音楽ナタリー Power Push - 俺の藤井 2016 in さいたまスーパーアリーナ ~Tynamite!!~

スタッフ陣が明かす、真剣勝負の裏側

ももクロの敗退がドラマを生んだ

──戦いを振り返っていくと、まずばっしょーととき宣が出てきて、ばっしょーが勝った。とき宣は結果的にこの1回しか歌えませんでしたが、バックステージの映像を観ると「そこまで泣く?」ってくらい大泣きしてて。

ときめき♡宣伝部

荒神 あれでとき宣ファンは増えますよ(笑)。うちの子たちは「3曲歌えた!」って、ケロっとして帰ってきた(笑)。

──ケロッとして帰ってきて、わんわん泣いてるとき宣の横を通っていくという。

佐々木 あれ、いい画だよね。

──グループごとのカラーがすごく見えます。で、そのあとは3B juniorが2連勝するという。

佐藤 あれはラッキーでしたね。

たこやきレインボー

──それからはたこ虹、しゃち、エビ中がキャリア順に勝っていくという、まあ普通ならこう進んでいくだろう、という順序で戦いが進んでいって。最後に出てきたももクロがエビ中に勝って、ここからはももクロが連勝で強さを見せつけていくわけですが、そのあとのしゃちほこですよね。

一同 うんうん。

──彼女たちは歌詞にやたらと煽りを入れる戦い方をしていて。たこ虹とのバトルで「たこやきなんか食ってやる」と替え歌をしたり。

佐藤 ものすごく好戦的なスタイルですよね。

──そして、ももクロに対しては「恋人はスナイパー」っていう、ももクロへの当てこすりみたいな歌詞の歌を初めて本人たちに直にぶつけました。メンバーはももクロのことが好きだから、以前は「こんな歌詞歌いたくない」って言ってたんですよね。でも実際にももクロと対決する場面でそれを歌って、かつ勝ってしまうという。あそこでグッと面白い流れができましたね。

佐々木 全体の流れで言うと、ももクロには申し訳ないけど「ももクロが負けた」ってことがドラマを生みましたよね。

──ももクロが無敗で王者として終わっていたら、興行としては面白いものになっていなかったかもしれないですね。しゃちが引っ掻き回してそこにエビ中がぶつかって、最終的にももクロが勝ったけど、もしエビ中やしゃちが勝っていたとしてもドラマのあるエンディングになっていたのではないかと。

佐藤 そうですね。どんな終わり方もありえたから。

ももいろクローバーZ

佐々木 プロレスで言うところの前座から始まって、中堅、メインイベンターに行くっていう流れを見てみたら、ももクロ、エビ中、しゃち、たこ虹っていうメインイベンタークラスはやっぱり実力が格段に違うなっていうのがわかりましたよね。スタダの上4つのグループの強さみたいなものが、改めて浮き彫りになる感じはしました。あの4グループのガッチガチの戦いはすごいですよ。僕はももクロが1曲目に「行くぜっ!怪盗少女」を持ってきた、そのえげつない感じで「ももクロまでそれほど本気なんだ」というのが見えました。

佐藤 「怪盗少女」にしといて本当によかったです(笑)。そこまでの雰囲気を見ていて、勝ったチームに勢いで持ってかれる可能性もあると思ったから。

藤井 こんな形のライブはアイドルイベントにはないと思うので、「本気でやろうね」と言ってはいたけど、それ以上のものになりましたね。

佐々木 あと、それぞれセットリストを直前で変えるというのは、グループの子たちにとってのスキルアップにつながりますよね。用意された流れじゃないものでやるっていうのは、なかなかほかのところではできない。

荒神 だから、いろんな意味で“ライブ”なんですよね。

佐々木 そうですね。

腹くくって向かえたんで、よかったですね。悔しかったけど

──では、皆さんそれぞれ「ここは面白かったな」というシーンはありますか?

