ナタリー PowerPush - ORIONBEATS
1stアルバムは2枚組100分超え!大作「AWESOME BEATS」を哲史が語る
廣山哲史のソロプロジェクト・ORIONBEATSの1stアルバム「AWESOME BEATS」が届けられた。RYUKYUDISKO、TOQUIO LEQUIO TEQUNOSといったグループでの活動や、個人名義でのDJ活動も活発な彼が新しいプロジェクトを始動させたのはなぜか。そして2枚で100分を超える作品に仕上がった理由とは。
拠点を地元・沖縄に置き、自由に伸び伸びと音楽活動を展開する哲史に、ナタリーとしては久々のインタビューを実施。今作について、またレーベルプロデューサーを務めるRAKUEN RECORDSについて、そして自身が立ち上げたレギュラーパーティ「RAKUEN」について語ってもらった。
取材・文 / 野口理香
お化けの出るスタジオ
このアルバムを作ってるとき、お化けをよく見たんですよ。
──え?
アルバムを作るために10日間ぐらいスタジオ借りて、ずっとそこにこもりっきりだったんですけど、ほかのスタッフはみんな夜8時ぐらいになると帰っちゃうんですよ。そうなると、変な雰囲気に……静かだし。スタジオのMac用のモニターに、なんか映るんですよ。チラッと。自分ひとりで夜中に作業してたら。後ろで歩いてるような気配もしょっちゅうして、後ろを振り向くのも怖いし。
──スタジオには哲史さんしかいないんですよね?
うん、誰もいない。音も聞こえたりするから、ちょっと怖くなって。モニターに上着かけて画面を隠したりして(笑)。トイレに行っても怖くて鏡も見れないし。でも、2~3日したら慣れてきてしまって。多分、向こうも怖がらないからもういいやと思ったんじゃないですかね。そこからあんまり被害は受けなくなったんですけど。
──実害がなくてよかったですね(笑)。オープンリールでのレコーディングだと変な音が入ってたなんて話がありますけど、デジタルだからそんなこともないでしょうし。
でも、そういう音が入ってないかは一応確認しましたけどね(笑)。
名義は自分の中で住み分けてる
──哲史さんは昨年6月にソロ名義でミックスCD「Souvenir from RAKUEN mixed by Tetsushi Hiroyama」をリリースされて。そのタイミングでレーベルプロデューサーという形でRAKUEN RECORDSを立ち上げましたよね。
そうですね。
──そしてこのタイミングで、廣山哲史名義ではなくORIONBEATSという名前でソロ活動を新たに始めようと思ったのは、特別な理由があったんでしょうか?
なんですかね。RYUKYUDISKOにしても、TOQUIO LEQUIO TEQUNOSにしても、ORIONBEATSにしても、それぞれ違うことをする名義っていう気持ちがあるんですよ。廣山哲史はDJをするときの名義なんですよね。一応自分の中で住み分けがあるんです。
──なるほど。で、ORIONBEATSという名前は、沖縄の言葉で「黄金三星(くがにみちぶし)」、つまりオリオン座から名付けたそうで。
黄金三星って、オリオン座の真ん中にある3つの星のことなんです。ひいては沖縄ではオリオン座自体のことを黄金三星って呼ぶんですよ。で、オリオン座って、なぜか沖縄とつながりが深いんですよね。「オリオンビール」しかり。
──確かに、ORIONBEATSという名前を聞いて最初に思い浮かんだのは、3つ星マークで有名なオリオンビールでした。
以前、Coccoさんとオリオンビールの曲(2011年3月にリリースされた「BEGIN 20th ANNIVERSARY SPECIAL TRIBUTE ALBUM」収録の「オジー自慢のオリオンビール」)を作ったときから、自然とこの単語がずっと気になってて。その曲をDJで使ったら面白かったし、ここからどうにか展開したいなあという気持ちがあったんです。
「AWESOME BEATS」=やばいビート
──そしてアルバムタイトルが「AWESOME BEATS」。「awesome」って恐ろしいとか怖いといった意味ですよね。
いや、「やばい」とかそういう感じですね。やばいビート。よく外人が使うんですよ。何があっても「Awesome!」って言う。
──ああ、「やばいビート」って言われるとすごく納得できます。今作は哲史さんがこれまでずっと目指してきた、沖縄にルーツを持つサウンドが詰まったアルバムになってますが、最初からこういうものにしようという意図があったんですか?
