ナタリー PowerPush - ORANGE RANGE

ハジけたバンドサウンド全開「spark」

「マイペース」は“あるある系”ネタ

──なるほど。では、いくつか曲のことについて聞かせてください。1曲目の「Show Time」はライブのオープニングを想起させるようなアッパーチューン。去年のORANGE RANGEはライブ中心の活動だったわけですが、この曲ができたのはその影響もありますか?

NAOTO(G)

NAOTO どうだろう? ツアーが始まる前から、今回のアルバムのアイデアはあったんですよね、実は。その方向性がありつつ、さらにライブが追い打ちをかけたっていう感じかな。

RYO 「Show Time」も初めから1曲目にしようと思ってたわけではないんですよ。作っていくうちにそういう感じの内容になったから、「じゃあ、1曲目だね」って。確かにライブの頭でやるのもよさそうですよね。

──2曲目の「マイペース」はタイトル通り、ORANGE RANGEの自由度の高さが感じられるナンバー。特に「何にも計画立ててない マイペースな日曜日」というフレーズのユルさがなんとも気持ちよくて。

NAOTO それはこちらの方が(とYAMATOを見る)。

YAMATO えーと、「マイペース」の歌詞は……あれは確か、去年のキャンプのイベント(「New Acoustic Camp 2012」)のときだと思うんですけど、BRAHMANのドラムの方が弾き語りで「ロンちゃん」という曲を歌ってて、それがとても面白かったんですよ。で、NAOTOがこの曲を持ってきたときに、そのことを思い出して、「ノンちゃん」っていうテーマで歌詞を書いてみようと思って。そのうちに男女の歌と言いますか、記念日を大事にする女性と、そういうことに疎い男の話になっていったっていう。よくあるじゃないですか。1カ月くらい前に「来月、彼女の誕生日だな」って思っていても、気が付いたら当日になってるとか。まあ、“あるある系”のネタですよね。

──……今の説明自体がめちゃくちゃマイペースですね。

NAOTORYOHIROKIYOH ハハハハハ(笑)。

この曲で一世を風靡しよう!

──「サディスティックサマー[spark mix]」「Special Summer Sale」など、夏らしいポップチューンも収録されていて。

NAOTO そうですね。アルバムを作り始めたとき、夏っていう設定があったんですよ。せっかく夏にリリースするんだし、そういうイメージの曲もあったほうがいいなって。

左からYOH(B)、HIROKI(Vo)。

HIROKI 開放感がある曲にしたかったんですよね。いろいろと詰め込むというより、シンプルに突き詰めるというか。

──ORANGE RANGE=夏のアップチューンというイメージもありますからね。

NAOTO そうですね。

YAMATO よし、この曲で一世を風靡しよう!

NAOTO (笑)。でも、そういうイメージは今もあると思いますよ。ライブではそれを求められることもあるし、こっちも全然応えるし。まあ、このアルバムのテンションはもうちょっとボソボソした感じですけど。

RYO 作ってるときが冬だったからね。

──「リフラフ」からも現在のORANGE RANGEのバンド感が伝わってきました。

NAOTO タイトル通り、ギターのリフが軸になってるんですけど、今回のアルバムのテーマである“ラフ”っていう感じも入ってますね。テンポ感もそこまで速くないし、ロックというよりはファンクな感じだったり……。

──大人っぽい余裕も感じられますよね。

NAOTO そうですね、もう30歳になったので。三十路でデビューですよ。

──30代になると、いい意味で周りの目が気にならなくなりません?

NAOTO あ、でも、もともとあんまり気にしないほうかもしれないです。他人のことはけっこう見てるんだけど(笑)、人からどう見らえてるかはそこまで意識してないというか。そうじゃないと、こういう感じにならないですよね。

──徹底的に自由ですからね、ORANGE RANGEは。前回の「NEO POP STANDARD」はほぼ100%打ち込みで、今回は完全にバンドサウンドっていう。「Suck it!」のミクスチャー感覚も、このバンドの武器ですよね。これ、得意技じゃないですか?