藤井 僕はしゃちのステージですね。煽りの部分。エビ中はそういうのあまりやってこなかったんだけど、ああいうのを見るとやっぱり必要なんだなって。正直、完敗だなっていう思いがあるんですよ。それでもエビ中はこの日、ベストのパフォーマンスを出せたと思ってるんです。しゃちと戦ったときの「スーパーヒーロー」は、映像を押さえておいてもらってよかったなって思ってるくらいの出来だったんで。でも完敗でした。

荒神 ここでエビ中が“アゲ曲”を持ってこないっていうのもいいよね。

藤井 メンバーと話し合って「『スーパーヒーロー』がいいだろう」って決めたんです。「これで負けたらしょうがねえだろう」って。そうやって腹くくって向かえたんで、よかったですね。悔しかったけど。

佐藤 エビ中が自分たちのスタイルを貫き通してる感じはよかったですよ。カッコよかった。

佐々木 エビ中、よかったですよね。

佐藤 エモーショナルでしたよね。

藤井 で、ライブのあとに廣田と話したら、彼女が歌った(柏木)ひなたのパートのこと「ひなたがすごく大事にしているパートだから、自分がどうやって歌ったらいいのかずっと考えてた」って。だから心を込めて歌ったと。いやあ、すげえな廣田って思いましたよ。

──で、負けてしまったあとはエビ中もやっぱり悔しくて泣いてますもんね。いくら好戦的ではないグループとは言え。

藤井 こういう経験も大事だなと思いました。自分たち以外の人と戦うってこともね。だって、言ったら芸能界ってそういうもんですから。本人たちにとっても、いい勉強になったと思う。

──荒神さんはどうですか。

荒神悟志氏(ばってん少女隊マネージャー)

荒神 煽りに関して面白かったのは、ももクロやしゃちは「お前ら」って言いますよね。うちは「お前ら」って言わない煽りをしていこうかと……。

一同 あはははは!(笑)

荒神 九州の子たちはおっとりしてるので、「お前ら」じゃない煽りでいこうかなと思って。

──ばっしょーの面白いところは、決めゼリフなど随所にプロレス要素が入ってるのに、本人たちはまったく攻撃的じゃなく、至っておっとりしているところですよね。

荒神 僕はプロレスの煽りの部分ではなく、お客さんを楽しませるエンタメ性を取り入れたいなと思ってやっているんですよ。でもああいうライブでは煽りも大事だと思いました。あとは、3曲しかない持ち曲の中で「アツか夏きたばい!」というアゲ曲でももクロに正面からぶつかって、正面からはじき返されたのはいい経験になったなって思ってます。

──佐藤さんはいかがでしょう。

佐藤 ぁぃぁぃ(廣田)の歌はやはり印象に残っているし、3Bが合計4曲披露できたのは運がよかったなと思います。これまでのスターダストのやり方って、いろんなことをしっかりとトレーニングする前にグループを立ち上げて実践で鍛えていくというものだったけど、3Bは虎の穴に入ってもらって、1年間徹底的に鍛えたんですよ。だから、すごくトレーニングされた部分と、お客さんを前にした実践面での弱い部分が、あのステージで明るみになったところもあって。そんな中で勝つことができて、スターダストのアイドルを広く追っている方たちに「こういう子たちもいるんだ」と知ってもらえたいい機会になったなと思いますね。で、本人たちにとって一番よかったのは、この経験が自信になったこと。このライブ以降、彼女たちのタレントとしての顔つきが変わったような気がするんですよ。自分たちは“1/26”じゃなくて、1人ひとりのタレントなんだっていう意識がちょっと付いたような気がしますね。

──佐々木さんは映像化に際しても編集で携わられたと思うんですが、改めて映像を観ていて気になったことはありますか?

佐々木 勝負っていう要素が加わると、ここまで顔つきが変わるものか、というところですね。本人たちはいつも通りやっているのかもしれないけど、見せ方により磨きがかかったように映るなあと。バックヤードでの表情とのギャップもあるんですよね。みんな本番前にはこれまでにないくらいの緊張感に包まれていて、そこからスイッチをオンにして、ステージに突っ込んでいく。そのスイッチの入った瞬間というのが画に出ているなと思いました。あとは、ステージに立つ側の気持ちがわかるシーンがけっこうあって。例えばももクロが勝ったときに、裏でパフォーマンスを観てた子たちが「すごい」って言う場面があるんです。その子たちは何に対して「すごい」と言っているのかというと、「汗ひとつかいてない」って続くんですよね。こちらとしては「あ、そういう見方をしているんだ」って。彼女たちの心理が如実に出ているなあと思いましたね。

ライブBlu-ray「俺の藤井 2016 in さいたまスーパーアリーナ~Tynamite!!~」 / 2016年5月25日発売 / SDR
BOXセット [Blu-ray BOX] / 10800円 / ZXRB-3014~7
第1回 ワンデイワールドリーグ戦 [Blu-ray 2枚組] / 6480円 / ZXRB-3010~1
やっぱりライブ!スタフェス~2016~ [Blu-ray 2枚組] / 6480円 / ZXRB-3012~3

