ニコニコ動画がきっかけで偶然バンド結成

──資料によると、バンド結成は今年2009年とのことですが。

CDを出したりっていう活動を始めたのが2009年ってことですね。あんまり結成っていう感じじゃないんですよ。元々、個人で集まったり、一緒にライブをやったりはしてたんで、明確に結成っていうのがないんです。気づいたら組んでた、みたいな。

──そもそもメンバーが集まった経緯も、ちょっと普通とは違っている感じですよね。さんざん話しているとは思うのですが、改めてその流れを教えてもらってもいいですか？

ニコニコ動画っていう媒体があって、そこに演奏する動画を上げるのが流行ってたんです。で、住んでるところもバラバラな3人が、それぞれベース、ギター、ドラムの演奏動画を上げてたんですよ。

──アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」で使われていた「God Knows…」という曲を。

ですね。で、たまたま同じ曲をやってたんで、それを視聴者の方が全部合わせて1本の動画にしたと。そしたら、「アレ？これよく見たら王族じゃない？」って話になって。

──それぞれのハンドルネームがティッシュ姫、王子、海賊王だったから。

役職名っていうんですかね（笑）。それが王族じゃんってことになり、じゃ王族BANDじゃんみたいな感じで、タグっていうのがついたんです。それから定着していった感じで。

──メンバーを集めたのもバンド名を決めたのも、リスナーだったっていうのが面白いところですよね。

そうですね、うん。ネット文化ならではっていう感じですよね。

──当事者としての気持ちはどうだったんですか? 動画をアップしてた段階では、他のメンバーと面識すらなかったわけですよね。

そうですね。初めはネタとしてしか見てなかったんですよ。「あ、うまいこと言ってる」みたいな（笑）。それで笑ってただけなんですけど、そこから実際に会って演奏することになっていったのは不思議ですよね。ただ、お互いの顔は知らないけど、演奏は知っていたので、一緒にやるってなったときにも意外とすんなりはいきました。まあでも、メンバー募集をして集まったとかではないんで、変な感覚ですよ、いまだに（笑）。

匿名で始めたから有名になっても匿名のままがいい

──ティッシュ姫さんの音楽遍歴っていうのはどんな感じなんですか？

中学ぐらいのときに兄のCDを借りて聴いたりしてたのが、LUNA SEAとかX（JAPAN）とか、そういうヴィジュアル系でしたね。そこらへんの世代です。これって歳バレるのかな？（笑）

──楽器に関しては？

王道なんですけど、高校に入って……これ言ってもいいのかな（笑）、音楽同好会みたいなところで、バンドやろうぜみたいな感じになったんですよ。で、みんながボーカルやる、ギターやる、ドラムやるって言って、余ったから「じゃ、ベースやるかな」って。音楽の授業で笛くらいしか吹いたことなかったんで、楽器はそれがほぼ初めてですね。で、デビューは文化祭。卒業してからも外でバンドやったりはしてました。

──もしかしてあんまり自分の素性に関しては話したくないほうですか？

そうですね。匿名性があったほうがいいですね。

──それはネット発のバンドだから？

それもありますし、素顔を隠してるっていうところにも意味があると思ってるので。有名になったから、じゃあ名前出してみたりっていうのはちょっと違うと思うんですよ。匿名で始めたんだったら匿名のままでやっていきたいなっていう。見てる人たちも誰だかわかんないから面白いんじゃないかと思うんです。

──なるほど。それによって、より知りたいっていう気持ちも出てきますしね。

そうですね。そういう場合はライブに来てください、みたいな。

──ライブだと王族BANDのことがよくわかる？

いや、わかんないかも（笑）。特に自分なんかは。やっぱり最初は（PCの）モニター越しに僕らを知るきっかけがあったわけなんで、その関係をうまく保っていったほうが面白いと思うんですよね。あんまり近くなっちゃうと逆に面白くないんじゃないかなっていうのはあります。

──表現する音楽においても、その匿名性は重視してたりするんですか？

そこはあんまり関係ないかな。わりと自由にやらせてもらってるんで。あんまりしがらみもなく。