音楽ナタリー PowerPush - 原田郁子 × Salyu × 畠山美由紀
野音ライブ「ピアノと謳う。」直前座談会
原田郁子(クラムボン)、Salyu、畠山美由紀の3人によるピアノライブ「ピアノと謳う。 ~原田郁子 × Salyu × 畠山美由紀~」が7月26日、東京・日比谷野外大音楽堂で開催される。今回ナタリーでは、イベントに先駆けて3人の鼎談を企画。これまでの交流、今回のライブの内容、そして、ピアノという楽器への思いなどを語ってもらった。奥深い音楽性と豊かな表現力を備えた歌で、音楽ファンを魅了し続ける3人の貴重な“女子トーク”を楽しんでほしい。
取材・文 / 森朋之 撮影 / 笹森健一
3人でいるととっても楽しい
──まずは3人の交流から教えてください。知り合ったのはいつ頃ですか?
畠山美由紀 私と郁子ちゃんはかなり長いよね?
原田郁子 そもそもはね、私が(畠山美由紀の)ファンだったんです。Double FamousとかPort of Notesのライブに行っていて。
畠山 20年くらい前かも……。
原田 15年とか……? あのコンピレーションが出たのは何年くらい?
畠山 1997年かな。
原田 LITTLE CREATURES監修のコンピレーション(「SIGN OFF FROM AMADEUS」)があって、それが私大好きで。
畠山 それで(Double Famous、Port of Notesの曲を)聴いてくれたんだよね?
原田 そうそう。日本でこんな音楽をやっている人たちがいるんだってびっくりして。それで、ライブも観に行くようになったんですよね。
畠山 恐れ入ります(笑)。
原田 何がきっかけで話すようになったのかは覚えてないんだけど。
畠山 なんだろうね? イベントとかかな?
原田 青柳(拓次 / LITTLE CREATURES)さんとか、間に共通の知人が増えてきたのかな。
畠山 そうかも。Salyuちゃんと郁子ちゃんは?
Salyu 3年くらい前に対バンをさせてもらったのが最初ですね。salyu x salyuというプロジェクトで初めての対バンイベントをやることになって、「ぜひクラムボンさんに出演してほしい」と思って。
原田 オファーをいただいたときにね、Salyuはなんと、福岡のクラムボンのライブに来てくれたんです。1人で飛行機に乗って。
Salyu そうそう(笑)。
原田 「なんてまっすぐな人なんだー」って感動しました。その日が初対面だったんだけど、アンコールでちょっと出ない?ってお誘いして。
Salyu 私はオフとして楽しんでたので、格好もスウェットとTシャツみたいな感じだったんですよ。しかも、記念に買ったクラムボンさんのTシャツを着ていて。
畠山 バッチリじゃん(笑)。
Salyu ライブを観てたら、マネージャーさんに「原田が呼んでます」って言われて(笑)。そのときの郁ちゃんの忘れられない一言が「そのほうが“早い”よね」っていう言葉で。「出会うのが早い」っていう意味だったと思うんですけど。
原田 うん。「どうも、どうもクラムボンと申します」ってところから始めるより、早いかもって。
──一緒にステージに立てば、一気に近付けますからね。畠山さんとSalyuさんは?
Salyu それも対バンですね。
畠山 5年くらい前だよね。
Salyu 今回と同じ野音のイベント(2009年5月に開催された「SPACE SHOWER TV presents VOICES ~Salyu×畠山美由紀~」)で共演させていただいて。その前にもフェスの楽屋ですれ違ったりしてたんですけど、それもすごく印象深くて……。
畠山 どういう印象?
