ナタリー PowerPush - PES from RIP SLYME
鮮烈ソロデビュー! その動機と展望
PES from RIP SLYME インタビュー
うれし恥ずかし&申し訳ない
──まずソロデビューすることになった経緯を教えてください。
ソロやろうかなって思い始めたのは、ベスト盤をリリースして、そのあとアルバム「STAR」を作ってる時期ですね。元々2年くらい前から、時間を見つけて雑多なトラックとか曲をちょこちょこ作ってたんです。で、結構溜まったな、もう少し本気出したら作品作れるなと思って。ちょうどRIP SLYMEもデビュー10年を経て、活動のペースも落ち着いてきたので、この隙に自分のことやろうかなって。当初は、自力でWEBサイトを作って勝手に配信していこうかなって考えてたんですけど、その矢先にドラマ主題歌のお話があってシングルを出すことになりました。そこから急遽、今回のシングルに入る3曲を作り始めたんです。ちなみに「女神のKISS」の原型は今年の1月7日に作りました。
──なるほど。ソロデビューにあたっての心境はいかがですか?
うれし恥ずかしという感じですね。ただ、メジャーのフィールドでやらせてもらうことに関しては申し訳ないなって思います。ドメスティックに家でやろうかなと思ってたので。
──PESさんの作る曲はメジャー向きではないということ?
うーん、30代の小言っていうか愚痴っていうかね、暗えなっていう内容のものもあるんですよ。あと「ああいう大人は嫌だよね?」みたいな曲とか、「僕はこう思うけどみんなどう思います?」みたいなものは多いですね。やっぱりRIP SLYMEの曲よりもパーソナルな内容で、僕の身の回りのことを歌ったものが多いです。だけどせっかくメジャーでやるんだから、みんなに聴いてもらえるような内容のものをいろいろ考えてますよ、今は。だから出発地点とは、僕の考え方も、制作の環境も、曲調も変わった気がします。
──ちなみに、今まで5人で活動していた分、1人は不安ではないですか?
不安だからネコ作ったんですよ。これをかぶってればまだ怖くないかなと思って。35歳で怖がってどうすんだって感じですけど(笑)。
ラップしてないつもりもないし、してるつもりもあんまりない
──「女神のKISS」の大きな特徴は“ラップなしの歌もの”という点だと思いますが、これは意図的に?
いや、結果そうなっただけですね。いつも曲を作るとき、ラップを入れる入れないは考えてないんですよ。ていうか、もう自分も何がラップで何が歌か、わかんなくなっちゃって。ラップの曲でもサビになると歌っぽくなったりするし、この間も新しい曲を作っててちょっとラップっぽいフロウを入れたら、ディレクターに「PESくん、ラップ入れたほうがいいんじゃない?」って言われましたからね。「いや、入ってるんだけどな」って(笑)。だからラップしてないつもりもないし、してるつもりもあんまりないっていうか。
──じゃあソロ曲のストックの中には、ラップものもあると。
ありますね。
──でも第1弾楽曲を聴いて、ラップじゃないっていうことにある種ショックを受ける人もいると思うんです。「PESはラッパーじゃなかったの?」って。
あははは(笑)。僕は音楽やってる上で、楽しみたいなっていう気持ちがすごく強いんですね。RIP SLYMEのときはみんなと合わせたラップだったり、メロディのあるパートだったり、必要な要素を担うのが役割だと思ってて。それはそれで楽しいんですけど、1人でやるんだったらもっとできる音楽を広げていきたいなって思ってるんです。頑なに「ラップはしない!」と決めてるわけじゃないけど、まあギター持ってもいいし、歌ってもいいんじゃないかなって。別にルールがあるわけじゃないから。
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PES from RIP SLYME(ぺす)
RIP SLYMEのMCとして、2001年にシングル「STEPPER'S DELIGHT」でメジャーデビュー。RIP SLYMEは日本のヒップホップグループとしては初の日本武道館単独公演、海外公演、野外5万人ライブなど、数々の記録を作り続けている。PESは「One」「Hot Chocolate」「Tales」「SCAR」といったRIP SLYMEの楽曲のソングライティングを多数手がけ、SMAP、JUJUをはじめとする他のアーティストへの楽曲提供や歌詞提供も行う。また音楽活動以外にも、デザイン関連へのアプローチなど、その活動は多岐にわたる。
2012年3月28日更新