YOH うーん、自分としてはどの曲にも平等でいようと思ってるんですよね。だから「これは得意」っていう感覚もあんまりなくて。でも、「Suck it!」はライブでやるのが楽しみですね。

「ソフトテニス」はギャリック砲

──そして後半では「ふぁっきん▽ラブソング(※▽はハート表記)」「もしも」というラブソングも。

HIROKI 「ふぁっきん▽ラブソング」は、「もしも」とのバランスを考えて作ったんですよね。先行シングルの「もしも」が円満というか、ハッピーな感じの曲だから、アルバムの曲は違う方向にしようと思って。もっとリアルというか「ずっと続く愛なんてない」みたいな感じがいいかなって。幸せな曲はほかにいっぱいありますからね(笑)。

──その後の「ソフトテニス」もすごい曲ですね。シュールと言うか……。

YAMATO(Vo)

HIROKI シュールですよね(笑)。この歌詞もあっちの人(YAMATO)です。

YAMATO この曲に関しては、特にテーマとかないんですけどね(笑)。中学のとき「パンツが見えないかな」と思って、テニスコートをフェンス越しに見てたっていう…。

──……なんの話ですか、それは。

YAMATO あれ、引いちゃいました?(笑) いや、僕ね、中学のときバスケットボール部だったんですよ。ランニングしてるときにテニスコートの周りを通るんだけど、そこで休憩しつつ、ソフトテニス部の女の子たちを見てたっていう。歌詞の中ではボールがぶつかって気絶するんですけど。

NAOTO 自由ですよね(笑)。

──「マイペース」とは方向が違いますけどね。

YAMATO まあ、どの曲でも同じキャラでいようとは思ってますけどね。ギャリック砲を打つときもあるし、ビッグ・バン・アタックやファイナルフラッシュもあるんだけど、やっぱりベジータだなっていう。「ソフトテニス」はギャリック砲なのかな……?

HIROKI (笑)。今の話、朝4時くらいに聞けば、なんとなくわかると思いますよ。

ニューアルバム「spark」 / 2013年7月24日発売 / SUPER ECHO LABEL
初回限定盤 [CD+DVD] 3990円 / VIZL-561
通常盤 [CD] 3045円 / VICL-64046
CD収録曲
  1. Show Time
  2. マイペース
  3. サディスティックサマー [spark mix]
  4. Special Summer Sale
  5. リフラフ
  6. トーキョーガールズコネクション
  7. Suck it!
  8. ふぁっきん▽ラブソング(※▽はハート表記)
  9. もしも
  10. ソフトテニス
  11. オボロナアゲハ
  12. そばにいつでも
初回限定盤DVD収録内容
  1. オボロナアゲハ Music Video
  2. もしも Music Video
-LIVE TOUR 012 NEO POP STANDARD at 渋谷公会堂 July 4th, 2012-
  1. Restart
  2. Subway
  3. Hello Sunshine Hello Future
  4. Deep Blue Sea Flower
  5. Lion
  6. Baby Baby
  7. Warning
  8. Dry Hard
  9. Backpack
  10. Soul to Soul
  11. Magical Mystery Hunter
  12. サディスティックサマー
-RWD← SCREAM 013 at ZEPP TOKYO Feb. 23rd, 2013-
  1. オボロナアゲハ
配信限定ライブアルバム「LIVE TOUR 012 NEO POP STANDARD」 / 2013年7月24日発売 / 1500円 SUPER ECHO LABEL
配信限定ライブアルバム「LIVE TOUR 012 NEO POP STANDARD」
ORANGE RANGE(おれんじれんじ)

沖縄出身・在住の5人組バンド。中学の卒業パーティをきっかけに結成。2001年に現在のメンバーがそろい、地元・沖縄にある米軍のライブハウスを中心に活動を続ける。2002年2月にアルバム「オレンジボール」をインディーズから発表。以後、沖縄以外でのライブも頻繁に行うようになり、2003年6月にシングル「キリキリマイ」でメジャーデビューを果たす。続く2ndシングル「上海ハニー」がオリコンウィークリーチャート5位を記録。その後も「ロコローション」「花」「ラヴ・パレード」「キズナ」など、数々のナンバーワンヒットを飛ばす。2010年7月に自主レーベル「SUPER ECHO LABEL」を設立し、10月にアルバム「orcd」をリリース。2012年2月にはSPEEDSTAR RECORDSと提携を開始し、4月にアルバム「NEO POP STANDARD」を発表する。2013年4月にシングル「オボロナアゲハ / もしも」を、同年7月にアルバム「spark」をリリース。