ナタリー PowerPush - オレスカバンド
ついに見つけた自分たちのスカ!総天然色アルバム「COLOR」完成
オレスカバンドが、約3年ぶり2枚目となるフルアルバム「COLOR」をリリースする。これまで米国「WARPED TOUR」への参加など、精力的な活動を重ね多くの話題を生んできた彼女たち。アルバムは、その中で大きく成長してきたオレスカバンドの“今”を示すような充実作だ。
tatsu(LÄ-PPISCH)、堂島孝平という2人のプロデューサーを迎え、キラキラしたポップチューンの歌モノ「自転車」「街を出るよ」を筆頭に数々の新たなチャレンジが結実。白と黒のツートーンで揃えてきたビジュアルもカラフルに更新。ガールズスカロックバンドとして新たな境地を感じさせる1枚になっている。
ハヤミ(Trombone)、tae(Dr)へのインタビューで、新作の背景にどんな転機があったのかを、じっくりと訊いた。
取材・文/柴那典
「これがオレスカバンドです」って言える曲が欲しかった
──アルバムを聴いて、バンドのアイデンティティの根が張った感じがしたんですよ。表現の幅も広がったし、勢いだけじゃないタフさも出てきた。そういう印象があったんですけれども。きっといろいろな経験がリンクしてこの新作に至ったんだろう、と。
ハヤミ そうですね。これは「うちらって何なんやろう?」「どういうバンドなんだろう?」「うちってどういう人間なんだろう?」っていうところにフォーカスを当てて、向きあってできたアルバムなんです。
──「そもそもオレスカバンドはどういうバンドなんだろう?」というところに立たないと曲が生まれなかったということ?
tae そうなんですよ。そこに立ったからこそ今回の「COLOR」はいろいろ悩んだし。イチからというつもりでやってたんで。とにかく自分たちが自信を持って「これがオレスカバンドです」って言える曲が欲しいと思って作り始めてたんです。オレスカバンドはアメリカに行ったりいろいろやってるわりに、そういう曲を作品に残せてるんかな?という思いがずっとあったので。
──高校時代にデビューして、アメリカでも盛り上がって、傍目から見たら順風満帆な活動に見えるんですよね。でも、勢いがある分根っ子が欲しくなったみたいな感覚があったのかな。
ハヤミ そう。逆にうちらのイメージが、世の中にとってそれだけで終わってしまったという感じだったんですね。それが悲しかったし。もう20歳やのに「高校卒業したの?」みたいな話をされたりして「いやいやいやいや!」ってなったり。でもそれは、うちらが浸透させてきた音楽がその年齢で止まってるからやし。だからこそ、音楽でうちらの今の姿をちゃんと伝えなあかんって思ったんです。で、中身を言うためには表現方法がいるから。tatsuさんとやったことはすごく大きかったです。
レコーディングする前に、死ぬほど曲を練習した
──tatsuさんとの作業はどういう感じでした?
ハヤミ 今までのプロデューサーさんって、歌とか歌詞とかコードのことを言う感じだったんですけど、tatsuさんはLÄ-PPISCHという唯一無比のバンドの方なので、うちらのホーンのこともすごくわかってくれて。アレンジも助けてくれましたね。バンドとしての基盤というか、サウンド面でのカッコ良さが出せたと思う。このサウンドさえあればうちらはカッコいいって自信持って言える!っていうところまでうちらを持っていってくれましたね。
──ちなみに、最初にやった曲は?
tae 「ジェットウェーブ」という曲です。
ハヤミ あと「ファンキー太陽」とか「ダンスナンバー802」とか。
tae バンドの演奏面でもtatsuさんはいろいろ言ってくれましたね。ノリを出すために、うちらを何回も練習させてくれるんですけど。その意味が当初は全然わからなくて。
ハヤミ レコーディングする前に、死ぬほど曲を練習したんですよ。
tae 「今あかんかったかな?」ってくらいやらされた。「ダンスナンバー」とかも、そういうジャンルの曲は「2、4なんだよ」って言われたり。でもその曲を録ってライブでやっていくうちに、tatsuさんが言ってたことがわかってきた。
ハヤミ 「2、4」って、「1、2、3、4」の「2、4」なんですけど。でも「2、4」って考えてやるんじゃなくて、それを感じて録ったときのグルーヴ感を覚えていく。それが今になってわかるという感じでしたね。
──あれだ、映画の「ベスト・キッド」と同じ話ですね。
tae なんでしたっけ? ジャッキー・チェンの?
──そうそう。ワイパーで窓を拭くのが自然と空手の訓練になってる、っていう。
ハヤミ そうかも。身体で覚えるみたいな。
──グルーヴって、言葉で説明できるものじゃないですもんね。
tae そうなんですよ。それをtatsuさんは教えてくれたなって思うんですよ。
CD収録曲
- my beat
- 遊ぼうよ
- 自転車
- Someday
- 街を出るよ
- アイマイユーミーマイン
- moRICOism
- ジェットウェーブ
- ダンスナンバー802
- ORESKA MUSIC
- 真夜中の欲張り屋
- ファンキー太陽
- FLYING V.
- 始まりが続く世界
オレスカバンド
女性6人組スカロックバンド。メンバーはいかす(G,Vo)、とみ(B,Vo)、tae(Dr)、サキ(Trumpet)、もりこ(Tenor Sax)、ハヤミ(Trombone)。2003年に、大阪・堺市内の中学校に通う同級生が集まりバンド結成。高校受験終了後から本格的なライブ活動を開始し、高校在学中の2006年にミニアルバム「俺」でメジャーデビュー。2007年春には米テキサス州で行われた「SXSW」で初の海外ライブを実施。同年5月に初のフルアルバム「WAO!!」を発表し、8月にはアルバム「ORESKABAND」を全米でリリース。2008年夏にはパンクロックフェス「WARPED TOUR 2008」に参加し、日本人としては初めて全米46都市全公演にフル出演。2010年11月2ndフルアルバム「COLOR」をリリース。
メンバー発信型「COLOR」特設ページ
全国18都市ツアー「ORESKABAND Live Tour『COLOR collection 2011』」決定