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“両声類”の魅力とこだわりが詰まった待望1stアルバム「1PIKO」完成

男女の声を操る“両声類”アーティスト、ピコが待望のメジャー1stアルバム「1PIKO」をリリースした。

ニコニコ動画で頭角を現し、2010年にメジャーデビューを果たした彼は、精力的なシングルリリースとライブ活動を展開。昨年秋にヨーロッパ各地で行われたアニメと音楽のコラボイベント「Japan Anime Live」への出演、“両声類”という個性をフォーカスしたワイドショーへの露出などで、これまでとは異なる層にもアピールすることに成功している。そんな彼のアーティストとしての決意に満ちた作品「1PIKO」について、存分に語ってもらった。

取材・文/大庭利恵

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すべてシングルになってもいい楽曲

──1stアルバムでありながら、インディーズ時代の楽曲はいっさい入っていない、すべて書き下ろしで作られた作品なんですよね。

そうですね。デビューしてからリリースした3枚のシングルに対する反応もさまざまだったんで、「もっとこういうピコが見たい」なんて声に応えたかった部分もあったし、僕自身のコアな部分を伝えたいと思ってたんで、すべて新たに作ってもらいました。

──作業的にはどういう流れだったんですか?

ランダムに楽曲を作ってもらってその中から選ぶ、というやり方は嫌だったので、「どういう曲を入れたいか」という意見をたくさん言いましたね。そのリクエストを元にデモテープを作ってもらって、一緒にアレンジしながら僕が歌詞をつけるという流れでした。

──自分の意見をたくさん反映させたということは、最初からこういうアルバムにしたいというイメージがしっかりあったということですね。

簡単に言えば、僕が好きなものすべてですよね。ロックな音も好きだけど、アニメやマンガも大好きで、ニコ動的な要素も多く入ってる(笑)。ありがたいことに、みんなから“両声類”と呼んでもらえるように、男声と女声の両方が使い分けられる。そういうすべてですね。

──それを踏まえて、どういう楽曲を作ろうと思いましたか?

すべてシングルで通じるように。よく“捨て曲”って言うじゃないですか。そういうのは嫌だったから、すべてシングルになってもいいというテンションで、各ジャンルに特化したものを作るぞって決めてました。

──これまでのシングル3曲では、ピコというアーティストのどういう部分が見せられたと思っていますか?

タイプの違う3曲をリリースしたので、「この曲好き」と思ってくれた人もいるかもしれないですね。そういう皆さんにこそ、僕がどういう音楽が好きで、どういうことをやりたいかというのを、このアルバムを通じて感じてもらいたかったんです。

本当の意味での“両声類”を感じてもらいたい

──ロック好きな部分が感じられる「Rebirth」「証」「孤独の冠」と、“両声類”ならではの「main dish」「二息歩行」という両極端な楽曲が入ってますが、女声に関しては、レンジの広さだけではない部分を追求してますよね。

本来“両声類”っていうのは、レンジが広いということじゃなく、どちらの声も使い分けられるという意味なんですね。シングルはたくさんの人の耳に届く機会が多くなるんで、やり過ぎちゃうと本当に女性が歌ってると思われるんじゃないかってことで、少し控えめにしてたんです。でもアルバムでは、同じ女声を使うにしてももう少しディープにしてもいいと思ったし、本当の意味での“両声類”を感じてもらいたいと思ったんです。そうすることで、逆に男声的な部分とのメリハリが活きるとも思ったんで。

──なるほど。ところで、アルバムの中で一番初めに録った曲はどれですか?

えっと、「ピコピコ☆レジェンドオブザナイト」でした(笑)。

──アルバムの中でも一番異色なところから!

そうですね(笑)。これは、僕の声をサンプリングした「歌手音ピコ」というボーカロイドソフトに入ってた楽曲で、ボーカロイドで作った歌を、このアルバムでリアルにしたという変わった1曲なんですけど。すでにあった曲なので。

──楽曲として完成していたんですね。でも、どうしてこの曲を入れたいと思ったんでしょうか。

年末年始のライブで歌ったことがあったんですけど、そのときにものすごく盛り上がったんですよ。このテンションの上げ切り具合は、アルバムの前半と後半のちょうど切り替えにいいなと思って。逆にこういう曲を新たに作るのは難しいですしね。

“遊び感覚”のほうがうまくいく

──例えば「今日は『ピコピコ~』を録ります」という日は、どういうテンションなんですか?

それは、ピコピコしてますね(笑)。テンション的にはレジェンドをナイトしちゃおうぜ♪って感じで。

──洋服も曲に合わせたりして?

うーん、どうだったかな。

マネージャー そういえば、キラキラしたの着てた気がする(笑)。

着てましたか(笑)。「Rebirth」や「証」のときは、わざと真っ黒な服を着ていったのは覚えてるんですよ。そういうことが歌に影響すると思ってるんで。

──「赤ずきん」のストーリーをモチーフにした「main dish」のときは?

服装やテンションは、逆にいつもどおりっていうか。ニコニコ動画に投稿してたころに宅録してたイメージを思い出してましたね。僕の場合はあえてプロっぽい感覚になりきらないというか、遊びでやってんだよっていう感覚のほうがいいテイクが録れるんですよね。

──女声を使うほうが、キャラを作りこまないと難しそうですけどね。

あー、そうですね。キャラは作りこんではいるんですけど、歌い方は遊び感覚のほうが普通なんでしょうね。でも、ただ遊び感覚なだけじゃなく、語尾をハネさせてみたほうがかわいいんじゃないか、吐息交じりのほうが病んでるっぽいんじゃないか、とか話し合いながらやりましたけどね(笑)。

ニューアルバム「1PIKO」 / 2011年5月11日発売 / Ki/oon Records / 初回限定盤[CD+DVD] / 3500円(税込)/ KSCL-1764~1765

  • 特典マウスパッド付き / Amazon.co.jpへ
  • 特典マウスパッドなし / Amazon.co.jpへ
  • 通常盤[CD] / 3000円(税込) / KSCL-1766 / Amazon.co.jpへ
CD収録曲
  1. Rebirth
  2. 桜音
  3. main dish
  4. 勿忘草
  5. 恋しくて
  6. ピコピコ☆レジェンドオブザナイト
  7. 二息歩行
  8. Rollin' Merry Go Round
  9. Story
  10. 孤独の冠
  11. Shooting Star
  12. Sakurane -Ballad- (BONUS TRACK.)
DVD収録曲
  1. Story [Music Video]
  2. 勿忘草 [Music Video]
  3. 桜音 [Music Video]
  4. ぴこさんぽ ~ヨーロッパ編~
ピコ

2007年12月より自分の歌を動画投稿サイト「ニコニコ動画」に投稿。その特徴的な歌声から「両声類」と呼ばれ、多数のファンを獲得する。2009年7月にインディーズより1stシングル「タナトス feat.ティッシュ姫」をリリースし、2010年3月にはSHIBUYA-AXにてワンマンライブを実施。2010年10月にシングル「Story」でキューンレコードよりメジャーデビューを果たす。同時期にはヨーロッパ各地で開催されたアニメと音楽のコラボイベント「Japan Anime Live」に出演し、海外でも大きな注目を集めた。2010年12月には彼の歌声をサンプリングしたボーカロイドソフト「歌手音ピコ(うたたねぴこ)」も発売されるなど、幅広いフィールドで活躍を続けている。