考えるのはいつも「Perfumeとしてどうありたいか」

──あ～ちゃんはどう思いますか？ 「Perfumeらしさ」とはなんなのかについて。

あ～ちゃん　3人それぞれがPerfumeを本当に好きでいて、一番に考えてくれてるところなんじゃないかと思います。のっちなんか女優やったら絶対に火がつくくらい美人だし、ゆかちゃんなんか本当にスタイリッシュでモデルをやれば絶対支持されるのに。そういう1人の活動もやればいいと思うのに一切やらず、なによりPerfumeを大事に考えてくれてる。まあ、わけもわからないような子供の頃から続けてたから結果そうなっただけかもしれないけど（笑）、そういうグループってほかにあまりいないかもしれませんね。

──いませんね。

あ～ちゃん　長く続けてるとだんだん自分の好きなこと、やりたいことがほかにできたり、欲が出てきたりして、それがきっかけで解散しちゃうなんて話がよくあるじゃないですか。けど私たちって「今、私がやりたいのはこれだから」って自分だけの単体の考えにはならないと思うんです。うちらはそういうのじゃなくて「Perfumeとしてどうありたいか」をいつも考えていて。

──ああー。

あ～ちゃん　芸能界って本当に魅力的な人たちばっかりじゃないですか。それはアーティストや女優さんとかに限らず。マネージャーさんもすごいプロデュース力を持ってる人がいるし、こういうインタビュアーさんだってすごい深い考えを話してくれる人もいるし。いろんなことを体験できて、いろんな人と会う機会がある、刺激が普通よりもたくさんある世界なので、そこに惹かれるのはやっぱり当たり前だし、いろんな世界に飛び出したくなるのは自然なことだと思うんですけどね。でもやっぱり私たちはPerfumeが一番なんです。

──なるほど。ちなみにPerfumeとしては今、どんなことに刺激を感じてますか？

かしゆか　誰もやったことがないことをやれてるってこと。

のっち　なんかようわからんままやってること多いもんね。ライゾマさん（ライゾマティクス）とやるときは。

かしゆか　どうすごいのかもよくわからんまま、それを任せられてる（笑）。あとで映像で観て「こんなすごいことだったんだ」ってビックリするもんね。誰も見たことがないようなことができるのは、すごくうれしいです。みんなにも楽しんでもらえるし。

のっち　うん、楽しんでほしいんですよね。自分たちがどうなりたいかじゃなくて。前に東京ドームでライブをしてから「次にどこを目指したらいいかわかんない」みたいにちょっとなってたんですけど、その後、海外で好きって言ってくれる人たちにたくさん会ったり、日本でいろんなところでライブをやってみて、結局自分がやりたいことって何なんだろうって考えたら、きっと「人に楽しんでもらうこと」なんだろうなって。

実はよく見えてなかったのかも

──前回のインタビュー（参照：Perfume「LEVEL3」インタビュー）でも年末のドーム公演への意気込みを伺いましたが、さらに本番が近くなってきたので、ライブでの目標などがより具体的になってきたのでは？

のっち　私、けっこう目が悪いんですよ。乱視が入ってて。それでこの間、初めて乱視用のコンタクトを買ったんです。それをつけたら本当に世界が変わって。「月ってこんなにクレーターがいっぱいあるんだ……」とかいちいち感動してて。今度のドームはよく見える状態で挑む初めてのライブなので、今までとは違う気持ちです。すごく緊張しそうだけど。

かしゆか　今まで見えてなかったんだ（笑）。ライブに来て「のっちと目が合った！」って喜んでたお客さんたちの感動が……（笑）。

のっち　合ってはいたけどね！

あ～ちゃん　フォロー入れた（笑）。

かしゆか　ハハハ！（笑） ドームではのっちが今まで以上に目をカッと開いてるかもしれないね。

あ～ちゃん　のっちはまっすぐ前を見て踊るところがカッコいいんだけど、実はよく見えてないからそういう目つきをしてただけだった説（笑）。それが見えるようになったときに……。

かしゆか　どう変化するか。

のっち　「あ、お客さんと目が合わん。こっち見てない」って不安になりそう。がんばります（笑）。

あ～ちゃん　振り付けがめっちゃまじめになっちゃったらどうしよう（笑）。それ楽しみだねえ。

お客さんとの距離が遠いからこそ楽しめるライブ

──ほかのお2人はどうですか？ ドーム公演について何か考えていることはありますか？

あ～ちゃん　私の妹（9nineの西脇彩華）も歌をやってるんですけど、いつもPerfumeのライブを観に来て「すごい勉強になる！」って言ってくれて。ホントにありがたいんですよ。でも最近、妹が母に「もう規模が大きくなりすぎてしまって自分のグループに活かせるところがない」って話してたって聞いて。

──ああ、自分の参考にならないくらい大掛かりなライブになっちゃったという。

のっち　そんなこと言われたらドキッとするね……。

あ～ちゃん　うん。私たちは小さいライブハウスから始めてアリーナでできるようになって、昔はセットなんて組めなかったのにこんなに大きなセットを作ってもらえて、今までやりたいと思ってたことがようやく実現できていて。私たち3人だけで、もっと幅を広げたエンタテインメントを見せていきたい。どんどん夢を叶えていけば、もっともっと夢が広がる。ずっとそう思ってたんですけど、それが汲み取れんくらい手の届かんところに行ってしまったって、身内でさえも感じてるんだって知ったときに……、なんかちょっと違うんだよなって思ったんですよ。

──自分がやりたかったのはそういうことじゃなかったと。

あ～ちゃん　大きな場所で素敵なセットを組んで、すごい演出で驚かせて、「ライブで観たら曲のイメージが変わった」とか思ってほしくて、最大限そういうことができるようにがんばってきたんだけど、でも私たちがライブに向かってるときの気持ちって結局インディーズの頃と何も変わらないんですよね。お客さんにちょっとでも楽しんでもらって「ああ、また観に来たいな」って思ってほしい。そういうことを一途にやってきたのは変わらないから。気を付けないと自分たちも取り込まれて、ついついカッコいいことばっかりやりたくなっちゃうけど、初心は忘れたくないというか、「変わっちゃったな」って言葉だけで片付けられたくないなって思いました。12月のドーム公演はそんなライブにしたいです。

かしゆか　今度のライブは大きなドームでやる意味のある内容になってます。ライブハウスでは絶対にできない、とんでもないことをやってます。

あ～ちゃん　ライブハウスでやったらはみ出るよね。きのこを食べたアリス状態（笑）。

かしゆか　そうそう。お客さんを入れられるスペースがありませんってなっちゃうんで（笑）。

──おお、そんなに大掛かりな演出を用意してるんですか。

かしゆか　前回のドームは「3人だけで見せられるもの」っていうテーマで、あえてシンプルさを追求したものだったんですけど、今回はドームならではのことがやりたいと思って。最新の技術で、私たちとお客さんの距離が遠いからこそできる演出をたくさんやる予定です。会場が広いとステージから遠いお客さんが出てくるのはどうしても避けられないから、遠いからこそ楽しめるライブができたらいいなと思ってたんです。ぜひ楽しみにしててください。