ナタリー PowerPush - Perfume

みんなで一緒に世界に行こうよ!

世界進出に照準を合わせた活動を本格的にスタートさせるべく、新たに外資系レコード会社ユニバーサルミュージックとタッグを組むことを決めたPerfume。移籍後すぐに彼女たちは、日本を除く50カ国のiTunes Storeでアルバム「JPN」を配信リリースしたほか、海外展開用グローバルサイトやYouTube公式チャンネルを開設し、メンバーのダンスを記録したモーションキャプチャデータを各国のクリエイターに向けて無料配布するなど、わすかな期間で世界を意識した怒涛の攻勢を仕掛けている。

そんな中でリリースされるレーベル移籍第1弾シングル「Spring of Life」は、新たな一歩を踏み出し始めた彼女たち自身の今のイメージとも重なる、前向きな気持ちが込められたナンバー。今回のインタビューではこのシングルについて感じたことや、急激な変化を迎えている現状への思いについてメンバー3人に語ってもらった。

取材・文 / 橋本尚平 撮影 / 井出眞諭 スタイリスト / 三田信一(KiKi inc.)
ヘアメイク / 大須賀昌子、島尻優樹(ゴールドシップ)

私たちを通して日本の音楽シーンを知ってもらいたい

──今まさに「Perfume『JPN』TOUR」の真っ最中ですが、現時点での今回のツアーの手応えを教えてください。

のっち ツアーは2年半ぶりなんですけど、今回はすごく楽しく回れてると思います。ステージに出る前からお客さんの声とか手拍子が聴こえてきて、そのすごい盛り上がりに応えようと、私たちも出た瞬間からテンションが高くなっちゃって。まあ、演出上テンション上げすぎちゃいけなかったりもするんですけど(笑)。そんな感じがすごく楽しいです。会場に来てくれた人とは、本当に仲間たちとしゃべってるような感覚。

──これから海外進出していく上で、ぜひ世界中の多くの人に観てもらいたいクオリティのライブだなと感じました。Perfumeの曲はライブパフォーマンスも含めて完成するものだと思いますし。

あ~ちゃん いやー、うれしい(笑)。日本の人からそう思ってもらえるのは自信になります。そのためにユニバーサルさんに移籍してこれから一緒にやっていくことを決めたので。2011年にショッキングなことが起こってから、今の日本は絆とか、信じること、思いやる気持ち、あきらめない心、そういったもので一致団結していて、それがほかのアーティストの皆さんが作る音楽にも表れてると思うんです。そんな力強い日本の今の音楽シーンを、私たちを通して海外の人にも知ってもらって好きになってほしい。日本をもっと好きになってほしいっていう気持ちがあって。

──いいですね。

あ~ちゃん だから海外でも、今やっているライブパフォーマンスのスタイルはそのまま続けようと思ってます。中田(ヤスタカ)さんが作ってくださる曲を歌って、MIKIKO先生に振り付けをしていただいて、体制を全く変えないでいくつもりなので。だから今までどおり何も変わらず、日本での活動を一番に、日本のファンの皆さんのことをなにより一番に考えてます。ぜひみんなで一緒に世界へ行こうよ!っていう気持ちです。

──海外進出にあわせてこれからPerfumeがどう変化していくのかに興味があったんですが、本人たちはマイペースにやっていくつもりなんですね。

あ~ちゃん そうですね。

かしゆか 自分たちをガラっと変えるために海外に行くわけではなくて、今のそのまんまの私たちをたくさんの人に知ってほしいと思ってるから、「海外仕様にイメチェンしました」みたいなことはないです。もちろん、変えていったほうがより良くなる部分もあると思うんですけど、今のところは私たちは私たちらしいままで。これまでの積み重ねがあって今のPerfumeがあるから、急に変えていくんじゃなくて今までのものを大切にしながら前に進んでいけたらなって考えてます。

