ナタリー PowerPush - ONE OK ROCK
格の違いを見せつけたい 最高傑作「人生×僕=」
間奏が削られていきなりサビに
──このアルバム制作において、いわゆるプロデューサーという立場の人はいないんですよね。
Taka そうですね。ただ今回に関して言うと、ジョン・フェルドマンっていう人がいて。彼はTHE USEDとかPANIC! AT THE DISCOとか、僕らが大好きな洋楽のアーティストを担当してるプロデューサー兼ミックスエンジニアなんですけど、彼がもう半分ぐらい変えてますね。
──どういうことですか?
Taka 最初、彼には1曲だけやってもらう予定だったんですよ。「Deeper Deeper」だけ。でもそのミックスが返ってきたときの衝撃がハンパなくって。「すげえなこれ!」って。
──ミックスでそんなに変わった?
Taka はい。音の置き方はもちろんそうだし、あとはダブ(の処理)が入ったりする感じも。まあダブとかはこっちがお願いしたことだったんですけど、一番びっくりしたのは、間奏をぶった切ってきたんですよ(笑)。もともとあった間奏を削って、いきなりそこに最後のサビがくっついたものが戻ってきて。
──大胆ですね(笑)。
Taka でもそれがスッキリしててカッコよかったんですよね。で、「これは面白いぞ」「今作ってる曲も投げてみよう」ってことでどんどん頼んでいったら、どれもすごくよくて。こっちも楽しくなってきちゃって、ひさびさにキッズに戻ったっていうか。「これは俺らにはできねえな」「超カッコいいじゃん!」みたいな。
──でも自分が一生懸命作った音が削られて戻ってくるわけですよね。
Toru そこは抵抗なかったですよ。
Taka はい、カッコいいからOKっていうか。むしろ俺らが入れすぎてるんだろうなって感じた。
Toru そう。例えばギターとか、なんでもそうですけどいっぱい重ねてるやつは消されてたりとか(笑)。
Taka シンセが足されてたりすることもあるけど、ぶった切られることが多すぎて。イントロがなくなってたりとかね。
「人生×僕=」に対するアンサーソング
──歌詞についても伺いたいんですが、今回は英語詞の割合が多いし、曲名が全部英語なのも初めてですよね。これはどういう意図で?
Taka あの、アルバムタイトルで全部言い尽くしちゃって、これ以上日本語で言ってもしょうがないなっていうところに行き着いたんですよね。せっかく音もカッコいいし、これは全部英語にしちゃおうって。
──アルバムタイトルがテーマを表現しているから、歌詞で説明する必要がないと。
Taka そう、12曲目に入ってる「69」って曲が、アルバムのタイトルに対するアンサーソングなんですよ。
──「人生×僕=ロック」ということ?
Taka そうです。あと「シックスティナイン」とも読めて、それだとどっちもが気持ちよくなるっていう意味になる。僕らだけが満足してるんじゃなくて、聴いてくれた人たちにも何かを得てもらいたい。その方程式の答えが、僕の場合はロック(69)でありライブなんです。
──そしてこの「69」という曲自体が、かなりの問題作ですよね。
Taka あはははは(笑)。
──メロディはなくて、ポエトリーリーディングのようにTakaさんの独白がひたすら続いていくという。
Taka こういうのやったことなかったですからね。最初はいろいろメロディを乗っけてたんですけど、この1曲に僕の言いたいことを集約するためにメロディはいらない、言葉だけでいいみたいな。
──それにしてもここまでストレートに言っちゃうんだ?と思って正直驚きました。
Taka 言っちゃうんです(笑)。例えばエレファントカシマシの「ガストロンジャー」とかカッコいいじゃないですか。あれを聴いてるときに「こういうことなんだよな」って思えたんですよね。
──Toruさんはこの曲についてはどうですか?
Toru まあ最初は衝撃でしたけど、この曲自体わりと好きなことやろうっていうスタンスだったし、サウンドも歌詞も全部、今のリアルなものを伝えるっていうのがテーマだったりもしたんで。あんまり作りこみすぎずに。
──サウンドも気持ちいいですよね。
Toru ループのフレーズだとか、間奏でいろんなことやってみたりとか、そういうものが最終的に言葉も全部ひっくるめて、リアルな今を表現する感じにはなってる気がします。
──ここで語られている内容って、普通はMCかインタビューでする話だと思うんですが。
Taka いや、なんかね、そういうものも曲として存在させたかったんです。例えば僕らのことを知りたくてインタビューを読んだり、YouTubeを検索したりっていうのは、たぶん僕らのことを好きな人がすることなんですよ。でも僕らというバンドをまだ遠くから見てる人もいて、そういう人たちに一番わかりやすく伝える方法ってやっぱり曲にすることなんです。言いたいことがあるなら、どんなにカッコ悪くても、嘘偽りなく書いてそれを歌にする。それが今の僕らがやらなきゃいけないことなんです。
- ニューアルバム「人生×僕=」/ 2013年3月6日発売 / A-Sketch
- 初回限定盤[CD+DVD] 3300円 / AZZS-15
- 通常盤[CD] 2800円 / AZCS-1024
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CD収録曲
- Introduction ~Where idiot should go~
- Ending Story??
- ONION!
- The Beginning
- Clock Strikes
- Be the light
- Nothing Helps
- Juvenile
- All Mine
- Smiling down
- Deeper Deeper
- 69
- the same as...
初回限定盤DVD収録内容
- 「The Beginning」 「the same as...」のスタジオセッションの模様をとらえたドキュメント映像
ONE OK ROCK(わんおくろっく)
2005年結成。Taka(Vo)、Toru(G)、Ryota(B)、Tomoya(Dr)の4人からなるロックバンド。エモ、ロック、メタルの要素を取り入れた骨太なサウンド、激しく熱いライブパフォーマンスで若い世代を中心に支持を集める。2007年4月に1stシングル「内秘心書」でデビューし、2010年11月に初の東京・日本武道館公演を実施。2012年には台湾、韓国、シンガポールを回る初のアジアツアーも成功に収める。2013年3月に6thアルバム「人生×僕=」をリリースし、同年5月からは横浜アリーナ3DAYS公演を含む全国アリーナツアー「ONE OK ROCK 2013 "人生×君=" TOUR」をスタートさせる。