ナタリー PowerPush - POLYSICS

ポリ流テクノポップ全開!3年ぶりシングル「Lucky Star」

1曲にじっくり時間をかけた

──実際の作業はどういう形で?

ハヤシ 今までそういうやり方をしたことがないんですけど、フミとコンピュータを前にして、がっちり入念に作っていきました。何曲かシングル用ってことでデモを作って、その中からこれはというものを選んで、それを完成させていった。だからバンドでセッションしてガーンっていうのは最後の段階で。ずーっとフミと2人で……ヤノは後ろで見守って(笑)。演奏しないで、3人でコンピュータ上で作っていったって感じですね。

──なるほど。ヤノくんは後ろで見ていろいろ意見を言ったり?

ヤノ(Dr, Vo)

ヤノ 特に口出しはしなかったんですけど、どういう過程で作っているのかちゃんと見ていこうと。

──ドラマーじゃない人がドラムのパターンを考えると、ときどきとても叩けないようなフレーズを作ってくるとよく言いますが、そういうことはありました?

ヤノ ドラムのパターンというよりはシーケンスを組んだりしてたので、それを見つつ自分なりの叩き方を考えたり。2人のイメージをくみ取ってそれを生かしてみたり。

──どれぐらいで完成したんですか?

フミ シーケンス組むのに3日? そこから生バンドのアレンジ考えて……。

ハヤシ 1曲にしてはずいぶん時間かけたね。1週間ぐらい?

──それだけの時間が必要だったと。

ハヤシ そうそう。フミもすごく積極的に意見を言ってくれたし。

いびつなポップさが「Lucky Star」のキモ

──そうやって密に共同作業することで、お互い改めて気付いたことってありますか。

ハヤシ オレはどっちかというと理論よりは感覚で、リズムで作曲するタイプで、そのあとに理論的なことを考えたりするんだけど、今回はシングルに向けていろいろ理論的に考えて、例えば自分的に「ここの電子音はヘンな響きになっちゃうので消そう」と思ったら、フミが「それがあったほうがいい。それがないと面白くない」みたいなディレクションもしてくれて。

──ああ、一見セオリーに反するようなことでも。

ハヤシ(G, Vo, Syn, Programming)

ハヤシ そうそう。そこが今回の2曲、特に「Lucky Star」のキモで。それがあることでポリっぽさ、ちょっといびつなポップさみたいなものが残るからいいんだよって言われて。そこは「お、なるほどな」って思った。

フミ あのね、ハヤシくんって、ポップなものを作るとすごくキレイにまとめるタイプだから。それをどうやって崩そうかなっていうのを考えてたから(笑)。あまりきっちりキレイになりすぎないように。

──なるほど。そこはマンツーマンでやってみて改めて気付いたこと?

フミ そうですね。今年に入ってからの曲作りで、そういうハヤシくんの傾向みたいなものはかなり実感しました。

ハヤシ はちゃめちゃな曲はすぐできるんだけどねー、えへへへ(笑)。

──普通にポップな曲になるとかしこまっちゃって。

ハヤシ 自分の感覚だけで作らないってことを意識しすぎちゃうのかもしれないね。

──でも自分のわかる範囲内だけで作っていても芸域は広がらないし。

ハヤシ うんうん、それはありますね。

──じゃあコラボした意味がありましたね。

ハヤシ うんうん、ほんとに。

フミ なんか新鮮な作業だったよね。

「No Control」はフミが気に入って収録

──カップリングの曲はどうやって作ったんですか?

フミ これはセッションで作りました。

ハヤシ 「Lucky Star」とは真逆で、オレがシンプルなシーケンスを1個持っていって、ドラムとベースを合わせていって。ギター弾くイメージは最初あまりなかったんだけど、一応ギター持って顔合わせて作っていった。歌詞も「Lucky Star」は響きや感覚だけでない言葉を選んで作ったんだけど「No Control」は響きと感覚重視で選んでいったんです。

──これまでのポリっぽい作り方。

フミ うん、そうですね。

──じゃあそういう対照的な作り方をした2曲を意識的にカップリングしてみた?

ハヤシ それは偶然かな。

フミ 結果的にそうなったという。

ハヤシ 特にフミが「No Control」をえらく気に入ってて。これ早く弾かせてーって言うから「じゃあ入れようか」って(笑)。

──シングルとしては理想的なバランスですね。タイプの違う2曲でポリの対照的な両面が聴ける。

ハヤシ うんうん、そうなんですよ。

ニューシングル「Lucky Star」/ 2012年8月22日発売 / Ki/oon Music

収録曲
  1. Lucky Star
  2. No Control
初回限定盤DVD収録内容
  1. Buggie Technica
  2. T・RIANGLE
  3. Tei! Tei! Tei!
  4. Pretty Good
  5. ムチとホース
  6. 1.2.ダー!
  7. KASUGAI
  8. TIME SHOCK!
  9. Head O' clock
  10. LED
  11. Moog is Love
  12. How are you?
  13. Beat Flash
  14. シーラカンス イズ アンドロイド
  15. Smile to Me
  16. Let's ダバダバ
  17. Shizuka is a machine doctor
  18. Electric Surfin' Go Go
LIVE INFORMATION
結成15周年特別企画 DJハヤシツアー!!! Opening Act : POLYSICS

2012年10月30日(火)大阪府 梅田Shangri-La
OPEN 18:30 / START 19:00

2012年10月31日(水)愛知県 池下CLUB UPSET
OPEN 18:30 / START 19:00

2012年11月3日(土・祝)福島県 福島Out Line
OPEN 17:30 / START 18:00

2012年11月8日(木)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
OPEN 18:00 / START 19:00

一般発売日:2012年9月22日(土・祝)

POLYSICS(ぽりしっくす)

ハヤシ(G, Vo, Syn, Programming)、フミ(B, Vo, Syn)、ヤノ(Dr, Vo)からなるニューウェイブロックバンド。1997年、高校生だったハヤシを中心に結成。1999年にアルバム「1st P」をインディーズからリリースし、2000年にメジャーデビュー。独自の音楽性と過激なライブパフォーマンスで人気を集める一方、2003年にはメジャー1stアルバム「NEU」をアメリカでリリースし、初の全米ツアーも実施するなど海外での活動も本格化させる。2010年3月には初の日本武道館公演を実施し、初期メンバーのカヨ(Syn, Vo, Vocoder)がこのライブを最後にバンドを卒業。以降は3ピースバンドとして活動を続け、バンド結成15周年を迎える2012年に記念アルバム「15th P」をリリース。同年3月にライブ通算1000公演を達成した。同年8月にシングル「Lucky Star」を発表。