もしスタイルを変えるとしたら日本の中で変える

──最近のK-POPユニットの場合、日本デビューするときには日本語バージョンを新たに作ったりしますよね。

あ~ちゃん あれ、うれしいですよねえー。

かしゆか そうそう、来てもらった側の国の人はすごくうれしいんですよね。

のっち でも多分Perfumeが英語で歌うことは求められてないので(笑)。「世界中の人に日本語を好きになってほしい」みたいな気持ちもあるし。

かしゆか 歌詞の良さって、語感とか音の響き、韻を踏む面白さとかがありますよね。私たちの曲の場合は日本語で歌うことを前提に作られてて、それがすごくいい状態になってると思うんです。例えば、日本語で女の子が歌うとかわいく聴こえる語尾になってたり。だから英語に変えるとその微妙な良さが全部消えちゃうんじゃないかなって気がしてて。今のところは、既にある曲を英語詞とか違う言葉に変えようっていう話は出てきてないですね。英語のための曲を新しく作るっていうのはありかもしれないですけど、私たちはそんなにしゃべれるわけでもないし(笑)。

のっち 「Speed of Sound」ならあるけどね!

かしゆか あの曲、海外の人が聴いたらどう思うんだろうね(笑)。

インタビュー写真

あ~ちゃん なんかでも、韓国の人が日本語でしゃべったり歌ってくれたらうれしいじゃないですか。たどたどしい日本語だけど、一生懸命勉強して話してくれるその姿に心を打たれる。「あ、応援したい」って気持ちになる。今とは違う他の土地に行くんだったら、そこに歩み寄っていく気持ちって大事だと思うから、もし今後そういうことが求められるのであれば、ぜひそれには応えていきたいなとは思っています。基本的には何もスタイルは変えずに行くつもりですが。

──なるほど。

あ~ちゃん 変えるとしたら日本の中で変える。日本でPerfumeをどんどん進化させて、もっと良い方向に進んでいって、その成果を日本で見せてから海外でも出していきたいです。「JPN」もこっちでリリースしてから海外で配信しましたし。

──海外での活動は堅実に考えてるんですね。

あ~ちゃん でもライブは早くやってみたいですね。「JPN」の配信が始まって世界中のいろんな方にPerfumeを聴いていただける手段はできたけど、まだ信じられないっていう気持ちがあって。だから聴いてくれている方々のところに行ってみたいんです。私たちがパフォーマンスをしたときにどんな反応をするのかも日本とは違うと思うので、それを実際に見てみたいし、どれくらいの人がPerfumeを知ってくれてるんだろうっていうのも興味あるし。あと、いろんなところでいろんなものを食べてみたい!

──あはは(笑)。

あ~ちゃん アメリカで食べたごはんがすごいおいしかったんです(笑)。3人ともポテトが大好きだから一緒に食べに行って、スイートポテトっていうさつまいものフライドポテトとか大好きで。きっとポテトも場所によっていろいろ味が違うんだろうなと思ったら、それを知るために3人でもっといろんなところに行ってみたくなりました。3人だとなんでも楽しいんで(笑)。

ニューシングル「Spring of Life」 / 2012年4月11日発売 / UNIVERSAL J

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CD収録曲
  1. Spring of Life
    「キリンチューハイ 氷結」CMソング
  2. コミュニケーション
    「カンロ ピュレグミ」CMソング
  3. Spring of Life -Original Instrumental-
  4. コミュニケーション -Original Instrumental-

Perfume

Perfume(ぱふゅーむ)

かしゆか(樫野有香) 、のっち(大本彩乃)、あ~ちゃん(西脇綾香)により2000年に広島で結成。2003年に活動拠点を東京に移してからは、プロデューサーにcapsuleの中田ヤスタカを迎え、インディーズレーベルで精力的に活動を開始。2005年にシングル「リニアモーターガール」でメジャーデビューを果たし、近未来的な世界観のサウンドとダンスで耳の肥えた音楽ファンの間でも高い評価を獲得する。2007年に「NHK環境・リサイクルキャンペーン」テレビCMに出演し、CMソング「ポリリズム」が大ヒット。テクノポップブームの火付け役となり、2008年には日本武道館、2010年には東京ドームでのワンマンライブを成功させる。2011年にはピクサー映画「カーズ2」の挿入歌&日本語吹き替え版エンディングテーマに、アメリカのスタッフによる指名で「ポリリズム」が抜擢。2012年にユニバーサルJに移籍してアルバム「JPN」のiTunes Store世界配信を実施し、同年4月に「キリンチューハイ 氷結」のCMソング「Spring of Life」のCDシングルをリリースする。