前野健太と志磨遼平

──そして女性作家2人に抜擢されるだけでなく、おとぎ話はバンドとして前野健太さんや志磨遼平さん（ドレスコーズ）にも求められて一緒に演奏していますよね。これもすごいことだと思うんですが。

そこはやっぱり本当にロックが好きでやってきたからかな。あと自分たちだけが盛り上がるんじゃなく、自分の友達も含めて才能がある人たち全員でドンと盛り上がりたいっていうふうにずっと思ってて。自分たちが成り上がるために組むような対バンもしてこなかった。だからこそ、例えば前野くんとか志磨ちゃんとかも「おとぎ話みたいなバンドはほかにいない」とか「やってて安心する」って言ってくれるんじゃないですかね。

──前野さんや志磨さんも、おとぎ話というバンドの本質を理解して、それを求めてるんでしょうね。

だとしたらめっちゃうれしいです。今は誰とやっても、どこのライブハウスでやっても、ちゃんとおとぎ話の音になるんですよ。それもやっぱり牛尾失踪以降により強くなったところで、4人が4人を認めたからそうなれたんだと思う。4人とも自由なんだけど、4人ともおとぎ話でいようとするんですよね。勝手なことしてる人があんまりいない。そのせいかわかんないけど、志磨ちゃんや前野くんのバックバンドでツアーをやったりしてるとき、彼らも俺ら4人とずっと一緒にいるんです。いつも5人で行動してる。

──仲のよさが伝播してるんですかね。

こないだのドレスコーズのツアーのときもホテルで部屋飲みしてたんです。前越の部屋に集まって、The Offspringとか聴きながらみんなでポゴダンス踊って「わー！」とかやって。そしたら志磨ちゃんが「今までバンドやっててメンバーと部屋飲みしたことなかった」「すごく楽しい」って感動してて（笑）。いつものおとぎ話のノリだし、俺らにとってはそれが普通なんですけど、でも実際そうやって飲むことによっていいグルーヴが生まれて、翌日のライブがグッとよくなったりするんですよね。