ナタリー PowerPush - Perfume
またひとつ夢が実現「未来のミュージアム」
自分を信じられなくて、ライブハウスでやることを恐れてた
──先ほど「機材をあまり持ち込めなかったからシンプルなライブだった」と言っていましたが、初日の台湾公演を会場で観たときに、そんなことはぜんぜん感じなかったんです。会場が小さなライブハウスになったからといってスケールダウンしたという印象はなく、巨大なアリーナでやっているパフォーマンスをそのままあの空間に持ち込んだようなライブだと思いました。
のっち それ、すごくうれしいです。
──会場のキャパが大きくなるにつれて舞台美術や照明、演出がどんどん派手になっているけど、それだけでなくPerfume自身もやっぱり昔と比べてはっきりと進化しているんだなって。今回ステージのサイズが小さくなって演出も小規模になったことで、3人のパフォーマンスがより引き立ってそれがあらわになった気がしました。
あ~ちゃん うれしいですね、そう信じてやってきたので。小さなライブハウスでずっと活動してきたから、自分たちは特別な機材とかが何もなくてもライブをやれるって、なんとなく思ってたんです。でもアリーナとか大きいところでライブをやらせてもらえるようになって、どんどん演出がすごくなったときに、MIKIKO先生が「Perfumeのライブは演出がないと大きなアリーナでは難しい」っていう話をしてくれて、実はすっごい傷付いたんです。「あ、演出がないと、うちらもうステージ立てないんだ」って、すごいショックだったんです。だからこれから、ライブハウスでやったときに「こんなもんか」って思われて、イメージダウンしてしまうかもしれないっていうのをすごい恐れてるところがあって。自分たちを信じられない気持ちがあったから、その言葉は本当にうれしいです。
──ただ確かにPerfumeは、特にここ1~2年は最先端テクノロジーの活用を前面に出したグループというイメージが付き始めてますよね。グローバルサイトの「文化庁メディア芸術祭」大賞受賞(参照:Perfumeサイトが「文化庁メディア芸術祭」大賞受賞)とか。
あ~ちゃん うん、そうなってますよね(笑)。うちら何もやってないんですけどね。
かしゆか なんかすごいことになってきてるよねえ。
──その方向に進もうという意識は、もともと自分たちの中にもあったんですか?
かしゆか そういうことをやってみたら面白いだろうな、っていう気持ちはありましたね。Perfumeはもともとアンドロイドっぽいとか言われてたから、新しい技術を使うことは私たちのイメージにハマるし。
のっち やっぱり東京ドームのライブでの出会いが大きかったなと思います。
──真鍋大度さんやRhizomatiksですか?
のっち はい。あのとき初めて携わってくれて、それ以来Perfumeをどんどん引き上げてくれてるっていうか。
あ~ちゃん Perfumeの超ファンでいてくれてて、考え方が本当にファンの方目線だから、実際にファンの方々が欲しがってるものを、自分たちには想像もつかないような技術と合わせて提供してくれるんです。「こういうのどうですか?」ってアイデアをくれるから、今すごく助かってますね。私たち自身はテクノロジー的なことまったくわかんないし(笑)。
のっち うん。新しいことはさっぱりわかんないです。うふふ(笑)。
あ~ちゃん でも、最先端の人がカッコいいって思ってくれるようなグループになったのかな、そういう人に「カッコよくしたい」って思ってもらえるようなアーティストでいられてるのかな、って思うとやっぱりすごくうれしいですね。
ライブは曲間が超大事
──NHKで放送されたアジアツアーのドキュメンタリーを観て驚いたんですが、ステージ上での動きはリハーサルのときに自分たちで細かいところまで決めてたんですね。「このタイミングでそっち側に動いて」みたいな。そういうことまで自分たちでやってるとは思いませんでした。
あ~ちゃん ああ、あれはライブハウスだからというのもあって。広い会場だと照明もたくさん入ってるからどうにでもできるけど、照明の数が限られてる場所だと「ここに立ったら光が当たらない」とか、「この照明はこういう向きだからこう立とう」「ここに動かせない照明があるから前を通らないようにしよう」とか動きに制限が出てくるんです。それは感覚として身についてるので自分で見たほうがよくわかる。指導してもらうと「もうちょっと右、もうちょっと右」って言われてもなんで右なのかわからないけど、ステージから降りて自分で見ると「なるほど、そこのレーザーにかぶるんだ」っていうのに気づくので、こっちのほうが早いなって。それで今回はやりました。
──なるほど。それ以外にもリハーサルのときに自分たちでこだわってやっていることは何かありますか?
あ~ちゃん ライブは曲間が超大事だなって思ってて。すっごくいい曲なのに曲間が詰まりすぎてて、次の曲が始まっちゃってぜんぜん余韻に浸れず印象にも残らんかったっていうのが一番残念だと思うんですよ。で、それを考えるときに重要なのは曲の始まりじゃなくて曲の終わりなんだなってことに気がついて。Perfumeのライブだと曲間は本番になったらもう変えられないから、リハーサルで決めておかなきゃいけないんです。バンドさんだったら本番で空気感を読んで決められるんだろうけど、なにせ私たち曲が流れたら踊り出しちゃうんで(笑)。
のっち 確かにバンドだとさ、次の曲のイントロまでも含めて前の曲の余韻として楽しんでそうだもんね。
かしゆか 本当にそうだね。余韻としてのイントロ。
あ~ちゃん うちら次の曲始まったら即「バーズン! バーズン!」だもんね(笑)。
- ニューシングル「未来のミュージアム」 / 2013年2月27日発売 / UNIVERSAL J
- 「初回限定盤」[CD+DVD] / 1500円 / UPCP-9003
- 「通常盤」[CD] / 1000円 / UPCP-5003
CD収録曲
- 未来のミュージアム
- だいじょばない
- 未来のミュージアム -Original Instrumental-
- だいじょばない -Original Instrumental-
初回限定盤DVD収録内容
- 未来のミュージアム -Video Clip-
Perfume(ぱふゅーむ)
かしゆか(樫野有香) 、のっち(大本彩乃)、あ~ちゃん(西脇綾香)により2000年に広島で結成。2003年に活動拠点を東京に移してからは、プロデューサーにcapsuleの中田ヤスタカを迎え、インディーズレーベルで精力的に活動を開始。2005年にシングル「リニアモーターガール」でメジャーデビューを果たし、近未来的な世界観のサウンドとダンスで耳の肥えた音楽ファンの間でも高い評価を獲得する。2007年に「NHK環境・リサイクルキャンペーン」テレビCMに出演し、CMソング「ポリリズム」が大ヒット。テクノポップブームの火付け役となり、2008年には日本武道館、2010年には東京ドームでのワンマンライブを成功させる。2011年にはピクサー映画「カーズ2」の挿入歌&日本語吹き替え版エンディングテーマに、アメリカのスタッフによる指名で「ポリリズム」が抜擢。2012年にユニバーサルJに移籍してアルバム「JPN」のiTunes Store世界配信を実施し、同年4月に「キリンチューハイ 氷結」のCMソング「Spring of Life」のCDシングルをリリースする。10月にアジア4カ国で行われた初の海外ツアーは大成功のうち終了。2013年2月には「映画ドラえもん のび太のひみつ道具博物館(ミュージアム)」の主題歌「未来のミュージアム」をCDシングルとしてリリースする。