ポップな曲を最近作ってなかったから

──今回の新曲もすごくポップでキャッチーな曲ですが、やはり、これまでポリになじみがない新しいお客さんにアピールしたいという気持ちが？

ハヤシ　いや、それよりも3人になってこういう曲を作ってなかったなって。テクノポップ的なアプローチのポップな曲。ポリの得意としてる部分でもあるのに、最近やってなかったからやってみようと。やるならちゃんと作りたいからシングルとして出せるように作っていこうと。

──3人になってからのポリって、どちらかといえばハードな方向に振れてましたからね。こういうポップな曲をやらなかったのは、あえてじゃなくたまたまだったということですか。

ハヤシ　うーん、余裕がなかったというのはあると思う。やるイメージが湧かなかったというか。

フミ　そうね。

ハヤシ　まずは3人のバンドの土台を固めるのに必死だったからね。とにかくライブをやりまくって。

フミ　3人の“ライブ基礎体力”みたいなものを作っていこうと。

ハヤシ　新体制になって、そういうことをずっとやってたから。

──3人になって足りないものがあるって自覚があったんですか。

フミ　足りないっていうよりは、ポリの魅力のひとつでもある、カヨがボーカルをとっていた「Baby BIAS」みたいな曲をやらないっていうのはもったいないな、という気持ちがあって。「15th P」（2012年2月リリース）まで出した今だったら作れるんじゃないかと。で、再びトライしてみたっていう。

──カヨちゃん役に？

フミ　カヨ役に。あははははっ！（笑） 今笑いましたね？

──いやいや、もう萌え成分もばっちりですよ（笑）。

フミ　あはははは！（笑）

ハヤシ　まあ、カヨ役というよりは、そういう女性ボーカルの曲も今ならアリだし、ロックな部分は今までで十分アピールできたと思うから。「Oh! No! It’s Heavy Polysick!!!」（2011年3月リリース）ができたのが大きかったですね。そこで3人ポリの土台が固められたから「15th P」でちょっと遊べたし。じゃあ次に何をやるかってなったら、自然とそういう曲を作りたくなった。

──なるほど。わかりやすい話ですね。じゃあフミちゃんが歌うのは最初から決まってた。

フミ　うん。シングルでっていう。

シングル用にきっちり曲を作りたかった

──今は市況としてシングルはなかなか売れないし出せないというのがあるようですね。

ハヤシ　うん。でもそこで意識してシングルとして作って出すというのが大事で。やりたいことをきっちり明確に出すために。ミニアルバムでもいいんだけど、シングルに向かってきっちり曲を作っていくことがやりたかった。

フミ　アルバムを作って、その中からリード曲を選んでシングルにするのと、シングルを作ろうとして1曲だけキメ打ちで作るのでは、作業的にも気持ち的にも全然違って。

──アルバムに入ってる曲でもポップな曲はいっぱいあるし、ポリの場合、多分ポップじゃない曲を作ろうとしたことって滅多にないでしょう。シングルとしてのポップさは何が違うんですか。

フミ　それは自分たちの中の基準でしかないけど……わかりやすいフックがあるとかかな？

ハヤシ　ひとつはPOLYSICSの魅力がちゃんと伝わるもの。ただポップな曲だったら、ドラムもベースも打ち込みにしたほうがテクノポップとしてはわかりやすいと思うけど、それをPOLYSICSのシングルとして出すのは違うと思う。それじゃポリの魅力が伝わらない。3人体制になって強化してきたバンドの魅力ってものをちゃんと融合しないとPOLYSICSのテクノポップにはならない。

──どんなCDを聴いても“ライブバンドとしてのPOLYSICS”を失ってない。単にCDとして完成度が高いだけではなく、ライブバンドとしてのポリのアイデンティティがそこに投影されているかどうかということですね。

ハヤシ　そこは絶対こだわりたいですね。それがないとポリのシングルとしては出せない。