ナタリー PowerPush - PE'Z
リーダー交代を経てさらに前進 合法ダウンロードアルバム第3弾完成
まだみんなに見せてないところをガンガン出してくれ
──今回のアルバムでは、それぞれがプレイヤーとしての持ち味を出そうとしているような印象も感じましたけれども。
ヒイズミ まあ結成から12~3年経ってますが、リーダーが航さんになってからそれぞれの個性がまた見えてきたようなところはありますね。でもまあとりあえず、いい曲。うわーって盛り上がれる曲を作りたいなっていうのが第一にありました。「なんだこれは!? でも、いいね!」っていう感じというか。
──いい意味での驚きを生み続けるには、ジャズバンドとしての編成のPE'Zにどんどん新しい要素を投入していく必要があるわけですよね。今に至るまで、ラテンだったり、ヒップホップだったり、いろんなことに挑戦してきたと思うんですけれども、今回のアルバムにもそういう「PE'Zならではの音楽に新しい要素を加えた」という曲があるんじゃないかと思います。そのあたりはどうですか?
ヒイズミ ありましたね。航さんが持ってきた曲で、最初すごいのがありまして。
──それは曲名で言うと?
ヒイズミ 「パワパワパワー」ですね。完成形になる前のバージョンがすごかったです。
航 あははは! そっかそっか、いろいろあったね(笑)。
ヒイズミ なんだこりゃっていうリフだけとか(笑)。
航 もうリーダーも交代したことだし、みんなとりあえず何かしらのアイデアをくれよ、ということからアルバムの制作が始まったんです。メンバーそれぞれが持ってる、まだみんなに見せてないところがきっとあると思うので、そこをもうガンガン出してくれという。
ヒイズミ それで、ものすごいものが鍋に入ってきたみたいな(笑)。
──できあがった曲とは全然違うアイデアからスタートした曲も多かったんですか?
航 それはたくさんありますね。最初からできあがってた感じの曲はそんなにないかも。ものすごい数のアイデアの中から、これいいね、じゃあさらにこっちを付け加えてみようって付け加えていった。
ヒイズミ 例えばそれが如実に表れてるのがアルバムの最後に入っている「Enjoy ザ Fight」っていう曲だったりしますね。あれはいろんなアイデアを組み合わせてできあがった曲なので。
裏をかいていきたい
──今年1年、PE'Zとしては非常に密度の濃い活動をしてきたと思うんですけれども、バンドにとっての1年を振り返ってみてどう感じますか?
航 僕はもうとにかくリーダー代わってからの半年が濃厚でしたね。このアルバムもみんなの持ってる力の10倍以上が発揮されているんじゃないかと思います。メンバーそれぞれがPE'Zのことを本気で考えた期間だと思うし。密度の濃いアルバムができたと思います。この半年間がもう……10年ぐらいの感じですかね。
ヒイズミ アルバムが完成して、PE'Zが新しくなってよかったと思いますね。毎年そういうことを言ってる気もしますけど、今年も始まりの年と言える年になった気がします。
──これまでPE'Zとして12年、13年とキャリアを重ねてきたわけですよね。そういう中で、いろいろな新しい試みに挑戦したり、新しいことを発信してきたと思うんです。そういうPE'Zにとって、今の音楽シーンがどう見えるか、そこで自分たちとしてはどういう音楽をやっていきたいかという話を訊ければと思うんですが。
航 個人的には、やっぱりここ2年くらい音楽界も含めていろいろな面でちょっと元気がなくなってるなっていう感じがあるとは思ってますね。その中で元気とか笑いとか明るくっていうことはもちろん重要だと思うんですけど、自分たちの、ハッキリ言えば僕の思いとしては、涙と笑いが共存しているような音楽を作りたいというのがあります。笑顔と涙って両極端のようだけど、涙のあとに笑いがあるようなこともあると思うんです。今回のアルバムでそういう音楽が作れたかなっていう実感もあります。
──なるほど。ヒイズミさんはどうですか?
ヒイズミ そうですね……。やっぱり……面白いものを見つけたいというのはあります。そしてできるだけ裏をかいていきたい(笑)。「こっちのほうが絶対いいよ!」っていうのをリスナーに提供したいって感じですね。
──なるほど。確かにお2人が言われたように、PE'Zの音楽には「こんなことやるんだ」という驚きと、楽しさと、感情に染みる面があって。そこはお話いただいたとおりだと思いました。
航 なので、これからは心の扉を全開にしていければと思いますね。最初の話に戻りますけれど、フリーダウンロードを始めたっていうのも、何より自分たちがどんどん前に出ていきたい、開放的になりたいっていう気持ちの表れだと思うので。
──わかりました。ちなみにフリーダウンロードの期間は12月1日~1月31日の2カ月間で終了するわけですが、その後の動きも決まってたりしますか?
航 それはもうライブをやるしかないですよね。次はちょっと大きなところでやりたいなと思ってるので、楽しみにしてもらいたいですね。
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収録曲
- 5running
- JumpUP!
- Spacy Tours
- DJ ポントレックス
- ナイスコンビネーション
- ティンカーベル
- GOAL! GOAL! GOAL!
- マラゲの娘
- パワパワパワー
- Rocket XXX
- 電子工学
- Let's KOH!
- 泣きべそチーター
- Enjoy ザ Fight
- 「JumpUP!」完全版 / 2013年3月6日発売 / [CD2枚+DVD] / 完全限定生産3000セット / 6000円 / apart.RECORDS / APPR-6004~6006
DISC1 収録内容
- JumpUP! スタジオ盤
DISC2 収録内容
- EN-MUSUBI 2012.12.30 shimokitazawa GARDENライブ盤
DVD 収録内容
- 「JumpUP!」全曲生演奏が使われたMV集
※全国ツアー「EN-MUSUBI 2012」全会場およびPE'Zオフィシャルファンクラブにて先行予約を実施。
「EN-MUSUBI 2012」
2012年12月21日(金)福岡公演~
12月30日(日)東京公演 全8公演
「EN-MUSUBI 2012」会場先行予約特典
- 名前をブックレットに印刷。
※1枚につき、購入者の名前のみ(10文字まで)。 - 会場先行予約価格(商品+発送手数料)6000円
PE'Z (ぺず)
2000年に結成された5人組ジャズバンド。ライブハウスやクラブに加え、渋谷などでストリートライブを定期的に開催する。2001年に初のミニアルバム「pe'z」をインディーズレーベルからリリース。翌2002年にはメジャーデビューも果たし、同時にイベントや野外フェスへの出演を通して知名度を獲得する。海外でのライブも積極的に行い、世界をまたにかけロック魂あふれるジャズサウンドを響かせている。結成10周年を迎えた2009年には、彼らの楽曲を他のアーティストがカバーする初のトリビュートアルバム「NOT JAZZ!! BUT PE'Z!!! ~10TH ANNIVERSARY TRIBUTE TO PE'Z~」が発表された。2011年9月にアルバム「向日葵-Himawari」を全曲無料配信する“合法ダウンロード”企画を実施し、大きな話題を集める。2012年2月に無料配信アルバム第2弾「OH! YEAH! PARTY!!」を、同年12月に第3弾となる「JumpUP!」を発表した。