ナタリー PowerPush - →Pia-no-jaC←

第2章アルバム「暁」インタビュー&全都道府県ツアー回想

「PEACE」を通じて音楽の力を再確認できた

──アルバムのテーマでもあるラストナンバー「PEACE」も、過去の楽曲以上にソウルフルな色合いですよね。

HAYATO 「PEACE」では今回初めてゴスペルにチャレンジしてます。一緒に手拍子を取って、笑顔でピースになれるハッピーな曲にしたいなって思って、どういう和音やコード進行を使ったらいいのか僕らなりにゴスペルを勉強して。でもメロディはすごく覚えやすくて、みんなが一緒に歌えそうなやつがいいなとか、みんなで一緒に楽しめるキメがあってもいいよなとか。一緒に聴いたら本当にみんながピースフルな気持ちになれるようにって思いを込めて作った曲ですね。

──全都道府県ツアーで演奏したときも、ライブ会場がピースフルな雰囲気になりましたし。

HAYATO どの会場でも、いつもこの曲のときに鳥肌が立つんですよ。→Pia-no-jaC←のライブが初めてのお客さんが半分以上の会場でも、最後は全員があの曲でピースサインをしてくれるのってすごいことやなと。

──→Pia-no-jaC←を知っている人にとっても、当時この曲は新曲だったわけで。知ってる知らない関係なしに、一体になれるっていうのは本当すごいことですよね。

HIRO ライブが終わったあと、「あの曲(『PEACE』)、大好きです」って言ってくれる人がたくさんいたので本当にうれしかったですね。CDにもなってないのに、曲が進むにつれてキメのパートがどんどん盛り上がっていくし、体の揺らし方もひとつになってたし。あの曲は喜びや感動を感じさせてくれるんです。

HAYATO 「PEACE」を通じて音楽の力を再確認できた気がしました。

「眞」に込めた思いと偶然の一致

──和音階を取り入れた「雪月花」も聴いているとホッとする楽曲ですね。

HAYATO 北海道で夜にしんしんと降る雪を見ていたら、頭にあるメロディが流れてきて、それを曲にしたのが「雪月花」なんです。全国に、心温まるすてきな冬が訪れますようにっていう思いも込めて作ってます。

──アルバムは全6曲ですが、その何倍もの要素が凝縮されてるんで、聴き終えたときに6曲っていう感じがしないですよ。

HAYATO 1曲の中にいろんな要素が凝縮されていて、そしてタイプの異なる6曲が並んでるわけですからね。あと、実は6曲のほかにもう1曲……。

──ヴィレッジヴァンガード盤のみにボーナストラックとして収録されている「眞」ですね。タイトルの「眞」はHIROさんのカホンにも書かれている文字でもありますが。

インタビュー風景

HIRO 「眞」は俺の父と弟の名前に入っている文字で、小さい頃からよく見ていた馴染みの深い文字なんです。両親は弟に「真っ直ぐ育つように」って意味を込めて「眞」の文字を付けたらしく、その意味に少し憧れました。もちろん自分の名前に付けられた「正」という文字も大好きだけど、同じくらい「眞」って言葉が好きだったんで、いつの頃からか「眞」は自分のテーマになっていたんです。で、2年前に俺のカホンに書を入れてもらっている書道家さんに、俺をイメージした文字を書いてもらったことがあったんですけど、そのときの文字が偶然「眞」という文字で。俺がカホンを叩く姿を観ていて「眞」という文字が浮かんだらしいです。

──すごい偶然ですね。

HIRO 本当にビックリしましたよ。俺の名前には「眞」の文字は入ってなかったけど、長年大切にしていたテーマはちゃんと自分の中に根付いていたんだなってそのとき感じました。

「眞」はカホンの存在を知らない人にこそ聴いてほしい

──「眞」のレコーディングで意識したことはありますか。

HIRO カホンのみのソロトラックなんですけど、和太鼓のフレーズを意識していて。震災が起きて日本人は窮地に立たされたけど、それでも前を向いて進まなくちゃいけない。今はまだ夜なのかもしれないけど、夜明けは必ずやってくる。その夜明けを和のビート、日本人の魂に訴えかけるビートで表現したんです。夜明けが訪れるのを待つんじゃなくて、自分たちの手で「眞の夜明け」を掴む原動力になるよう、魂を込めて演奏しました。そして、俺にとって人生のテーマであり、一番大切な文字である「眞」を、入魂のトラックのタイトルに掲げたんです。

──ドラムソロやパーカッションソロとはまた違う迫力を感じました。

HIRO カホンってなかなか壊れないように作ってあるんですけど、「眞」のレコーディングでは俺の使ってるカホンが壊れちゃいましたね(笑)。この曲に関してはフルスロットルで叩いてるので、壊れないと言われてるカホンを突き破るくらい魂を込めてます。

HAYATO 実はこの曲、後からピアノも乗せてみたんですけど、カホンだけで成立するのでピアノはいらんなって、なったんです。カホンの存在を知らなかったり、どんな楽器なんだろうっていう人にこそ聴いてほしいトラックですね。

HIRO ヴィレッジヴァンガード盤でしか聴けないけど、いろんな人に聴いてほしいって思います。ただ、「PEACE」で終わるっていうアルバムの構成も最高だと思ってるので、今回はいろんな楽しみ方があっていいんじゃないかな。

ニューアルバム「暁」 / 2012年3月7日発売 / Peaceful Records

  • 初回限定盤 [CD+DVD] 2500円(税込) / XQIJ-91003 / Amazon.co.jp
  • 通常盤 [CD] 2000円(税込) / XQIJ-1007 / Amazon.co.jp
  • ヴィレッジヴァンガード盤 [CD+DVD] 2500円(税込) / XQIJ-91004
CD収録曲
  1. Paradiso
  2. Fairy Dolce
  3. Fantasista
  4. 雪月花
  5. 獅子奮迅
  6. PEACE
  7. [ヴィレッジヴァンガード盤のみ収録]
DVD収録内容
  • 「Paradiso」ビデオクリップ
  • 「雪月花」ビデオクリップ
→Pia-no-jaC←(ぴあのじゃっく)

HAYATO(Piano)、HIRO(Cajon)の2人で構成されるインストゥルメンタルユニット。名前の由来は左から読むとピアノ、右から読むとカホンとなる。鍵盤と打楽器という至ってシンプルな編成ながら、重厚かつ多彩な音を鳴らすのが特徴。デビューから3年でベストアルバム含めアルバム8枚をリリースし、累計は50万枚を突破。その独自の音楽性が各方面から注目を受け、ディズニーやスクウェア・エニックス、ショパンなど多数のトリビュートアルバムに楽曲提供。2010年発売の嵐のアルバム「僕の見ている風景」では、二宮和也から熱いオファーを受けゲストミュージシャンとして参加した。さらに宝塚歌劇団への楽曲提供、ラジオのジングル制作など幅広い活動を展開。ライブではオリジナル楽曲やクラシックなどのカバーを武器に、迫力満点のパフォーマンスを披露。国内外の幅広い層から絶大な支持を受けている。2012年3月7日にはニューアルバム「暁」をリリース。本作を引っさげ、4月より全国ツアー「→Pia-no-jaC← First Light Tour 2012」を開催する。