逆再生ダンスの練習をしすぎて

──このPVは一部で逆再生の映像が使われてるんですよね。ということは振り付けだけでなく、口の動きも逆に動かしてるんですか？

のっち　関さんに「逆再生ダンスやってみないか？」って言われて、リハ室に入って3人で逆再生された動画を見ながら振りを覚えてるときに、「口もちゃんと歌ってるように再生されたらすごいよね」って言われたんですよ。でも踊りだけでいっぱいいっぱいすぎて、それはさすがに無理だって返事して。だから3人ともなんとなく口を動かしてます（笑）。

かしゆか　適当にパクパクと。全然合ってなくてひどいですよ（笑）。

あ～ちゃん　あれ、やってみたら本当にわかるんですけどマジで大変なんですよ（笑）。何がどう大変って、まず逆再生にするとメロディが変だから曲として全然覚えられない。あと、ダンスにリズムがなくなる。

──あーそうか、アタック音がなくなりますもんね。

あ～ちゃん　リズムが取れないから間をとるタイミングもわかんないんです。そうすると振りにグルーヴがまったくなくなってカクカクしたダンスになっちゃって。それを直そうと思ってグルーヴをつけると、今度は逆再生したときにダンスできない人みたいな変な動きになっちゃうし。

──言われてみると確かに大変そう。

あ～ちゃん　のっちがその状態に陥ってたんだよね。前のマネージャーさんがちょっとダンスで特徴的な動きをする人だったんですけど、のっちのダンスがその人そっくりで「あっ！ 岩井さんになってる！ 危ない！」って言ってました（笑）。MIKIKO先生も「もう無理だ」って途中で諦めてて。でもそういうのを何時間も続けてるうちに、ゆかちゃんが急に「あれ？ なんか踊れてる？」って。

のっち　最初に習得してました（笑）。

かしゆか　私、新たな可能性を見出しちゃったんですよ（笑）。

あ～ちゃん　あとの2人は踊れたゆかちゃんの動きを見ながら覚えました。さらにその間に、のっちがずーっと研究してて、リズムが聞こえなくてもリズムを取れるようにカウントを作ってくれたんですよ。

──おお、すごい。

あ～ちゃん　私はビデオを観ながら振りを覚えるのがすごく苦手で、本当にできないんです。だから2人がそうやってがんばってくれたおかげで、おんぶにだっこでやっと踊れた感じでした。

のっち　撮影は逆再生ダンスが最後だったんですけど、撮り終わったのは朝の5～6時になってましたね。で、それをやる前にはちゃんとしたダンスもずっと踊ってて。

あ～ちゃん　正しいほうのダンス、1回忘れたよね（笑）。

かしゆか　もう1回踊ってみたらみんなぐちゃぐちゃになっちゃって。「右？ 左？ どっち？」「えーっと、逆回転の正回転だから」「あっ、のっちが正しいかも！」とか言ってました（笑）。

あ～ちゃん　で、苦労してやっと撮り終わったんですけど、映像を観たら「あれ……？ 意外とこれギリギリじゃない？」っていう話になって。

かしゆか　練習しすぎたのか、逆回転で撮った映像を正回転で再生しても、なんか普通になっちゃったんです。それで「これって逆回転だって伝わるのかな？」「なんか面白味ないね」って。

あ～ちゃん　伝わらないと「ただ単にちょっとダンスがへたっぴな人」に見えちゃうので、それはイヤだよねえ、みたいな。だからすごく迷ったんです。

かしゆか　撮り終わった後に、同じセットで正回転のダンスも一応撮っておいて、どっちを使うかはギリギリになって決めようってことになって。

──で、結局この逆再生映像を使ったんですね。

のっち　そうですね。「せっかくやったし！」みたいな。

あ～ちゃん　「挑戦したってことがニュースになるよ！」って、なんか不思議な納得の仕方をして（笑）。でも関さんは最初から最後まで「この映像は面白い」ってずっと推してたんですよ。私たちは彼を信頼してるので、正しかったなと今は思ってます。

「急にすみません」っていうビデオを送りつけたんです

──新しいライブが続々決まっていますね。まずは今月末から東名阪で開催される対バンライブツアー「ずっと好きだったんじゃけぇ～さすらいの麺カタPerfume FES!!」。これはPerfumeが自ら企画したということですが、どの程度自分たちで考えたんですか？

あ～ちゃん　やりたいっていう話から始めて、ほぼ全部ですね。メッセージビデオを撮って、出演してもらいたいアーティストの方にお送りして、OKかどうかを確認して……。

──メッセージビデオ？

かしゆか　オファーをお願いするために、3人でアーティスト本人に向けての動画コメントを撮ったんです。「Perfumeです。急にすみません」って。

のっち　それを送りつけたんです。うふふ（笑）。

あ～ちゃん　ほとんどはじめましてな人にも送ったから、「あ、あの、はじめまして。私たちPerfumeっていいます」みたいな自己紹介をして（笑）。そしたら思いがちゃんとダイレクトに伝わったんですかね、皆さんからすごく丁寧なお返事をいただいて。「あのー、こちらもメッセージビデオで送り返したほうがいいですか？」って言われたり（笑）。オファーを送らせてもらうときは「もうこの際じゃし、図々しくいこうか！」ってテンションだったから、メンバーが決まった時点で「おっしゃ念願叶ったー！」みたいな、早くもすごくやり終えたような空気になってます（笑）。

かしゆか　もし断られてたらツアー自体がなくなっちゃうところだったので（笑）、本当に皆さんに受けていただいたおかげです。

──そもそもなぜ対バンツアーにしようと思ったんですか？ 本当にフェス形式でやることも、今のPerfumeならできるんじゃないかと。

あ～ちゃん　「自分でフェスをやるのは大変だよ。まだ若いから、まとめることもきっとできないだろうし」って話を聞いて、じゃあまず対バンかなって。対バンもあまりやったことがなかったし、やってみたいって気持ちがずっとあったんです。自分たちが「絶対これやったら面白いのに！」って思ったことに対して、同じように「面白そう！ 行ってみたい！」って思ってくれる人が殺到してくれるって、すごくうれしいですね。それだけでこの企画を立ててよかったと思うし、待っててくれる人がいるんだと思うと気合いが入ります。