ナタリー PowerPush - ORANGE RANGE
バンドモードにシフトした両極シングル
チョコレートのあとはポテトチップス
──なるほど。では、今回のシングルについて聞きたいと思います。「オボロナアゲハ / もしも」は「NEO POP STANDARD」とはまったく逆の方向性と言うか、生のバンドサウンドが軸になっていて。「次はこういうテイストでいこう」みたいな話し合いはあったんですか?
YAMATO えーと、まずはNAOTOとYOHが曲を作って、その中からこの2曲をシングルにしましょうっていう話し合いが……。
YOH (笑)。「NEO POP~」のあと、ライブをかなりやったんですよ。ツアーだったり、学祭だったり、自主企画イベントだったり。その中で、生っぽい感じに近付いていったんだと思いますね。「こういう方向性で作っていこう」という話し合いはなかったんですけど、自然な流れで。
──振り子が逆の方向に振れるように?
YOH そうですね。毎回そういう感じだし、NAOTOも「そのときの自分のブームがある」って言ってるんで。自分たちボーカルも含めて、今やりたいことにトライしていくっていう。
NAOTO やっぱり「NEO POP~」がああいうアルバムだったから、今回は生々しいというか、そこまできっちりしていなくて、ラフな感じになったんじゃないですか。YAMAがよく言うんですけど、チョコレートのあとは……。
YAMATO ポテトチップス。
NAOTO ポテトチップスのあとは……。
YAMATO チョコレート。
NAOTO っていうのを繰り返してるんだと思います(笑)。
YAMATO 甘いものを食べたら、からいものとか塩分が欲しくなるじゃないですか。音楽も同じというか、それが人間らしいよね?
NAOTO うん。
HIROKI 清純派もいいけど、たまにはクロギャルにつけ爪で乳首をコリコリって……。
──もういいです(笑)。
NAOTO (笑)。半年に1回くらい趣味が変わるんですよね。「musiQ」の曲を聴いて「面白いな」と思える時期もあれば、「あのときはいいと思ってたんだけど、ヘンな曲だな」って思うこともあって。あとはその日の気分や体調によって、「昨日はやりたかったけど、今日はやりたくない」っていうのもあるし。そういうことの繰り返しなんですよね、曲作りとかも。
──欲するものに素直に従う、と。
NAOTO そうですね。素直にやりすぎて、ときどきビックリされることもあるんですけど、そこは気付かないフリというか(笑)、なにごともなかったかのように振る舞って。まあ、いつもよかれと思ってやってますからね。
──NAOTOさんのモードはほかのメンバーも共有してるんですか?
RYO 「こういう曲をやりたい」っていうのは、なくなってきましたね。そうじゃなくて、その曲に対して「どう入っていくか」「どう持っていくか」っていうか。自分の場合はリリックだったり、言い回し(フロウ)みたいなところからアプローチしていくことが多いかな。
「オボロナアゲハ」は全部サビ
──「オボロナアゲハ」はYOHさんの作曲で、バンドのグルーヴ感が強調された曲ですね。
YOH まず「踊れる曲にしたい」っていうのがあったんですよ。そこに和風のテイストをちょっと入れて。「ライブでこういう曲があったら楽しいんじゃないかな」っていう意識もあったし。
RYO 疾走感もあるし、キラキラした感じもありますからね。ライブで暴れるだけではなく、YOHが言ったように「踊れる」っていう感覚がいいな、と。こういう新しい要素がプラスされると、ライブの雰囲気も変わってくるだろうし。すでにライブでもやってるんですけど、反応もすごくいいですね。聴いたことないはずなのに、お客さんもしっかりついてきてくれて。「展開が多くて、ついてくるのが大変かな?」って思ってたんだけど、見事に吸収して、乗りこなしてくれてます。
HIROKI 「どこがサビ?」というか、「全部サビみたいだな」っていう曲ですからね。セオリー通りじゃない作り方が新鮮だし、やってても聴いてても楽しくて。
YAMATO 勝手に体が動いてしまう曲ですね。歌わないで、ずっとダンスだけでもいいかなっていう気分になります(笑)。
──歌わないでダンスだけって、新しいですね(笑)。歌詞はボーカルの3人で?
RYO そうですね。あと、YOHも参加して。
YOH 最近は軸になるテーマがあって、それに沿って書いていくことが多かったんですよ。今回はもうちょっとオモチャ箱みたいな感じというか、楽しさが感じられる単語、響きが面白い単語を集めてみようかな、と。
──意味とかメッセージよりも、語感を重視?
YOH そうですね。さっきも言ったみたいに「踊ってほしい」っていう意識もあったし、ボーカルの声も楽器の一種みたいな捉え方で、高揚感を生み出すような譜割りをチョイスして。
──そういうスタイルって、まさに「musiQ」あたりでやってたんじゃないですか?
YOH うん、「musiQ」の頃はそういう歌詞が多かったし、そっちに寄ってる感じはしますね。ORANGE RANGEらしさというか……まあ、そこは難しいところなんですけど。
──ORANGE RANGEらしさを説明するのは難しいですよね、確かに。
YAMATO まとまりがない、とか? 違うか。
RYO そこは自分たちでも言葉にできないと思いますね。まあ、フワッとさせておきましょう(笑)。
- ニューシングル「オボロナアゲハ / もしも」/ 2013年4月17日発売 / SUPER ECHO LABEL
- 初回限定盤 [CD] 1260円 / VICL-36760
- 通常盤 [CD] 1260円 / VICL-36761
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収録曲
- オボロナアゲハ
- もしも
- となりのジョセフィーン
Bonus Live Track from ORANGE RANGE LIVE TOUR 012 ~NEO POP STANDARD~ 2012.07.04 at 渋谷公会堂
- Restart(初回限定盤のみ収録)
- Hello Sunshine Hello Future(初回限定盤のみ収録)
- Baby Baby(初回限定盤のみ収録)
ORANGE RANGE (おれんじれんじ)
沖縄出身・在住の5人組バンド。中学の卒業パーティをきっかけに結成。2001年に現在のメンバーが揃い、地元・沖縄にある米軍のライブハウスを中心に活動を続ける。2002年2月にアルバム「オレンジボール」をインディーズから発表。以後、沖縄以外でのライブも頻繁に行うようになり、2003年6月にシングル「キリキリマイ」でメジャーデビューを果たす。続く2ndシングル「上海ハニー」がオリコンウィークリーチャート5位を記録。その後も「ロコローション」「花」「ラヴ・パレード」「キズナ」など、数々のナンバーワンヒットを飛ばす。2010年7月に自主レーベル「SUPER ECHO LABEL」を設立し、10月にアルバム「orcd」をリリース。2012年2月にはSPEEDSTAR RECORDSと提携を開始し、4月にアルバム「NEO POP STANDARD」を発表する。2013年に約3年9カ月ぶりとなるシングル「オボロナアゲハ / もしも」をリリース。