音楽ナタリー Power Push - PELICAN FANCLUB
心がざわめく感覚=謎? UKP新星が鳴らすドリーミーな狂気
The ClashとかBad Brainsのコピバンをやっていました
──クルマダさんはどういう音楽がきっかけでバンドを始めたんですか?
クルマダ 僕は高校生の頃にThe Beatlesからの流れでロックンロールにハマって、そのあとブルースやジャズとかも聴くようになって。で、大学生になってから日本のインディーズバンドにハマったんです。それをきっかけにバンドをやるようになりましたね。
──インディーズバンドというと、例えばどんなバンドですか?
クルマダ pegmapっていうバンドがすごく好きでした。あとOGRE YOU ASSHOLEとかsleepy.ab、caroline rocksとかもよく聴いてましたね。でも当時学校で流行っていたバンドの曲も聴いたりしていました。
──なるほど。シミズさんはどんな音楽を聴いてきたんですか?
シミズ 僕がバンドを始めるきっかけになった音楽はTHE BLUE HEARTSですね。小学生の頃にTHE BLUE HEARTSの曲をドラマで聴いて、すごく好きになって。高校に入って初めて組んだバンドもTHE BLUE HEARTSのコピーバンド。そのあとはSTANCE PUNKSにハマりました。要するに8ビートがメインで革ジャン着てるようなパンクバンドが大好きで。洋楽を聴くようになってからはGreen DayとかSum 41、Blink-182とか。
クルマダ 一緒にThe Clashのコピバンとかもやったよね。
シミズ あとBad Brainsとかもやったね。USインディーもすごく好きでした。
エンドウ Bad Brainsのコピーとかヤバいね。今じゃ全然想像つかないけど(笑)。
アルバムで表現したのはみんなの心の中にある「謎」
──そんな4人が集まって、2014年10月にワンコインシングル「Capsule Hotel」、2015年1月にアルバム「ANALOG」を発表。そして今回8月5日にアルバム「PELICAN FANCLUB」をリリースします。今作のテーマの「謎(はっきりわからない感覚 / 人の中にある痒い部分)」というのは具体的にどういうことなんですか?
エンドウ 言葉にすると難しいんですけど、心のかゆい部分を猫じゃらしでくすぐられたような感覚のことです。なんかこう、胸がザワザワする感じ。実像がなくて得体の知れないものというか。なんというか感覚的にはシュルレアリスム的なことなんですけど。
──なるほど。今回のアルバムを聴いて最初に思ったのは「死ぬ」「枯れる」「生き返らない」みたいな“死”を意味する言葉が多用されているということでした。そういう言葉が入った曲が続いたあとに、最後の「Karasuzoku」の歌詞「死ぬことは生きることの反対じゃない」を見て、私は死生観について歌っているアルバムなのかなと思いました。
エンドウ 死の概念はアルバムを通して伝えたいことに含まれていますね。「死んだ」という事象に対して、“生きている状態”が“死んでいる状態”に変わったという考え方もあると思うんですけど、“生きてることが絶対”であると捉える人にとっては“死んでる状態”は無でしかないんですよ。でも僕は生きる上で絶対に避けては通れないものとして死を捉えているので、寝ている状態と同じように死んでいる状態があると思っていて。精神論にはなるんですけど、100億年人の魂があるとして、そのうちたった80年だけ生きるタイミングがあって、そこを指して「生きている」とするみたいな。
──生きることの延長線上に死があるから「死ぬことは生きることの反対じゃない」ということですか?
エンドウ そう。生と死って白と黒のように、対立するものとして扱われることが多いと思うんですよ。このアルバムを通して言いたいのは、対立していたものが考え方1つでそうでなくなるみたいなこと。それと僕はニュースや映画を観たりだとか、誰かに会ったりとかそういう何かがあった上で思ったことや疑問を歌詞にしているんです。例えば「Dali」はある事件のことをニュースで知ったときに抱いた「表現の自由って何?」っていう疑問から生まれた歌詞で。表現の自由ってよく耳にするけど、実際のところそれには答えがないと思うんですよ。でも「何?」っていう感覚は誰もが心に持ってるものだと思う。そういうみんなが共有できる感覚もこのアルバムで歌いたかったことの1つですね。
自分は音楽を作る人なんだって気付いた
──このアルバムでは概念的なものを歌ってますが、次作で歌う内容はまた変わっていくんでしょうか?
