ナタリー PowerPush - →Pia-no-jaC←
初ベストアルバム発売記念 HIROカホン講座&曲作りセッション
→Pia-no-jaC←が初のベストアルバム「First Best」を9月7日にリリースする。本作には2008年9月発売の1stアルバム「First Contact」から今年3月に発売されたクラシックカバーアルバム「EAT A CLASSIC 3」まで6枚のアルバム、これまでコンピレーションアルバムなどに提供してきた楽曲や、コラボ楽曲などのオリジナルアルバム未収録曲、さらには本作のために録音された「Jack」の新録バージョンを収録。2枚のディスクに凝縮された彼らの音楽から、最小編成によるインストユニットの3年間の軌跡を辿ることができる。
ナタリーPower Pushに2度目の登場となる→Pia-no-jaC←。今回のインタビューは3部構成となっており、PART 1ではHIRO(Cajon)からカホンについてあれこれ聞くほか、実際にカホンの基本的な叩き方を教わる「HIROのカホン講座」を掲載。PART 2ではHAYATO(Piano)も加わったベストアルバム「First Best」についてのインタビュー、PART 3では→Pia-no-jaC←のサウンドプロデューサー樫原伸彦も参加した曲作りについてのインタビューを紹介する。なお、PART 1とPART 3では動画を使った説明も取り入れているので、これらのコンテンツから→Pia-no-jaC←の音楽の深みを存分に感じてほしい。
取材・文 / 西廣智一 インタビュー撮影 / 中西求
ストリートで使える打楽器が欲しかった
──HIROさんが最初にカホンを知ったきっかけは?
元々ドラムをやっていて、ストリートで使える打楽器が欲しいなと思ってインターネットで探していたんです。当時は楽器屋にもあまり置かれてなかったんですけど、たまたま日本にカホンを作ってる方がいてインターネットで販売してたので、そこで買ったのが始まりですね。
──いつ頃からカホンを始めたんですか?
ハタチくらいのときなんで、かれこれ10年前ですね。その頃日本ではカホンってほとんど使われてなくて、ライブハウスでも「なんだこの楽器?」ってずっと言われてたんです。楽屋にちょっと置いておくと、上に灰皿とかビールとか置かれてましたよ。
──じゃあ叩き方も、誰から教わるわけでもなく独学で?
最初は全然わからなかったですね。買ったときに付いてきた説明書には「端っこを叩くと高い音が出て、真ん中を叩くと低い音が出る」くらいのことしか書いてなくて。資料も動画もなんにもない状態だったけど、「ジターノ」っていうスペイン映画の中で主人公がカホンを叩くシーンがあるよって知り合いから教わって、それを観てひたすら勉強しました。
──ちなみにカホンの値段っていくらぐらいなんですか?
ピンキリですけどね。安いのは1万円くらいで手に入るし、高くても10万円しないです。
──じゃあ、パーカッションの中では手を出しやすいほうなんじゃ。
そうですね。しかも、1万円のカホンでも結構いい音が鳴ったりするんですよ。同じメーカーの同じ品番のカホンでも1つひとつ音がちょっとずつ違うので、そのへんは叩き比べてから買うと安くてもいいモノが見つかると思います。
段ボールでも細工すればカホンに近い音になる
──HIROさんの使っているカホンは木製ですが、やっぱり木製のものが主流なんですか?
基本は木材ですけど、打面をプラスチックで作ったものもあって。カホン自体まだ歴史の浅い楽器なので、今後いろんな材質のカホンが出てくるんじゃないかな。
──材質によって出音も違うわけですよね。
全然違いますね。木の種類によってもいろいろですし。柔らかい木だと繊細な音が出ますし、硬い木だと音も硬質になって高音がパーンときれいに出るんです。
──じゃあ、段ボールでカホンの代用もできますか?
ぶっちゃけ、段ボールでもちょっと細工するだけでカホンに近い音になります。だから段ボールを叩いてもいい練習になるんじゃないですかね。
──段ボールで簡単に代用できるけど、すごく奥の深い楽器ですね。
最初の入り口はすごい広いんですけど、突き詰めれば突き詰めるほど奥深さを感じる楽器です。
DISC 1 [Original]
- 組曲『 』
- うさぎDASH
- 交響曲 第9番 ニ短調 作品125 「合唱」第4楽章 / ベートーベン
- 小フーガ ト短調 BWV 578 / J.S.バッハ
- 台風
- 花火 ~HANABI~
- Time Limit
- 美しく青きドナウ / ヨハン・シュトラウス
- 交響曲第9番 ホ短調 作品95「新世界より」第4楽章(First Best Ver.) / ドヴォルザーク
- 残月
- The Last Resort
- 輪舞曲 ~Rondo~
- 熊蜂の飛行 / リムスキー=コルサコフ
- ジ・エンターテイナー / スコット・ジョプリン
- Jack 2011
DISC 2 [Compilation&Collaboration]
- メインストリート・エレクトリカルパレード [ディズニーランドR] / 「Disney Rocks!」より
- ミッキーマウス・マーチ [ミッキーマウス・クラブ]&星に願いを [ピノキオ] / 「Disney Rocks!!」より
- さらば愛しきストレンジャー / 「NOT JAZZ!! BUT PE'Z!!!」より
- Typhoon (DAISHI DANCE Remix) / 「PIANO project.」より
- Pulse of the earth / 「PIANO project.」より
- 夜想曲第2番変ホ長調Op.9-2 / 「JAMMIN' with CHOPIN」より
- More SQ: クロノ・トリガー 風の憧憬 / 「More SQ」より
- Love SQ: ビッグブリッヂの死闘~妖星乱舞~片翼の天使 / 「Love SQ」より
→Pia-no-jaC←(ぴあのじゃっく)
ピアノのHAYATO、カホンのHIROにより2005年4月に結成されたインストゥルメンタルユニット。鍵盤を中心にしたシンプルな楽器編成ながら、ジャズともクラシックとも異なるエネルギッシュでオリエンタルなサウンドが、リスナーに強烈なインパクトを与えている。2008年の1stアルバム「First Contact」を皮切りに2年間で5枚のアルバムを立て続けに発表し、合計で45万枚のセールスを突破。国内外のフェス出演を含む、年間250本以上のライブを精力的に敢行している。2010年夏にはDAISHI DANCEとのコラボアルバム「PIANO project.」をリリース。さらに、同年8月発売の嵐のアルバム「僕の見ている風景」では、二宮和也から熱いオファーを受けゲストミュージシャンとして参加した。2011年1月には、クリエイティブディレクターの箭内道彦が手掛けるシューズブランド「ピーエフフライヤーズ」のCMソングに、アルバム「EAT A CLASSIC 3」の収録曲「ジ・エンターテイナー」を提供。同年4月からスタートした全国ツアー「Travellin' Band Tour 2011」のファイナル公演では、渋谷C.C.Lemonホールでのワンマンライブも実現した。なおユニット名は、左からピアノ、右からカホンと読むことができる。