鬼束ちひろが8月22日に1年10カ月ぶりとなるシングル「ヒナギク」をリリースした。
2017年2月にアルバム「シンドローム」を発表して以降、15年ぶりのツアーを行い、ロックフェスティバル「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」に出演するなど、アーティストとしてゆっくりと着実に活動を展開している彼女。新曲「ヒナギク」では“鬼束ちひろ”らしさを惜しみなく打ち出し、荘厳で情感あふれる歌声を披露している。そんな彼女に、新作、そして今後について語ってもらった。
取材・文 / 大山卓也 撮影 / 堀田芳香
ヒナギクには凛とした怖さがある
──ニューシングル聴かせていただきました。鬼束ちひろの“王道”を感じさせる美しい曲ですね。
ライブでピアノを弾く機会があって、坂本昌之さんから「練習をしよう」と声をかけてもらったことから始まったんです。私らしさもありつつ、演歌、民謡、ポップスの要素が入っている楽曲だと思います。
──荘厳な曲調の中に強い情念を感じます。
うん、荘厳さとか凛とした感じっていうのはすごく大事にしてる。
──ヒナギクというモチーフはどこから?
可憐なんだけどすごい毒を持ってるみたいなイメージから。
──あれ、ヒナギクに毒ありましたっけ?
わかんない(笑)。でもヒナギクってちょっと怖いじゃないですか。私の中ではマーガレットが明るくて可憐な感じ。ヒナギクには凛とした怖さがあるんですよね。
──サウンド的にこうしたいといったイメージはありましたか?
アレンジは坂本さんにお任せです。私、最近、家で音楽を聴いてなくて。でも家に音楽がないと、街からインスピレーションを得るようになるんですよね。ゲーセンとか109とかヴィレッジヴァンガードとか、色が多くて狂ってる場所が好きで、そういう場所に行くと曲ができたりする。
──以前のインタビュー(参照:鬼束ちひろ & BILLYS SANDWITCHES「TRICKY SISTERS MAGIC BURGER」インタビュー)では「街を歩くと物や人が多くて疲れる」と話してましたけど。
たぶんそのときはマイナスに感じてたんですね。今は楽しいです。
──カップリングの「Twilight Dreams」はどういうきっかけで生まれたんですか?
私の曲でウエディングソングみたいな曲がないなと思って。だからこのCDは冠婚葬祭用にすごくいい。
──「Twilight Dreams」が鬼束さんにとっての結婚ソングなんですね。
これは私の旦那をイメージして書いたんです。珍しくコーラスも入れたんですよ。去年の紅白で高橋真梨子さんが「for you…」っていう曲を歌ってるのを観て感動しちゃって、ああいう愛にあふれた曲がいいなと思って書きました。だから坂本さんにも「for you…」とか松田聖子さんの「抱いて…」みたいな、ああいうアレンジにしてって言って。そしたら全然違うのが上がってきたんですけど。
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小説家が書いて女優が歌う
- 鬼束ちひろ「ヒナギク」
- 2018年8月22日発売 / Victor Entertainment
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プレミアム・コレクターズ・エディション
[SHM-CD+Blu-ray Disc+フォトブック]
3024円 / VIZL-1430 -
初回限定盤
[CD+DVD]
1836円 / VIZL-1429 -
通常盤
[CD]
1296円 / VICL-37430
- 初回限定盤、通常盤 CD収録曲
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- ヒナギク
- Twilight Dreams
- 帰り路をなくして(Live at Zepp Nagoya on May 1, 2017)
- ラストメロディー(Live at Zepp Nagoya on May 1, 2017)
- X(Live at Zepp Nagoya on May 1, 2017)
- 初回限定盤 DVD収録内容
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- ヒナギク(Music Video)
- プレミアム・コレクターズ・エディション
SHM-CD収録曲 -
- ヒナギク
- Twilight Dreams
- 帰り路をなくして(Live at Zepp Nagoya on May 1, 2017)
- ラストメロディー(Live at Zepp Nagoya on May 1, 2017)
- X(Live at Zepp Nagoya on May 1, 2017)
- 火の鳥(Live at Zepp Nagoya on May 1, 2017)
- ヒナギク(instrumental)
- Twilight Dreams(instrumental)
- プレミアム・コレクターズ・エディション
Blu-ray収録内容 -
- ヒナギク(Music Video)
- Music Video メイキング
- 鬼束ちひろ(オニツカチヒロ)
- 1980年生まれ、宮崎県出身のシンガーソングライター。2000年2月にデビューし、2ndシングル「月光」がテレビドラマ「TRICK」の主題歌に採用され大ヒットを記録。翌2001年リリースの1stアルバム「インソムニア」がミリオンセラーとなり、一躍トップアーティストの仲間入りを果たす。2011年4月に自伝的エッセイ「月の破片」、6thアルバム「剣と楓」を発表し、2012年5月には洋楽カバーを中心としたアルバム「FAMOUS MICROPHONE」をリリースした。2014年9月には自身が率いるバンド「鬼束ちひろ & BILLYS SANDWITCHES」名義で、アルバム「TRICKY SISTERS MAGIC BURGER」をリリース。2015年に花岡なつみに書き下ろし曲「夏の罪」を提供した。2016年11月にビクターエンタテインメント移籍シングル「good bye my love」を、2017年2月に6年ぶりとなるオリジナルアルバム「シンドローム」をリリース。2018年8月にニューシングル「ヒナギク」を発表した。
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