僕はPELICAN FANCLUBの差し色
──「VVAVE」と「to her」はカミヤマさんが手がけた曲なんですね。
エンドウ 「VVAVE」はカミヤマが原曲を持ってきて、あとで歌詞を僕が調整した感じです。すべてがバランスいいなと思える楽曲ですよね。言葉のノリ、メロとのハマり方がサウンドとすごく親和性が高いなって。
──昨年配信リリースしたカミヤマさんとエンドウさんの共作曲「Shadow Play」もそうでしたけど、エンドウさんが1人で作った曲とは譜割りやメロディラインが明らかに違うので、すぐにカミヤマさんの曲だとわかりました。
カミヤマ 僕の曲があることで、エンドウの感じが際立ちますよね。それは通して聴くと感じます。僕はPELICAN FANCLUBの差し色なんだなって。
エンドウ 髪色から伝わってくるわ(笑)。
シミズ 1人ピンクだからなあ(笑)。
──エンドウさんの中にあるものを純度高く出したいという思いがありながら、今回カミヤマさんの曲が2曲入っているのはなぜなんですか?
エンドウ The BeatlesもYellow Magic Orchestraも1人が楽曲制作を担っていたわけじゃないですよね。鳴らしてようやくそのバンドのものになる、そういうのが僕はバンドとしての美徳だと思うんです。楽曲単体で考えると、純度の高さを求めてしまうところがありますが、バンドとしてのあり方はワンマンよりも集団という意識が強いので、メンバーの才能をどんどん出していったほうがいいなと思っていて。歌う人が誰なのかが重要で、僕が歌った時点でその言葉の責任は僕にある。だからカミヤマの曲を歌うのが僕ならば、それはカミヤマがつむいだ言葉であっても僕の言葉でもあるんです。
カミヤマ 今作でエンドウは歌詞の説明をあまり僕らにしてないですけど、俺は出した2曲についてエンドウにめっちゃ説明しています。それは歌う人に説得力をもたせたいから。歌詞のすり合わせの中でエンドウの息吹も入ったし、エンドウが歌うことによって結果的にPELICAN FANCLUBの歌になったと思いました。
探究心があるからバンドを続けられる
──PELICAN FANCLUBはここ1、2年、ライブでもどんどん新曲を披露していましたが、今作を作るにあたって何曲ぐらいのデモの中から選んだんですか?
エンドウ 1000曲くらいはあったかも。
カミヤマ 正直俺らも把握できてないくらいあって。すごいんですよ。
──どういう基準でこの8曲を選んだんですか?
エンドウ 全部自信がある曲ばかりですけど、「Telepath Telepath」を選んだのと同じ理由で、3人が今一番カッコよく鳴らせる曲をみんなで選びました。シミくんも曲を作っているし、今後はシミくんの曲が世に出る可能性もあります。
シミズ そうですね。あとはまあ僕はドラマーなのでドラムのフレーズを常にいろいろ作っていて、それを2人の楽曲に当てはめています。
カミヤマ 「アルミホイルを巻いて」なんかはビートが重要な曲で、大部分をシミくんのアイデアが占めていると思います。
エンドウ 次々と新しいアイデアが生まれるし、現時点で楽曲自体がたくさんあるので、どんどん形にしていきたいですね。音楽を続けるうえで自分の中で目標があって、それは自分の好きなものを追求していくということ。今回もそうだったんですけど、インド式計算の3ケタの掛け算みたいに、自分の好きな音階が瞬時に出せるようになりたいんですよ。どうしてこうなったのかみたいな理由を追求するのも大事だと思うんですけど、そうじゃなくて直感的にわかるようになりたい。例えばファミレスのドリンクバーで、コーラと牛乳を混ぜたらどういう味になるのかって、飲まなくてもだいたいは想像がつくじゃないですか。それはコーラと牛乳のそれぞれの味を知っているからで。その両方の味がわからなかったらどんな味になるのか検討もつかないですよね? そういう未知なものをどんどん見つけて、新しいものを生み出していきたいなって考えているんです。音楽理論とかいろいろあると思うけど、それはもうアレンジャーに任せて、僕個人としては自分の中で気持ちいいと思うものを探求し続けたい。その探究心があるからどんなことがあってもバンドを続けられるんだと思います。
──2人はそれに付いていくというか。
カミヤマ そうですね。エンドウがくれた原石をどう磨いていくかは僕らリズム隊にかかっているところもあるので。それぞれの引き出しをどんどん増やしていきたいです。
エンドウ それがバンドのよさですよね。投げた僕も彼らからのレスポンスを受けて「こういう発想があるのか」という発見もあるから。そういうのってなんと言うか実験的だなって思います。メジャーデビュー後もこのスタンスは変えずに、自分自身とメンバーを信じられるバンドでいたいです。
自分たちが思い描く理想像になりたい
──アルバムタイトル「Boys just want to be culture」は直訳すると「少年たちは文化になりたいだけだ」という意味ですが、今回なぜこのようなタイトルになったんですか?
カミヤマ ずっと僕らが唱えてきた言葉なんです。アルバムの内容というより、今の自分たちの心境をそのままアルバムタイトルにしました。ほかにも案はあったんですけど、満場一致で決まって。
エンドウ 今までは名詞や造語を作品タイトルにしていたんですが、今回はそうじゃなくて意思表示なんです。意思表示というのは自信の表れ。自分たちが理想とする文化ってなんだろうって考えて、中学時代のエンドウ少年にとっての理想の文化は今の僕らなのかもしれないなって。日本の音楽というくくりで考えたらたくさん有名なバンドはいますけれど、自分たちが思い描く理想像になりたい、それを追い続けることで自分たちがバンドを長く続けたいという意志も込めてこのタイトルにしました。
──11月からはゲストを迎えたツアーがありますね。
エンドウ 3人だからこそのグルーヴを体感しに会場に来てほしい。バンドっていいなって思ってほしいんですよね。
──エンドウ少年が憧れた存在になれたから。
エンドウ 9割はなれたから(笑)。残りの1割はまだまだ探求している途中ですけれど。
- 公演情報
PELICAN FANCLUB TOUR 2018 "Boys just want to be culture" -
- 2018年11月9日(金) 福岡県 Queblick
出演者 PELICAN FANCLUB / 2 - 2018年11月11日(日) 香川県 DIME
出演者 PELICAN FANCLUB / Teenager Kick Ass - 2018年11月14日(水) 愛知県 CLUB UPSET
出演者 PELICAN FANCLUB / mol-74 - 2018年11月15日(木) 大阪府 Music Club JANUS
出演者 PELICAN FANCLUB / mol-74 - 2018年11月17日(土) 広島県 HIROSHIMA 4.14
出演者 PELICAN FANCLUB / Teenager Kick Ass - 2018年11月19日(月) 宮城県 enn 2nd
出演者 PELICAN FANCLUB / LILI LIMIT - 2018年11月26日(月) 北海道 COLONY
出演者 PELICAN FANCLUB / 2 - 2018年11月29日(木) 石川県 vanvanV4
出演者 PELICAN FANCLUB / パノラマパナマタウン - 2018年12月5日(水) 東京都 渋谷CLUB QUATTRO
出演者 PELICAN FANCLUB(ONEMAN LIVE)
- 2018年11月9日(金) 福岡県 Queblick