banvox × PlayStation®4|変化を恐れないプロデューサーとミュージカル音楽の融合

「ファイナルファンタジー」シリーズの音楽は鉄板

──これまでゲーム音楽で衝撃を受けたものはありますか?

banvox

鉄板ですけど「ファイナルファンタジー」シリーズの音楽はやっぱり素晴らしいですよね。僕は特に「ファイナルファンタジータクティクス」のBGMが好きで、プレイするときは絶対に音を出してました。最近だったら「いけにえと雪のセツナ」のBGMもよかったなあ。ストーリーと音楽が合っていると、グッとくるものがありますよね。だから今回のラインナップ動画も完成品を観たときはすごく感動したし、もはや1つの作品だなと思いました。音楽だけじゃなくて、そこに合わさる映像ってすごく大事だなと考えさせられて。

──映像と音楽の融合という点では、banvoxさんはこの冬公開される映画「Noise」の劇伴も担当されていますよね。

はい。劇伴の制作ももちろん勉強になったんですけど、僕は映画のトレイラー映像を観たときに本当にびっくりして。トレイラーでは僕が以前作ったオリジナル楽曲を使っていただいたんですけど、それがもう信じられないくらい作品に合ってたんですね。自分の曲なのに「この映画のために作ったの?」と思うくらい。それで映像と音楽がシンクロするってこういうことなんだとわかったというか。

──そこでも新たな発見があったんですね。

ええ。最近は以前に比べて外部の人と会う機会が圧倒的に増えているんですけど、それが自分の中では大きくて。いろいろな人と話をすることで自分1人ではありえなかった発想が生まれたりするし、自分自身必ず成長できるんです。それはやっぱり制作の面にも影響しているんじゃないかなと思いますね。

ちょっとひねくれていたい

──逆に「これだけは変わらない」というこだわりやスタンスはありますか?

banvox

楽しんで作るっていうことが一番だと思うんですけど、あとはちょっとひねくれていたいとは思っています。普通のことはしたくないというか(笑)。キレイにまとまった作品が完成したとしても、わざと細かい音を入れて崩してみたり。そういうギミックというか、隠し味を入れることが昔から好きなんですよね。ゲームでいう裏ストーリーみたいな。

──さらっと聴き流してしまえる耳障りのよさよりも、リスナーにいい意味で違和感を与えるというか。

そうですね、まさに。「こんなの絶対気付かんやろ」と思いながらスパイスを入れておいて、それに突っ込んでくれる人がいると「おっ、引っかかった」みたいな(笑)。それが楽しくて。

俺の音楽が一番ヤバい

──5月からはおよそ3カ月にわたるアメリカツアーが始まります。

banvox

さっき「人と会う機会が増えた」と話しましたけど、やっぱり自分1人だけでは限界があるなと感じていて。自分がどんどん窮屈になっていく感覚があって、「もっと外に出て新しい音楽を作りたい」と思っていたところだったんです。アメリカではライブはもちろん制作も行うので、そこでどんな音楽が生まれるかが一番楽しみですね。

──そうなんですね。

ライブはライブで楽しいんですけど、やっぱり一番は制作で。いつも制作のことが頭にあるから、カフェなんかに入っても、いい曲が聴こえるとすぐに家に帰って曲を作りたくなるんですよ。だからカフェでの打ち合わせは危険なんです、話が入ってこなくなるから(笑)。

──それは危険ですね(笑)。制作における楽しさと実際に観客を前にプレイするときの楽しさって、まったく違うものなんでしょうか?

違いますね! まず普段の僕は完全に引きこもりだし全然しゃべれない人なんで、ステージなんか立てないですよ。もう、ライブ中は人が違うと言っていいですね(笑)。前日まで「行きたくない」って言ってるし、出番ギリギリまで緊張してます。それでも1回音が鳴ると入りきっちゃって。それでライブが終わる頃には「めっちゃ楽しい! 次も絶対呼んでください!」とか言うくせに、実際に呼んでもらうとまた「うわあ、嫌や、行きたくない」ってなる(笑)。でも、ライブ中は本当に純粋に楽しくて。だからどっちもやめられないんですよね。

──アドレナリンが出っぱなしになるんですね(笑)。

banvox

もちろんお客さんの反応を見ながら「次はこうしてやろう」とか考えている、冷静な自分もいるんですけどね。あとは「これがこうウケたから、次はこんな曲作ってみよう」みたいな発見もたくさんあるので、人前でプレイすることの大切さも痛感して。いろいろな意見があるし、リスナーからは「前のほうがよかった」なんて言われることもあるんですけど、それもひっくるめて僕は楽しくて。だって逆に捉えると、それって進化している証拠じゃないですか。「新しいことをやってるんだ」と実感できるので、そういう意見も僕にとってはとても大事なんです。

──そうなんですね。banvoxさんの変化を恐れずに挑戦し続けるその姿勢や湧き上がる思いって、どこから来るものなんでしょうか。

もう……誰にも負けたくないんですよ。一番になりたいんですよね。それも日本で一番とかじゃなくて、世界で一番、宇宙で一番になりたいっていう、異常なまでの向上心みたいなものがあって。だから例えば海外のフェスだろうと少ない観客の前だろうと、「俺の音楽が一番ヤバい」と思い知らせるために全力でやってます。「一番ヤバい音楽を作るからとにかく聴いて」って、もうそれしかないですね。どんなジャンルになってもbanvoxはbanvoxだし、もしかしたら1年後には歌ったり踊ったりしてるかもしれないですけど(笑)、それで一番になってるかもしれない。未来のことはわからないけど、それでも「絶対に一番になる」と思ってるので。それがモチベーションというか、原動力ですかね。

PlayStation®4公式サイトで詳細をチェック

banvox(バンボックス)
banvox
東京を拠点に活動する音楽プロデューサー。2010年に音楽制作をスタートさせ、2011年にMaltine Recordsよりミニアルバム「Intense Electro Disco」をリリースしてデビュー。2012年にイギリスの音楽レーベルであるSurfer Rosa Recordsより「INSTINCT DAZZLING STARLIGHT EP」を発表すると、各配信サイトのチャートで上位を記録した。CTS、東京女子流、Foreign Beggarsといったさまざまなアーティストへリミックスを提供する中、2014年1月に2曲入りシングル「Connection」を発表。2015年5月には「Summer / New Style」でWarner Music Japanよりメジャーデビューを果たす。2017年4月にTOYOTA「T-Value」CMソングとして書き下ろした楽曲「Everlasting」をシングルリリースした。