音楽ナタリー Power Push - PIGGY BANKS
30代ガールズバンドの覚醒モード
強烈なバンドの登場だ。ボーカリストはソロで活動してきたyoko(矢沢洋子)で、ギタリストはシンガーソングライターでもありTOKYO KILLERのリーダーでもあるkeme。同じくTOKYO KILLERでもベースを弾くakko(ノマアキコ)は元GO!GO!7188だ。以前から知己の間柄だった3人がこのバンドを組んだのは2年ほど前。バンド名をPIGGY BANKSとした彼女たちが、ようやく1stアルバム「タイムスリラー」を完成させた。この作品は百々和宏(MO'SOME TONEBENDER)、上原子友康(怒髪天)も楽曲を提供したパワフルかつポップなアルバムで、ミッキー・カーチスや坪倉唯子などスペシャルゲストも参加している。「肩の力を抜いて楽しいことがやりたい!」という思いをバンドを組むことで実現させた彼女たちが、出会いからアルバム完成まで忌憚なく話してくれた。
取材・文 / 今井智子 撮影 / 西槇太一 ライブ撮影 / 柴田恵理
1夜限りのパーティバンドのつもりだった
──3人はどのように出会ってPIGGY BANKSになったのか、まずそこから話してもらっていいですか?
yoko このバンドを始める前に私は、矢沢洋子 & THE PLASMARSというバンドで活動してたんですけど、2年半ぐらい前から“私とバックバンド”という関係ではなく、ちゃんとバンドを組みたいと思ってたんです。先輩や音楽仲間から「バンドやりなよ」と言われたりして、「わかってるんだけどどうすればいいの?」みたいな感じで悩んでいた時期があって。そのときに、仲がよかったkemeちゃんが「機会があったら私がギターを弾くよ」って言ってくれたんですよ。kemeちゃんとakkoさんはTOKYO KILLERというバンドをやっているんですけど、ライブに遊びに行ったときに、akkoちゃんに「おひさしぶりです、ベース弾いてもらえませんか?」って声をかけたんです(笑)。そしたら「うん、いいよ」って言ってくれて。ちょうど私が出るイベントが1つ決まっていたので、2人に一緒に出てもらったんです。
──こんなバンドにしたい、というビジョンはあったんですか?
yoko 最初は、1夜限りのパーティバンドみたいな感じで、オリジナル曲を作ってリリースするなんて考えてなかったんで、カバーや私のソロ曲をやっていたんですけど、2回3回と続けているうちに、リリースもしたいねって気持ちになっていった感じです。最初は女性でメンバーを固めたいと思っていたんでドラムも女性がいいなと思っていたんですけど、なかなかタイミングが合う方がいなくて、1年ぐらい前から高橋浩司(元PEALOUT、HARISS)さんに落ち着いてきました。
──最初の頃は、どんなカバーを?