エンドウ これからどんどん変わっていくと思います。この作品で今まで言いたいと思っていたことを言い切ったっていうのもありますけど、このアルバムが完成してからより一層“聴かれる”という意識が強くなってリスナーに寄り添いたいという思いが強くなったんですよ。
──“より一層”ということは前にもそういう意識が芽生えたことがあったんですか?
エンドウ はい。「Capsule Hotel」をリリースしたときですね。すごくいいものができたっていう自信があったのに、いつも行くCDショップでBGMとして流れているのを聴いたらなんか気持ち悪い曲だなって感じたんです。今回は自分がそう思わない作品を作ろうとしたんですけど、「PELICAN FANCLUB」ができあがって聴いたときも、また同じように気持ち悪いなと思ってしまって。でも今回は何度か聴いていくうちに僕はこういう音楽を作るのが得意なんだって、自分自身を理解したんです。その理解があった上で「自分は音楽を作る人なんだ」って思ったんですよね。それで“多くの人の耳に入る音楽を作る人”なのであれば、聴いてもらうことを大事にしないといけないと感じました。
──考えが変わって、これからはどんなことを歌っていくんですか?
エンドウ なんかもっとしょうもないようなことを歌いたいですね。例えば高校生くらいの頃って、箸が転んでもおかしい年頃とか言うじゃないですか。そういう感覚とかを歌にできたらいいですね。
- ミニアルバム「PELICAN FANCLUB」 / 2015年8月5日発売 / 1836円 / DAIZAWA RECORDS / UK.PROJECT / UKDZ-0165
- 「PELICAN FANCLUB」
収録曲
- Chilico
- プラモデル
- Dali
- Variety Mania Talent System
- Police City
- ファ
- Karasuzoku
PELICAN FANCLUB 2015TOUR「MANIA」
- 2015年8月7日(金)京都府 京都MOJO
- 2015年8月8日(土)兵庫県 Kobe SLOPE
- 2015年8月21日(金)神奈川県 club Lizard YOKOHAMA
- 2015年9月1日(火)千葉県 千葉LOOK
- 2015年9月17日(木)大阪府 LIVE HOUSE Pangea
- 2015年9月18日(金)愛知県 CLUB ROCK'N'ROLL
- 2015年9月30日(水)広島県 CAVE-BE
- 2015年10月1日(木)福岡県 DRUM SON
- 2015年10月2日(金)岡山県 IMAGE
- 2015年10月4日(日)香川県 DIME
- 2015年10月21日(水)福島県 LIVE STAGE PEAK ACTION
- 2015年10月22日(木)宮城県 HooK SENDAI
- 2015年10月24日(土)北海道 Sound Lab mole
TOUR FINAL「CINEMA」
2015年11月9日(月)東京都 WWW
PELICAN FANCLUB「PELICAN FANCLUB」発売記念インストアライブ
2015年9月4日(金)東京都 タワーレコード 渋谷店B1F CUTUP STUDIO
<出演者>PELICAN FANCLUB / odol
PELICAN FANCLUB(ペリカンファンクラブ)
2012年に結成された4人組ロックバンド。現在はエンドウアンリ(Vo, G)、カミヤマリョウタツ(B)、クルマダヤスフミ(G)、シミズヒロフミ(Dr)で活動している。2014年10月にタワーレコード限定で100円シングル「Capsule Hotel」をリリースし、耳の早い音楽ファンから大きな話題を集めた。2015年1月に1stミニアルバム「ANALOG」を発表。8月にUK.PROJECT内のレーベルDAIZAWA RECORDSよりアルバム「PELICAN FANCLUB」をリリースし、同作の発売を記念した全国ツアーのファイナル公演を11月に東京・WWWにて行う。