原田 気になる~(笑)。
Salyu すごく尊敬しているボーカリストだからドキドキしてたんですけど、バンドのメンバーと入ってこられて、その日の曲順を話してたんですよね。そのとき「え、これからすぐにライブじゃん!」って驚いたんです。私はいつも、かっちり決めてるほうだから。「今譜面をわかち合ってる。すごいなー」って。
畠山 たまたまです(笑)。Salyuちゃんは全然印象が変わらないよね。年齢もいくつかわからないし、言葉遣いもすごく丁寧で。
Salyu いえいえいえ……。
畠山 あと、すごくオープンマインドなんですよね。絶対に人を威圧しないというか……別にそういう人がいるってわけではないんですけど(笑)。
原田 (笑)。
畠山 郁子ちゃんもSalyuちゃんもオープンだし、プライベートなことも話せそうな匂いがあって。なかなかいないんですよ、そういう人って。
Salyu そうですよね。私も3人でいるととっても楽しいので。
原田 あ、今思い出したんだけど、美由紀と話すようになったのはサイパンだ。全然仕事じゃなかったんだけど……。
畠山 仕事だよ(笑)。
原田 あ、仕事だ(笑)。「エビス ザ・ホップ」のCMの撮影で、私たちはクラムボンで出演させてもらってて、美由紀は青柳さんと一緒だったんだよね。とにかくそのときが爆発的に楽しくて。
畠山 思い出してきた。私、チャイナドレスでディナーに行ったんだ。
原田 そう。撮影の服より打ち上げの服のほうが派手(笑)。最後、全員で美由紀の撮影会になってね、錆びたシャッターの前とかでポーズ作ってもらって、1人だけハリウッド女優みたいで(笑)、サイコーだった。
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2014年7月26日(土)東京都 日比谷野外大音楽堂
<出演者>
原田郁子 / Salyu / 畠山美由紀
左:原田郁子(ハラダイクコ)
3ピースバンド・クラムボンのボーカル&キーボード担当として、1999年にシングル「はなればなれ」でメジャーデビュー。自由で浮遊感のあるサウンドとポップでありながら実験的な側面も強い楽曲、強力なライブパフォーマンスで人気を集め、コアな音楽ファンを中心に高い支持を得る。2011年4月には2枚のベストアルバムをリリース。来年で結成20周年を迎えるにあたり、2014年よりさまざまなアニバーサリー企画を予定している。第1弾に初のPV集、第2弾にメンバー監修のバンドスコアを発売。2015年初頭には5年ぶりとなるオリジナルアルバムをリリースする。
中央:Salyu(サリュ)
2001年公開の映画「リリィ・シュシュのすべて」に、Lily Chou-Chou名義で楽曲を提供。2004年6月に小林武史プロデュースのシングル「VALON-1」で、Salyuとしてデビューを果たす。2008年11月には初のベストアルバム「Merkmal」をリリース。2009年2月には初の日本武道館公演も成功させた。 また、2011年からは新プロジェクト「salyu x salyu」としての活動を開始し、Cornelius=小山田圭吾との共同プロデュース作品「s(o)un(d)beams」を完成させた。以降2つの名義で並行してリリース活動、ライブ活動を行っている。
右:畠山美由紀(ハタケヤマミユキ)
男女ユニット・Port of Notes、エキゾ系楽団・Double Famousのボーカリストととして活動しながら、2001年、シングル「輝く月が照らす夜」でソロデビュー。近年の主な活動として、2011年3月、東日本大震災で被害を受けた故郷・気仙沼を思い「わが美しき故郷よ」と題した詩を雑誌、自身のブログにて発表。その詩は被災した人たちだけでなく、故郷を持つ全国の人々の心に届き、話題に。2013年6月、中島ノブユキをプロデューサーに迎え、アルバム「rain falls」をリリース。同年11月、日本製紙クリネックススタジアム宮城にて開催された「コナミ日本シリーズ2013」にて国歌斉唱を担当。2014年9月3日、演歌や歌謡曲をカバーしたアルバム 「歌で逢いましょう」をリリース予定。現在は、FMヨコハマ「Travelin' Light」(毎週土曜日11~13時生放送)のDJとしても活動中。