yoko 今回のアルバムにも入ってるBlondieの「One Way or Another」とか、スージー・クアトロの「The Wild One」、SHEENA & THE ROKKETSの「涙のハイウェイ」もやりましたね。
──「One Way or Another」は、One Directionもカバーしていますね。
keme 私、そっちで知ってたんですよ。1Dのファンで、ハリー(・スタイルズ)推しで。
もっと前なら実現不可能なバンドだった
──kemeさんは、ソロ活動とTOKYO KILLERのほかに、このPIGGY BANKSもやっているんですね。
keme 最初はこんなに続くとはまったく考えてなくて。yokoちゃんと1回お遊びでもいいからやろうって始めたんですけどね(笑)。
yoko 酒の流れかもしれない(笑)。
──そこにakkoさんも入ってバンドが始まった。
akko 最初にyokoちゃんに声をかけてもらったのはTOKYO KILLERのライブのときだったけど、自分もほかにバンドをやりたいと思っていて、いろんな人に「バンドやりたいんです」って言いまくってた時期だったので、すごくうれしかったし、タイミングがよかったと思う。
──GO!GO!7188解散後は、地元の鹿児島にいるんですよね。
akko そう、地元に帰って1年ぐらいベースも触ってなくて、もうなくても生きていけるかもしれないと思ってた(笑)。でもそんなわけもなく。
yoko 残念でした(笑)。
akko 鹿児島に来た友達のライブとかけっこう観に行ってて、ウズウズして鹿児島でバンドやろうかなと思ったんですけど、求めるものが本気すぎて(笑)、これは鹿児島ではできない気がすると思って。そういうときに、ツアーで鹿児島に来たkemeと再会して、またやりたいんだよねって言ったら、kemeが前からやってるTOKYO KILLERでベース弾いてくださいって。「わー! 超うれしい!」からの新バンド結成。
keme TOKYO KILLERは常に活動してるバンドではないんですけど、その頃ちょうど出した新譜をakkoちゃんが聴いてくれて。「ベースいなかったら弾くよ」って言ってくれたから、私も「わー!うれしい!」と思って一緒にやることにしたんです。
──出会うべく3人そろった感じですね。
yoko タイミングもすごくよかったのかな。もっと前なら実現は不可能だったと思いますし、2年前はakkoちゃんもいろんな意味で余裕が出てきて、私もバンドやりたいというときだったから。
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収録曲
- CORONA
- Wicked go
- タイムスリラー
- One Way Or Another
- らんらんらん
- ゾンビーボーイ
- Funky Monkey Ladies
- キラワレモノ
- Rock'n'Roll Hearts
- Oct.
PIGGY BANKS「時間泥棒ツアー」
- 2016年4月15日(金)宮城県 enn 3rd
- 出演者 PIGGY BANKS / 虎の子ラミー / Su凸ko D凹koi
- 2016年4月16日(土)茨城県 club SONIC mito
- 出演者 PIGGY BANKS / 虎の子ラミー / Su凸ko D凹koi
- 2016年4月22日(金)大分県 club SPOT
- 出演者 PIGGY BANKS / 人性補欠 / SIX LOUNGE
- 2016年4月23日(土)福岡県 THE Voodoo Lounge
- 出演者 PIGGY BANKS / THE VOTTONES /人性補欠
- 2016年4月24日(日)鹿児島県 SR HALL
- 出演者 PIGGY BANKS / and more
- 2016年5月6日(金)鳥取県 米子 AZTiC laughs
- 出演者 PIGGY BANKS / BUGY CRAXONE / THE TON-UP MOTORS / Large House Satisfaction
- 2016年5月7日(土)岡山県 PEPPERLAND
- 出演者 PIGGY BANKS / BUGY CRAXONE / THE TON-UP MOTORS
- 2016年5月8日(日)大阪府 CLAPPER
- 出演者 PIGGY BANKS / BUGY CRAXONE / 月光グリーン
- 2016年5月14日(土)愛知県 ell.SIZE
- 出演者 PIGGY BANKS / ザ・ビートモーターズ / 浮遊スル猫
- 2016年5月15日(日)京都府 磔磔
- 出演者 PIGGY BANKS / ザ・ビートモーターズ / 浮遊スル猫
- 2016年5月29日(日)北海道 KLUB COUNTER ACTION
- 出演者 PIGGY BANKS / and more
- 2016年6月4日(土)東京都 Shibuya Milkyway
- 出演者 PIGGY BANKS / THE TON-UP MOTORS / BUGY CRAXONE
PIGGY BANKS(ピギーバンクス)
矢沢洋子としてソロ活動を展開してきたyoko(Vo)、TOKYO KILLERのkeme(G)、同じくTOKYO KILLERのメンバーで元GO!GO!7188のakko(B)により2014年に結成。2015年に本格的にライブ活動を開始し「FUJI ROCK FESTIVAL 2015」「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2015」「中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2015」などのフェスにも出演した。2016年4月には初作品となるフルアルバム「タイムスリラー」をリリースした。