そうですね。もう逆に言うと、これ以外のことはあんまりやろうと思ってないかもしれないです、僕。自分が作る楽曲としては、沖縄とクラブミュージックを混ぜたの以外は別にやらなくていいかなって思ってるくらい。それだけ沖縄のことが好きで。
──沖縄・桜坂セントラルでやってるレギュラーパーティ「RAKUEN」も、地元のアーティストのフックアップという意図があります?
うん。どこまで沖縄とクラブミュージックの融合を展開していけるかっていうのがテーマだったりします。
──「RAKUEN」を始めて2年経ち、地元にもだいぶ浸透したかと思います。手応えはいかがですか?
紆余曲折ありつつ、4月にやった2周年パーティも無事盛り上がって。まだ2年だけど、続けてきて良かったなって思いましたね。今後も何か面白いことを仕掛けていきたいなと考えてます。
1stアルバム「AWESOME BEATS」[CD2枚組] / 2012年6月12日発売 / 2625円(税込) / RAKUEN RECORDS / RKEN-002
DISC 1:AWESOME BEATS
- Let's ORIONBEATS feat. YAMATO
- TANDIGA DANCE feat. SHINJI
- iSanshin 3GS feat. Fencer
- Save The Sea, Save The Sky feat. TAKASHI
- Kabira Bay feat. C-R
- ORION BEACH
- Humoresque 8
- Medetai Medetai from. RINKEN BAND
- ORION MATSURI
- Eisa from. DIAMANTES
- Tweet Me, Tweet You feat. AWICH
- Anmar from. KARIYUSHI58
- Pop 'n Talk feat. lichard.
- ROCK IN CHATAN FES feat. NEON
- GarageDJ
- The Orion Nebula
DISC 2:Souvenir from ORIONBEATS (Bonus Nonstop Mix CD)
- Let's ORIONBEATS Remix
- ORION Boy
- ORION MATSURI Remix
- Hangover
- Pop 'n Talk Remix
- Fresh Plaza Un10n
- Fifty Eight Drive Music
- Toshin Electric Boy Remix
- Tequno Eisa
- I Just Wanted To Be A Drummer
- Tweet Me, Tweet You Remix
- ORION BEACH Remix
- Hungry Birds
- The Orion Nebula Remix
- RAKUEN Break
- Space Opera
- UCHUNCHU
- iiTenki
- DidgeridooooOOOOOO
- One Day
- Tablama Remix
- Mukashi no Tekuno
- Ketchup on The Fish & Chips
- DAN DAN DAN
- TANDIGA DANCE Remix
- From The Three Stars in Orion's Belt, Via Okinawa to You. At the Crack of Dawn, Play ORIONBEATS and Enjoy it.
ORIONBEATS(おりおんびーつ)
廣山哲史のソロプロジェクト。2011年6月にリリースした廣山哲史名義のミックスCD「Souvenir from RAKUEN」に、初めてORIONBEATSとしての曲が収録される。同年9月に沖縄・名護で開催された野外フェスティバルで初のライブステージを踏む。その後、ロックカバーアルバム「Rock You!」や普久原恒勇の作曲家生活50周年記念トリビュート盤「普久原メロディー」などに参加。並行して精力的なライブ活動を展開する。2012年6月、1stアルバム「AWESOME BEATS」を沖縄発クラブミュージックレーベル・RAKUEN RECORDSよりリリース。