音楽ナタリー Power Push - PELICAN FANCLUB

心がざわめく感覚=謎? UKP新星が鳴らすドリーミーな狂気

違和感があるのがPELICAN FANCLUBにとってはいいバランス

──PELICAN FANCLUBの曲はドリームポップの要素が強くて洋楽的なサウンドだと思うんです。でも歌メロに関してはルーツに日本のロックバンドがあるからか、すごく日本っぽい感じがあって。ドリームポップに寄せるんだったらもっと違うアプローチもあると思うんですけど、このチグハグ感みたいなものって故意に作り出してるものなんですか?

エンドウ そうですね。僕、Cocteau Twinsのボーカルのエリザベス・フレイザーがすごく好きなので、その影響かもしれないです。あの人が歌うメロってすごくウネウネして揺らいでるんですよ。俗にいうドリームポップっぽいこととは少し違うんですよね。だから僕らもそういう感じで、あえて違うものを組み合わせています。

カミヤマ エンドウは昔からそういうメロの付け方なんですよね。だから僕は全然チグハグしてるとは思わなかったです。

シミズヒロフミ(Dr)

──なるほど。そういうメロに日本語の歌詞が乗っているからか、言葉の1つひとつが耳に引っかかるんですよね。「え? 今の何?」みたいなのが多いです。

エンドウ ふふふ(笑)。うれしいですね。

クルマダ 僕、エンドウが英語っぽく歌うニュアンスが強かったときに「日本語なんだしはっきり歌ってくれ」って注文したことがありますよ(笑)。僕らは今のこの感じがすごくバランスがいいと思っています。

エンドウ でも今回の「PELICAN FANCLUB」はエリザベス30%って感じなんですよ。

──というのは?

エンドウ 前回はかなり寄せてたところがあって、彼女のように声を張って歌ってたんですけど、今回はエンジニアさんにアドバイスをもらって、声を張ってばかりではなくて歌声に表情を付けられたかなと思っています。

──「プラモデル」はシャウトも入っていて、特にエモーショナルな歌い方だなと思いました。

エンドウ あの曲は生々しさを出したかったんですよ。歌もそうですけど、ギターもサーストン・ムーア(Sonic Youth)が自分に憑依したという気持ちでずっとハウらせながら弾きました(笑)。

気味が悪いと思ってほしい

──8月からは「PELICAN FANCLUB」を引っさげたツアーが始まりますね。

カミヤマ このツアーでは今まで行ったことがない場所をたくさん回るのですごく楽しみですね。

PELICAN FANCLUB

クルマダ CDを聴いて会場に足を運んでくれる人にはライブの臨場感をもちろん味わってほしいし、音源に負けない、説得力のある演奏をしたいと思っています。僕らも楽しみだけど、お客さんも楽しみにしていてほしいですね。

──現時点で14公演決まってますね。

シミズ 長いツアーは今回が初めてなので、このツアーでバンドの一体感が増していったらいいなと思っています。演奏面だけじゃなくて精神面でも成長できたら。僕らはどうやってエンドウをもっと輝かせるかを考えてがんばりますよ。

エンドウ ツアーでは今作のテーマであるむず痒さみたいなものを体感してもらえたらと思っています。だからこのバンドがいい、悪いというより「少々気になるな」「気味が悪いな」みたいに思ってもらえたらいいですね。

人に憑依したら離れない、心に残るバンドになりたい

──PELICAN FANCLUBは今後どういうバンドになっていきたいですか?

エンドウ 自分自身が音楽をやることになったきっかけのような存在になりたいですね。

カミヤマ うん。僕らが音楽と出会ったときのように、一聴した人に強いインパクトを与えられるようなバンドになりたい。

エンドウ そうだね。あとやっぱり違和感みたいなものは大事にしていきたいです。科学的にも14歳で聴いた音楽って一生忘れられないというか、よく聞こえるっていうのが実証されてるらしいんですけど、14歳に対してだけじゃなくて聴く人みんなのそういうものになりたいですね。

──心のどこかに引っかかり続けるバンドというか。

エンドウ はい。あの頃ずっと心の中でモヤモヤしていたのはPELICAN FANCLUBの音楽だったんだとか、思ってもらいたい。人に憑依したら離れないみたいな、そういうバンドになっていきたいです。

ミニアルバム「PELICAN FANCLUB」 / 2015年8月5日発売 / 1836円 / DAIZAWA RECORDS / UK.PROJECT / UKDZ-0165
「PELICAN FANCLUB」
収録曲
  1. Chilico
  2. プラモデル
  3. Dali
  4. Variety Mania Talent System
  5. Police City
  6. ファ
  7. Karasuzoku
PELICAN FANCLUB 2015TOUR「MANIA」
  • 2015年8月7日(金)京都府 京都MOJO
  • 2015年8月8日(土)兵庫県 Kobe SLOPE
  • 2015年8月21日(金)神奈川県 club Lizard YOKOHAMA
  • 2015年9月1日(火)千葉県 千葉LOOK
  • 2015年9月17日(木)大阪府 LIVE HOUSE Pangea
  • 2015年9月18日(金)愛知県 CLUB ROCK'N'ROLL
  • 2015年9月30日(水)広島県 CAVE-BE
  • 2015年10月1日(木)福岡県 DRUM SON
  • 2015年10月2日(金)岡山県 IMAGE
  • 2015年10月4日(日)香川県 DIME
  • 2015年10月21日(水)福島県 LIVE STAGE PEAK ACTION
  • 2015年10月22日(木)宮城県 HooK SENDAI
  • 2015年10月24日(土)北海道 Sound Lab mole
TOUR FINAL「CINEMA」

2015年11月9日(月)東京都 WWW

PELICAN FANCLUB「PELICAN FANCLUB」発売記念インストアライブ

2015年9月4日(金)東京都 タワーレコード 渋谷店B1F CUTUP STUDIO
<出演者>PELICAN FANCLUB / odol

PELICAN FANCLUB(ペリカンファンクラブ)
PELICAN FANCLUB

2012年に結成された4人組ロックバンド。現在はエンドウアンリ(Vo, G)、カミヤマリョウタツ(B)、クルマダヤスフミ(G)、シミズヒロフミ(Dr)で活動している。2014年10月にタワーレコード限定で100円シングル「Capsule Hotel」をリリースし、耳の早い音楽ファンから大きな話題を集めた。2015年1月に1stミニアルバム「ANALOG」を発表。8月にUK.PROJECT内のレーベルDAIZAWA RECORDSよりアルバム「PELICAN FANCLUB」をリリースし、同作の発売を記念した全国ツアーのファイナル公演を11月に東京・WWWにて行う。