なんですね。10個。

フミ そう。書いててイヤになるぐらいの数がいいなと(笑)。あとで気付いたんですけど、「我々」という意味でもある。

ハヤシ 「15th P」ではゲストをいっぱい入れて作ったけど、今回は3人だけで作ったから「Weeeeeeeeee!!!」。

──これが俺たちだよと。

フミ はい。

ハヤシ 今回は今までのアルバムとは違う質感のものができて手応えがあって。14曲一気に聴けるような勢いのある作品になったのがうれしいですね。まだまだこういうスピード感のある、やんちゃなアルバムが作れたんだなと。電子音とバンドサウンドのバランスもうまくできたし。

──すごいキメキメのソリッドな演奏なんだけど、必要以上に重すぎない、そのバランスもいいですね。

ハヤシ そこはすごい意識したよね。

フミ うん。とても満足してます。

POLYSICS「ライブセットリスト決定会議ドキュメンタリー“燃えよギター”」

ニューアルバム「Weeeeeeeeee!!!」2012年12月05日発売 / Ki/oon Music

ニューアルバム「Weeeeeeeeee!!!」
初回限定盤[CD+DVD] / 3500円 / KSCL-2163/64
通常盤[CD] / 3059円 / KSCL-2165
収録曲
  1. Sparkling Water
  2. Lucky Star
  3. Distortion
  4. Steam Pack
  5. Ice, Tights, Mike
  6. Why
  7. Quiet Smith
  8. Kitchen Ban Ban
  9. Lightning Express
  10. Raptus
  11. High Kcal
  12. Everybody Say No
  13. Round The World
  14. Weeeeeeeeee!!!
DVD収録内容
  1. Lucky Star(Music Video)
  2. Everybody Say No(Music Video)
  3. ライブセットリスト決定会議ドキュメンタリー“燃えよギター”
POLYSICS (ぽりしっくす)

ハヤシ(G, Vo, Syn, Programming)、フミ(B, Vo, Syn)、ヤノ(Dr, Vo)からなるニューウェイブロックバンド。1997年、高校生だったハヤシを中心に結成。1999年にアルバム「1st P」をインディーズからリリースし、2000年にメジャーデビュー。独自の音楽性と過激なライブパフォーマンスで人気を集める一方、2003年にはメジャー1stアルバム「NEU」をアメリカでリリースし、初の全米ツアーも実施するなど海外での活動も本格化させる。2010年3月には初の日本武道館公演を実施し、初期メンバーのカヨ(Syn, Vo, Vocoder)がこのライブを最後にバンドを卒業。以降は3ピースバンドとして活動を続け、バンド結成15周年を迎える2012年に記念アルバム「15th P」をリリース。同年3月にライブ通算1000公演を達成した。同年10月にシングル「Everybody Say No」を発表。12月にはニューアルバム「Weeeeeeeeee!!!」をリリースした。