DAY1 第1回 ワンデイワールドリーグ戦

  • 1R ばってん少女隊「ばってん少女。」VS.ときめき♡宣伝部「季節外れのときめき♡サマー」
  • 2R ばってん少女隊「夢のキャンバス」VS.3B junior「勇気のシルエット」
  • 3R 3B junior「Stardust Fantasia」VS.S★SPICY「SGC★スパイシー」
  • 4R 3B junior「Fragile Stars」VS.たこやきレインボー「なにわのはにわ」
  • 5R たこやきレインボー「絶唱!なにわで生まれた少女たち」VS.チームしゃちほこ「乙女受験戦争」
  • 6R チームしゃちほこ「トリプルセブン」VS.私立恵比寿中学「放課後ゲタ箱ロッケンロールMX」
  • 7R 私立恵比寿中学「仮契約のシンデレラ」VS.ももいろクローバーZ「行くぜっ!怪盗少女」
  • 8R ももいろクローバーZ「労働讃歌」VS.ばってん少女隊「アツか夏きたばい!」
  • 9R ももいろクローバーZ「DNA狂詩曲」VS. 3B junior「ひとつよろしくどうぞ」
  • 10R ももいろクローバーZ「灰とダイヤモンド」VS.たこやきレインボー「オーバー・ザ・たこやきレインボー」
  • 11R ももいろクローバーZ「MOON PRIDE」VS.チームしゃちほこ「恋人はスナイパー」
  • 12R チームしゃちほこ「そこそこプレミアム」VS.私立恵比寿中学「スーパーヒーロー」
  • 13R チームしゃちほこ「抱きしめてアンセム」VS.ももいろクローバーZ「ツヨクツヨク」
WINING SONG
  • ももいろクローバーZ「Chai Maxx」
特典映像
  • ワンデイワールド戦壮絶舞台ウラドキュメント

DAY2 やっぱりライブ!スタフェス~2016~

LAGOON
  • My little treasure / One More Love / 二人がほしかったもの / Rhapsody In White
ときめき♡宣伝部
  • 土っキュン♡!!少女 / ぴょんぴょん / そんな毎日
S★スパイシー
  • 私を二郎に連れてって / STRIKE!! / およげ!しらすちゃん~生しらす丼Ver~ / がけっぷち音頭
Le Lien
  • 抱きしめてアンセム / 斬鉄剣 / ツヨクツヨク(with ももいろクローバーZ & mihimaru GT miyake)
ばってん少女隊
  • ダイビング / 夢のキャンバス / ばってん少女。
3B junior
  • ひとつよろしくどうぞ / Stardust Fantasia / Fragile Stars / 勇気のシルエット
たこやきレインボー
  • オーバー・ザ・たこやきレインボー / なにわのはにわ / 絶唱!なにわで生まれた少女たち / めっちゃPUNK / 六甲たこおろし
私立恵比寿中学
  • こりゃめでてぇな / ハイタテキ! / 売れたいエモーション! / 金八DANCE MUSIC / ザ・ティッシュ~とまらない青春~ / 未確認中学生X / 頑張ってる途中
チームしゃちほこ
  • エンジョイ人生 / いいくらし / カントリーガール / J.A.N.A.I.C.A. / ザ・スターダストボウリング / アイドンケア / 乙女受験戦争 / colors
ももいろクローバーZ
  • 夢の浮世に咲いてみな / Believe / Z女戦争 / 泣いちゃいそう冬 / 今宵、ライブの下で / サラバ、愛しき悲しみたちよ / CONTRADICTION / 黒い週末 / 労働讃歌 / 走れ!-Z ver.-
ENDING
  • 七色のスターダスト
特典映像

全9グループによるヤングライオンステージダイジェスト

  • No.1 ばってん少女隊
  • No.2 N-Twinkle TRIBE(名古屋営業所)
  • No.3 桜エビ~ず
  • No.4 ちゃうちゃうわっちゃーズ(大阪営業所)
  • No.5 ちゅらりんA(沖縄営業所)
  • No.6 ときめき♡宣伝部
  • No.7 S★スパイシー
  • No.8 二代目いぎなり東北産(仙台営業所)
  • No.9 3B junior